2022年10月度-月間ノミネート

エルピス-希望、あるいは災い- 関西テレビ 得票数:160
連続テレビ小説「舞いあがれ!」 NHK 得票数:123
木曜劇場「silent」 フジテレビ 得票数:109

   

エルピス-希望、あるいは災い- 関西テレビ

  • 毎回うなってしまうほど面白く、力強いストーリーに引き込まれる。長澤まさみさん演じる恵那も、眞栄田郷敦さん演じる拓朗も、どうしてその行動をするかという背景がしっかり描かれている。テーマもとてもリアルで、「現実に起こりうることだ」と深く感じながら見ているため、テレビを見ている視聴者として反省する点も多くある。今後の展開が楽しみで、かつ、期待を超えてくるだろうと感じる。
  • バラエティ番組と報道の微妙な対立、セクハラパワハラのいかにもいそうな上司、テレビ界のあるあるをしっかりと描いている。最初に持ち込まれたテレビ局が断ったという話も伝わり、関テレが制作に取り組んだことに感謝するとともに、長澤まさみと眞栄田郷敦の名演技が光っている。
  • SNSやマスコミの言論統制が暴かれてゆくかのようなストーリーに、毎回頑張れ!最後まで無事に思いを描ききってくれ!という気持ちで見ています。日本の汚れた政界とマスコミに大きなメスを入れていただきたいです。
  • 今期ドラマのベスト1だが、本来はこの程度の政府批判に繋がる内容のドラマを放送することを『英断』などと評する方がおかしいのではないか。それだけモノ言えぬ社会になっている、ということか。ドラマ自体の面白さ、内容の充実、キャストの演技、音楽や映像、どれを取っても素晴らしい出来。

連続テレビ小説「舞いあがれ!」 NHK

  • 丁寧な脚本と演出、しかし余計な説明台詞を省き過剰な煽りもない。知らず知らずのうちに物語に引き込まれ登場人物全員に想いを寄せられる。複数体制の脚本らしく今後の変化が気になるところではあるが、放送期間半年を期待を持って視聴しようと思う。
  • 子供の頃からのつながりや流れもとてもいい。人力飛行機が飛びあがったところは「飛んだ!」とドラマではなくドキュメンタリーでも見ているかのように喜んでしまった。舞ちゃんの一生懸命さが朝から前向きな気持ちにさせてくれる。
  • 主人公の成長と周囲の人のあたたかい眼差し、奇をてらわず、お約束の展開にもならない。人間はこんなふうに育つのかと改めて思わせてくれるドラマです。
  • 幼なじみ3人がそれぞれ複雑な事情を抱えながらも前に進もうとする姿がとても素敵。また、ばんばは見る人によっては少し乱暴にも見えるかもしれないが、甘やかすだけでなく、優しく見守りながらも自分のことは自分でやらせることが、結果舞ちゃんの成長に繋がっていて良かった。

木曜劇場「silent」 フジテレビ

  • これぞ風間監督と言わしめるヒューマンドラマ。セリフの言い回しもナチュラルでストンと心に響きます。映像の色使いも一枚フィルターをかけたようなくすみ感があって映画を観ている感覚。お茶の間で映画クオリティの作品が観られて心が満たされます。
  • 久しぶりにリアタイしたいドラマ!各所で報じられている通り、まず脚本が素晴らしい。過去と現在、セリフ、曲の対比。いろんなところに眠る宝箱を探すよう。そしてキャストの素晴らしさ。目黒蓮くん演じる想が切なさを牽引しているが、その他のキャストも誰一人として無駄がない。そして主題歌。subtitleのインで必ず泣く。テレビドラマが久々に面白いと家族や友人間で口の端に上ること自体が、このコンテンツが溢れかえる時代においてすごいと思う。
  • 紬と想の8年ぶりの再会で言葉と手話のやり取りに涙が止まらなかった。手話の時は無音なので今までになく集中して手のお芝居を観ていた。静かな時間が多く言葉も多くはないのに片時も目が離せないし離したくないくらい夢中で観てしまうドラマ。1話のラストは目黒蓮の迫真のお芝居に涙が止まらなかった。
  • よくある、主人公を苦しめたり、足を引っ張る人が全然出てこないのが、演出や監督、製作の人柄を感じる作品です。誰もが、相手を思いやり、思いやりすぎてすれ違っていく。登場人物全員に幸せになってほしいと思う作品です。

他に推薦された番組

土曜ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」 NHK

  • NHK の社会問題を扱ったドラマがけっこう好きである。真正面から向き合いながら、説教にならない作りがいい。老いからの刑務所願望という社会的にも切実なテーマを、松坂慶子による主人公桐子によって、ファンタジーにくるむような表現で、笑ってはいけないのだがつい笑って見てしまうという、シリアス且つ微笑ましい作品だ。ラストへの展開は若干わざとらしく感じたが、老いゆく我々・皆への応援ドラマであることは伝わった。始終面白おかしく見せられた。
  • 年を取り、孤独と向き合うことが自分の視野を狭くしてしまいがちだが、少し世界を広げて見れば、いくつになっても年齢や性別、職業など関係なく、人と共存していくことの大切さや楽しく、人生は豊かになるものである事が痛快に面白おかしくドラマ化された素敵な作品だったと思う。キャストのみなさんの年齢も幅広く、それぞれのキャラクターがとても際立っていた。

PICU 小児集中治療室 フジテレビ

  • 「コードブルー」「朝顔」「医龍」…フジテレビの医療ドラマに外れ無しが今回も証明された。子ども達を対象とした緊急医療ということで、観ていて辛いシーンも出てくるが、真正面から丁寧に描くことで「命」と向かい合うことの難しさを強く感じる。主演の吉沢亮と共に、安田顕の演技がとても魅力的。
  • 医療ドラマと刑事ドラマは苦手なのだが、一話から二人の少女が手当の遅れで亡くなるというショッキングな展開で、一気に引き込まれた。小児救急という重いテーマだが、吉沢亮の高い演技力、安田顕の切なく心に響く台詞に、毎回涙してしまう。救急医療の現場が抱えるジレンマ、そこに纏わる人間の悲哀を訥々と、しかし希望を持って語りかける脚本が秀逸だと思う。

日曜劇場「アトムの童(こ)」 TBS

  • ベタな日曜劇場感を存分に感じつつも、キャストのせいか、ゲームという題材のせいか、これまでの日曜劇場よりもさらっと見れる。次々と困難にぶち当たっても最終的にはうまくいくであろうと思いながら見ているので、しんどくない。そういう意味では、目新しい展開や意外性などはないけれども、日曜劇場だからという姿勢で見ているととても面白い。
  • 山崎賢人さん、松下洸平さん、岸井ゆきのさんのインディーゲーム開発チーム、風間杜夫さんらのアトム玩具クリエイター、そして、オダギリジョーさんたちはだかる大手ゲーム会社と銀行…日曜劇場らしいダイナミックな展開が面白いですが、普通は毎回バックアップするはずのデータが飛んだり、簡単に乗っ取られたりと雑な作りも感じています。これからの展開が楽しみです。

水曜ドラマ「ファーストペンギン!」 日本テレビ

  • 「ファーストペンギン」がどれ程大変なのか考えずに、「絶対に挑戦した方がいい」という信念で突き進む、社会的立場が弱いのに賢くて真っ直ぐな主人公。共感でき、応援したくなるし、その健気さに毎回涙してしまいます。奈緒さん、堤さんをはじめキャストも演技派の方々で、ストーリーも痛快なだけではなく、観ていると元気を分けて貰える気持ちのいいドラマだと思います。
  • 実際に成し遂げられたモデルの方がおられる話とは思えないくらい、いろいろ起こっていて面白い。成功されているのがわかっているから面白いと思えているが、これを一つずつ乗り越えられてきたモデルの方に本当に尊敬です。今後がどのように描かれていくのか楽しみです。

ドラマプレミア23「警視庁考察一課」 テレビ東京

  • 私は日本でも数少ない2時間ドラマの研究者と自負しているが、その私から見てもよくできた構成・演出になっていると思う。かつての2ドラの主演俳優たちが実名(名字)で、セルフパロディをやる潔さ。こういう遊び心がかつての2ドラには確かにあった。
  • 成程、この手があったか。もう時代遅れになりつつあるかとも思われる「2時間サスペンス」常連役者さんたちを引っ張り込み機嫌良く遊ばせての、お手軽アームチェア・ディテクティブ。アイデアマン秋元康らしい、裏ワザひねりの発想で、出役さん方も楽しそうに、イイ意味で軽めに流しているのを見てるのは悪く無いが、事件トリック仕掛けなどはもうちょっと頑張って欲しいところ。

相棒 season21 テレビ朝日

  • 冷えて鋭い頭(右京)と、熱い思いで動く体(薫)の「相棒」が帰ってきた。世相を抉り、腐敗を突きながらも、「真実をあくまでも明らかに」し、「当事者の思いに応える」という心が、『相棒』の真骨頂。その原点に回帰して安堵。行動する妻の美和子くんも健在だが、新鮮さも失われない。残念なのは「花の里」が無くなってしまったこと…。

金曜ドラマ「クロサギ」 TBS

  • 「シロサギ・アカサギ・クロサギ」は、辞書や法令にはない言葉だろう。どんな修飾語をつけても、サギ(詐欺)はダメに決まっている。しかし、正攻法で立ち向かい、法律に頼っていたのでは解決できないことがあるのも事実。「左の頬を打たれたら、右も」だし、「罪を憎んで人は恨まず」なのは分かるが、「現代版必殺仕事人」には留飲が下がってしまう。血が流れることはなく、若い主役が好演だが、三浦友和、船越栄一郎もいい。
  • 2006年の同名ドラマが好きだったので、今回のリメイクも楽しみにしていた。クロサギは山Pが確立したキザで「クサい演技」を楽しむものだと心得てるので、平野紫耀特有の軽い台詞回しがかえって良い効果を生んでいると思う。三浦友和の桂木、坂東彌十郎の御木本もハマり役だし、黒崎の悲願の復讐を応援せずにはいられない。

土曜ドラマ「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」 日本テレビ

  • 謎というほどではないしスーパードクターも登場しないが、主人公の研修医の患者に対する真摯な姿は見ていて清々しい。

日曜ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」 日本テレビ

  • 霊媒(霊媒師)というと、すぐに「恐山のイタコ(口寄せ)」を思い浮かべてしまう。が、ここでは若い女性(清原果那)で、まず意外。死者の霊を降ろすなどは、科学的ではないと思いつつも、興味をそそられる。しかし、心理学の知見などを用い、推理を働かせればと、冷めて観るのも面白い。デジタル化が急速に進む現代、それでも測り知れない「人の心」を探るのは興味津々。
  • 5話で一旦終了。しかもあの最終回という構成はとても斬新で、ドラマの世界観に引き込まれました。また翌週からは新たな物語としての再スタート。ドラマのカラーも前回とは違う感じになっていてとても新鮮です。このドラマ形態は面白いと感じました。

ドラマシャワー「永遠の昨日」 TVK

  • あっさりと人が死体になって、そこから始まる物語が新しく感じる。最初に死体になっているので、病気や怪我でじわじわと死期が近づくようなものと違って、痛そうだったり苦しそうなところがないのがよい。物語とはいえ人が苦しんでいるのを見続けるのは苦しいので、別れに向かう心の苦しみだけになっているのが見やすくしてくれていると思う。もうすぐ最終回だが、二人のまっすぐな愛がどのような結末を迎えるのか最後まで見届けたい。

連続ドラマW「HOTEL -NEXT DOOR-」 WOWOW

  • 久し振りに心から感動する、重厚感のある大人のドラマを見た。原作も昔やっていたという連続ドラマも知らなかったが、それらを踏まえた新たな脚本ということで、スッと入ることができた。それにしてもディーン・フジオカという役者は、どうしてこうもミステリアスなキャラクターが似合うのだろう。モンテ・クリスト伯しかり、シャーロックしかり、今回は“ホテル座の怪人”と言われ、従業員達に様々な憶測をされるところから始まるが、回を重ねるほどに、彼に託された想いや彼自身の出自が明かされ、ホテルの歴史と相まって感慨深い。絶妙なキャスティングも、よく練られた脚本も実に見事。原作へのオマージュを感じさせる音楽も含め、全てが味わい深く含蓄のあるドラマだった。

土曜ナイトドラマ「ジャパニーズスタイル」 テレビ朝日

  • 瞬発力とユーモアのセンス、演技の幅広さ、今ブレイク中で一発録りシットコムの主役ができるのは仲野太賀さんしかいないのではと思います。脚本は『コントが始まる』の金子茂樹さん、演技派キャストに石崎ひゅーいさん、KAZUMAさんも加わり、ゲストも松尾諭さん、菅田将暉さんと豪華。過酷な、でもワクワクする撮影の裏側も配信されていて、ドラマとドキュメンタリーと合わせて見せてしまおうという試みも新しいです。

シンドラ「束の間の一花」 日本テレビ

  • 教師と生徒による恋愛ものというよくある設定でありながら、生死観や哲学をテーマに据えることでストーリーに深みが出ている。深夜ドラマとは思えないほど丁寧に撮影されていて、30分枠ながら時間をたっぷり使う演出・脚本がとても良かった。本編の結末と推察される入水シーンを、初回冒頭に持ってくる演出が斬新で一気にドラマに惹きつけられた。

ドラマストリーム「階段下のゴッホ」 TBS

  • キャストが作品の雰囲気にぴったりで、登場人物の内面に深く近づいていくような台詞と映像が心地よかったです。

土曜ドラマ9「最果てから、徒歩5分 BSテレ東

  • 「死にたい心」をテーマにするドラマは色々ありますが、登場人物全員何か抱えていて、重そうだけど、さらっと見れる。出てくる食事もちょっと魅力です。

火曜ドラマ「君の花になる」 TBS

  • ドラマ内のグループが現実でもデビューして活動するというとても画期的で刺激的で面白いドラマだと思います。発想だけでなく、ストーリーも青春や挫折など誰もが共感できるものになっていて、毎話胸に来る感動があります。見ていてとても心が洗われる、心動かされるストーリーだと思います。

オシドラサタデー「ボーイフレンド降臨!」 テレビ朝日

  • 軽いノリのドラマだろうと見ていたが、髙橋海人さんの可愛い年下感たっぷりの演技と、鼻持ちならない自信たっぷりの二重人格的な演技にメリハリがあって、引き込まれて見ている。週末のドラマにぴったりなテンポで今後の展開も楽しみ。

夜ドラ「つまらない住宅地のすべての家」 NHK

  • それぞれの家庭。それぞれの価値観。それぞれの秘密。現実社会にどこでもある身近なテーマと、逃亡犯という特殊なエッセンス。この2つの融合で、続きのストーリーがとても気になる作品でした。
  • 前作「あなたのブツ・・・」も意欲的な作品だったが、NHKの夜ドラは興味深い帯ドラマになっていきそうな予感。何より作り手の「作りたい」という意識が強く出ている。朝ドラがアイドル路線に終始している反動なのだろうか、夜ドラはタレントパワーに頼らず、脚本を作りこんだ感じが見て取れる。おかげで夜の楽しみが増えた。

木曜ドラマ「ザ・トラベルナース」 テレビ朝日

  • ベテランの中井貴一と若手の岡田将生が、時にはコメディタッチで、勧善懲悪という王道のストーリーが展開され、見ていて気持ちよく、ドクターX路線を彷彿とさせる、さすが中園ミホさんの脚本と納得する。

科捜研の女2022 テレビ朝日

  • 「科学はすべてを解明できる」がモットーの榊マリコ(沢口靖子)だが、強かな人間の心の業の全解明は困難。科学捜査は、あくまでも真相解明のための手段だと、強く印象付ける。それにしても、科学・技術の発達は凄まじい。驚き! そうした中で、昭和の刑事(デカ)を継承する土門(内藤剛志)や、法医学者だが愛想のいい風丘先生(若村麻由美)の存在は大きい。「相棒」ではなく「トリオ」の魅力。
  • 放送の時間帯が移動したら世界観まで移動してしまったようです。「科捜研」の名の通り、サイバーテイストが前面に出ていますが、それと引き替えに京都の風景やマリコと土門刑事の関係性などが薄れてしまったのが寂しいです。ともあれ、シリーズが継続してくれてよかったです。

100カメ「赤ちゃん誕生」 NHK

  • これは義務教育期間中に絶対に見てほしいドキュメンタリー!人間、生きているといろんな気持ちになるけど、命が尊いこと、望まれて生まれてきたということ、誰かが自分を大切に思ってくれているはずということに気づけるはず。
  • コロナ禍でなかなか病院での撮影が難しい状況の中、大量のカメラを利用して病院内の人間模様を捉えたところが見事だった。赤ちゃんの誕生それ自体がすでに物語の宝庫とも言えるが、その中でも助産師側の人間性や新人指導で苦悩する姿がとても共感できた。

じゃないとオードリー テレビ東京

  • 一つの企画を通じて人間が変化していく姿をまざまざと見せつけられたのが衝撃的だった。特に、オードリー自体が斜に構えた姿勢ですでに確立しているのに対し、今のままじゃいけない、もっと行けると判断して企画を組んだ佐久間さんの眼力がすごかった。

ドキュメンタリー「解放区」「それでも中国で闘う理由~人権派弁護士家族の7年~」 TBS

  • 公安や警察だけでなく、主人公の周囲にいる市民が、取材陣を取り巻いて妨害し、カメラを奪おうとする。恐ろしい光景だ。何がそうさせるのか?どんな力が働いているのか?中国を取材する意味を余すところなく伝えている。

NNNドキュメント’22「ふるさと解散 豪雨時代 被災集落からの警告」 日本テレビ

  • 災害の大ダメージから回復出来ず、被災住民の多くが戻って来れぬまま消滅の危機にあえぐ地方村落。福岡県朝倉市の山間集落の定点取材を中心に、福岡放送が、地方の厳しい現状から見えてくる、日本社会の抱える深刻な人口減少の怖ろしさに警鐘を鳴らす。この国の政治はこの苦境に対し、何の実効的施策も見出せぬまま無為の時間を浪費するだけ。「ふるさと解散」を遠目に傍観している内に、気が付いたら「ニッポン解散」になっていなければ良いが。

NNNドキュメント’22「映画館は焼けても…北九州 親子でつなぐ銀幕」 日本テレビ

  • 数えきれないほど通った地元の映画館です。火災の夜、燃え上がる館を悲壮に見守る館主さんの姿を、ニュースで見たことが忘れられません。このように番組で取り上げられることが、再建の一助になってくれたらと願わずにいられません。

NHKスペシャル 新・幕末史 グローバル・ヒストリー「第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機」 NHK

  • 日本は世界の一部分であることを気づかせてくれる切口だった。当時の列強の世界戦略の中で幕府がギリギリの立回りをしていたことがよく分かる佳作。名作だった昨年の大河ドラマ『青天を衝け』で小栗忠順を演じた武田真司が同役を演じた所に胸が熱くなった。
  • 「第1集」での、幕末日本が欧米列強の草刈場になり掛かっていた、との指摘は実に興味深かったが、この「第2集」ではそれが更に掘下げられ、明治政府と奥羽越列藩同盟との純粋な「内戦」だとばかり思っていた戊辰戦争が、実は列強の邪な思惑に左右されていたこと、特に大英帝国の深謀遠慮が大きく影を落としていたというのは、極めて刺激的なものだった。何とプロイセン=ドイツが北海道を狙っていたなんて・・・。歴史は陰謀に満ちている。

タモリ倶楽部SP「ユーミン初登場で空耳やっちゃいました」 テレビ朝日

  • いつもとは違う空耳アワーと空ユミアワーのコラボ。ユーミンの楽曲で自分にも聴こえていた空耳が再現ドラマに織り込まれていて嬉しかった。

SONGS「一青窈」 NHK

  • 歌詞のヒントになる大量のスクラップブックと、それらに含まれる情報を見て、とても独特な感性の持ち主であることがよく分かりました。名曲『ハナミズキ』が20分ぐらいで作られたことや、歌詞の裏側が知れてよかった。

テレメンタリー2022「第6波の結末~コロナ禍の障害者事業所」 テレビ朝日

  • 行政が実にあっさりと、事務的冷酷さで見捨てていく、“障害者”のコロナ患者たち。この病魔は、もともと弱い立場にあるものを、まるでその弱さにつけ込んでくるかのように、更に手ひどく苦しめる。「良うやってはる」と一部でもてはやす向きさえ見える吉村大阪府のコロナ対策が、その実は「マイノリティ」に対し相当に薄情で矛盾に満ちたものであることを、しっかりと伝えてくる。朝日放送取材スタッフ陣の真っ直ぐな「怒り」のようなものを感じた。

エマージェンシーコール 救急通報指令室「東京」 NHK

  • ひっきりなしに来る要請にその判断が生死を左右するという緊張感が続く職務の過酷さを見た。人生において119番にかける事はそうそうないと思われるが、訪れるかもしれないその時のために参考になると思うし啓蒙にも役立つのでは。
  • 救急通報を受ける方々があそこまで相手に向かい合って丁寧に対応されてることを知りませんでした。気が動転している方に寄り添い、うまく案内できなかったことを悔やまれ、大変なお仕事だと思いました。ただでさえ搬入先や人手が不足している昨今、安易な利用の仕方は控えなくては…と襟を正しました。

ドキュメント20min.「12歳、社長になる~学びはもっと面白い~」 NHK

  • 番組がというより、素材が素晴らしかった、生きていた。12歳の少年の聡明さ、利発さ、ものおじしない受け答えが活写され、好感しかない画面だった。少年から、発想の転換を学べたように思う。せせこましい日本社会に染まらず、羽ばたいてほしい。

60秒で学べるNews テレビ東京

  • 時事ニュースがわかりやすい。変に茶化す時間がないのでとても良い。

勝敗が決まる瞬間2022~ドキュメント 小倉百人一首競技かるた高校選手権~ NHK

  • 男女が同じ舞台で勝負することが清々しい。コメントも、相手やチームメートをリスペクトした上で、理知的で分析的なものが多く、逆に心を動かされる。一方で、感情を抑えきれない場面もきちんと描かれる。甲子園とは違い、作る側も型にはめて伝えていないところが良い。

有吉のお金発見 突撃!カネオくん「特別大公開!国立国会図書館のお金の秘密」 NHK

  • お金の切り口から世の中を見ていくというコンセプトが面白くて、欠かさず見ている番組である。日本のありとあらゆる書籍を蔵する国会図書館。その重要な使命を護るために様々な工夫がなされていることを知り、いつか行ってみたいと思った。

Gメンバーの推薦番組

ten.ドキュメント「漂流する“夢の島”―日本初 大阪IRの行方―」 読売テレビ

  • 大阪府市が強力に推し進めようとしているIR計画を、その構想の起源とも言うべき「夢洲」誕生時から丁寧にその経緯事情をたぐって、現在の情況をじっくりと検証。公平であることに留意しながら、この計画についての賛否の論者インタビューを重ねていく中で、IR賛成論者の論旨の脆弱さに比べ、否定論者の方に大きく説得性のあることが明瞭に見えてくる。地域貢献の名の下にともすれば流されそうになっている関西報道界にあって、大阪府市=維新政治の実体をしっかりと露わにしようという、読売テレビ番組スタッフの強い覚悟とジャーナリズム精神を見た思い。

生中継 神さまのお引っ越し 奈良・春日大社 NHK

  • 普段見る事が出来ない、神社行事。全て幕で覆われた中で進んでおり、実際見れる訳では無く、また、夜であるにも関わらず、照明がなく篝火だけで行われている為、画面は暗い。神職の祝詞と、雅楽の演奏だけで進むご神体の引越しは、画面が暗くてよく見えなくても、神秘的で荘厳だった。解説も最小限で、行事を邪魔にしなかったのが良かった。

かんさい熱視線「書いて 読みあい 育ちあう」 NHK

  • 作文の入り口でこのような指導が受けられた子供たちが羨ましい。提出された作文についてじっくり話し合う教師たち。こういう取り組みが重要であるのだが、それには時間の余裕が必要。職員も子供も本当の意味のゆとりを持って取り組める体制があればいいのに。大学進学率やノーベル賞受賞者の数、分かりやすく計りやすい名誉はたくさんあるけれど、それを目標にしてしまっていいのだろうか?「完璧とは求めるものでなく、一つ一つこなしていった先にあるもの。目指すものではない」とは宇野昌磨選手のコーチの言葉、教育の有り様にも通じると思う。

TVアニメ「アキバ冥途戦争」 TOKYO MX

  • アニメ史に残る快作もとい怪作。後世のアニメ研究者からエポックメイクな作品として評価されることになるであろう。クエンティン・タランティーノにアニメを作らせたらこうなった、みたいな世界観。

TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」 TOKYO MX

  • きらら系アニメにおける新しい切り口を開発した。下手な実写ドラマよりも現代の若者の気質をよく反映している。バンド活動の実態を真正面から描いた点では同じきらら系の「けいおん」へのアンチテーゼともいえる。

ヨーロッパ 華麗なる古城不動産~買える城、あります~ NHK

  • 海外の古城を案内しながら、古城を維持するための売買についての情報を紹介。維持するために売買しながら、受け継がれていくもの、先祖代々受け継いでいくための工夫と興味深い内容でした。稲垣吾郎さん、アンミカさん、小木明博さんの話も楽しくよかったです。

壁サー同人作家の猫屋敷くんは承認欲求をこじらせている 朝日放送

  • 大阪ローカル。月曜深夜。どっこい個人的には秋ドラマのいちオシ。猫屋敷くんのネガティブぶりとアイドルグループメンバーの一星くんのコントラストが楽しい。グループの劇中歌も中毒性高い。良質なラブコメ。一方で二人が成長する姿が胸を打つ。 これを首都圏で視聴できるのはTVer様々。

ワルイコあつまれ「秋の大感謝祭SP」 NHK

  • 通常放送の「ワルイコあつまれ」も面白いが、今回は2時間の拡大版ということで、Eテレの底力と、新しい地図3人のポテンシャルの高さを見せつける最高に楽しい2時間だった。山本耕史演じる土方歳三を招いた「慎吾ママの部屋」、忌憚のない疑問を子どもたちが明石家さんまにぶつける「子ども記者会見」、本格的なドラマと勘違いする「ケミカルドラマ」・・・どのコーナーも笑いながらも、Eテレらしい学びもあった。子どもから大人まで楽しめる良質な番組だと思う。

SONGS「原由子」 NHK

  • 原由子さんの歌は元々大好きでしたが、歌だけではなく人間的にも素敵な人だと以前からなんとなく感じてはいました。番組を見てやはりそうだと改めて思いました。そして本当にサザンオールスターズを陰で支えているのは彼女だなぁと思いました。

千鳥のかいつまんで教えてほしいんじゃ! TBS

  • 素朴な疑問に、その道の専門家達が分かりやすく答えてくれて、スッキリした。スタジオゲストの中では「半導体とは何ぞや」を正しく説明できていた田中圭さんが凄いと思いました。

日曜美術館「友よ 写真よ 写真家 牛腸茂雄との日々」 NHK

  • 知らなかった芸術家の足取りがわかるのもこの番組のいいところ。幼少期の病で身体にハンディを抱えながら、スナップやポートレートを撮り続け、36歳で夭折した牛腸茂雄。自費出版の写真集と、親族に宛てた手紙を通じ、世間の評価と闘いながら自らの表現を模索する牛腸の姿が浮かびます。没後40年を経て、同級生だった写真家・三浦和人さんが、牛腸の遺したネガをプリントする姿が印象的でした。暗室で汗だくになりながら、彼の伝えたかったものを焼き付けようと腐心する姿に見入ってしまいました。

「デブとラブと過ちと!」 TOKYO MX

  • とにかく主人公の夢子がポジティブで見ていると気分爽快で元気になれます。主人公の夢子演じる3時のヒロインのかなでさんが芸人さんならではの顔芸や間合いでとにかく笑わせてくれます。W主演の草川拓弥さん演じる結城副社長は爽やかだけれどミステリアスで何とも言えない魅力を放っています。それぞれのキャラクターもストーリーも謎が多く続きが大変気になる作品です。

月曜の蛙、大海を知る 毎日放送

  • パイロット版が放送されているということだったが、レギュラー化の初回放送を観た。大御所女優さんたちがチェーン店のメニュー開発に挑む企画が面白かった。テスト販売では想像以上の売上を記録して感動しました。

「King & Princeる。」 日本テレビ

  • 田中圭さん をゲストに迎えての「当たり前レストラン」のコーナーは、共演経験のある岸優太さんとの絡みが楽しく、食リボもそれぞれ個性があって面白かった。

復活!ロストグルメ~スターを救ったあの一皿~ CBCテレビ

  • それぞれの芸能人の思い出の味とエピソードを紹介する番組で、不安やストレスを癒すのに食事は重要な役割を果たしてくれるんだなと思いました。全体的に事前調査や準備、再現度などとても細やかに行われていて、BGMにも配慮があり、とても見ごたえがありました。亀梨さんを含め、TVで活躍しているスターの方々は、自分のメンタルヘルスケアにも長けているんだと感心した番組でした。

漫画家イエナガの複雑社会を超定義 NHK

  • 10月の、町田啓太演じるイエナガは、卵子凍結、絵文字、アンチエイジング、ネコブーム、そして番組の枠を超えたコラボ企画として、「アニメ・不滅のあなたへ」を超定義。切実なリアルもファンタジーも可愛いも全部アリの、イエナガの守備範囲の広さに舌を巻く。例えば「紅白歌合戦」を超定義とか、さらに意欲的なコラボ解説をもっと見せてほしい。イエナガの超定義は、金曜夜の眼と脳のご褒美、至福のエンタメ教養番組である。

木ドラ24「自転車屋さんの高橋くん テレビ東京

  • 鈴木伸之くん演じる遼平と内田理央ちゃん演じる朋子を応援しています。濱田マリさんが暗い役を演じているのが意外でしたが、これがとてもいいです。ドラマを見て舞台となっている大垣へ行きたくなりました。

ドラマシャワー「高良くんと天城くん」 TVK

  • 令和のZ世代の空気感の中で繰り広げられるピュアでエモい青春ラブストーリー。 映像、劇伴、風景、キャストのビジュアルの全てが美しい、令和のBLの傑作です。

鎌倉殿の13人 NHK

  • ピュアに仕える義時がダークな武家人になる様を小栗旬が見事に演じている。その姿をそばで見ていた嫡男、泰時が法令化をするに至るゆえんを坂口健太郎さんが体現しているのが美しい。辛い鎌倉時代を経て、自分が生きていられる事を思うと先人たちを尊く思う。

(掲載は順不同)
※今月より、月間ノミネートに選出された作品は制作局を表記します。