2023年10月度-月間ノミネート
ドラマ24「きのう何食べた?season2」 テレビ東京 | 得票数:157 |
日曜ドラマ「セクシー田中さん」 日本テレビ | 得票数:124 |
たとえあなたを忘れても 朝日放送テレビ | 得票数:119 |
ドラマ24「きのう何食べた?season2」 テレビ東京
- 奇をてらうようなエピソードもないし、ラブシーンもない。日常の中のココロのほんの小さな機微であったり、相手に対する思いやりであったりがとても丁寧に描かれている。だのに30分の中でちゃんと抑揚があって、笑って泣いて最後ホッと心があったまる。寒さが厳しくなるなか、あったかいホワイトシチューのようなこの作品がたまらなく好きだ。
- 年を取ると目も悪くなり、体調や体形に変化が訪れる。それは誰もが同じこと。シロさんもケンジも、彼らはいずれくる未来の自分。その中でも料理をし、泣き、笑い、一緒に生きていく姿のすばらしさ。互いに「老い」を受け入れながら生きていく姿を、ゴールが見え始めた「未来予想図」の参考にしたいと思っている。
- season2になり、グレードダウンするかと心配したが、むしろseason1よりも主役の2人が役に馴染んで、説得力と可愛らしさが倍増した感がある。年齢を重ねて思い合う2人の姿は、男女関係なくこうありたいと思える夫婦の姿だと思えた。
日曜ドラマ「セクシー田中さん」 日本テレビ
- 人は見た目では判断できない。他人を知るには、固定観念を捨て、その人を知ろうとする気持ちが必要だということ。田中さんを取り巻く人たちが、自分自身の言動を思い返して変化していく過程は、視聴者側へもいろいろと考えるメッセージになっていると思う。
- 軽いノリのドラマかと思って見始めたが、とんでもなかった。いかに世の中が男性目線で女性をグループ分けしているのか、その渦中の女性が必死に立ち回り自分を守っているのか、どうやったら自分自身を守る事が出来るのかが表現されていてびっくりした。また、古い価値観に囚われている男性の代表の様になっている笙野が、どんどん変わっていく姿も見ていて清々しい。楽しく充実した毎日を生きていくヒントが散りばめられた素敵なドラマだ。見終わると明日も頑張ろうと思える。
- 描かれている人物がいい人だけではなくそれぞれにダメなところも嫌なところもあるし、逆に嫌な人物として登場した人もいいところも刺さる言葉もあったりなど、人物の中身が偏っていないところがとてもよい。回が進むごとに登場人物の一人一人に惹かれていきます。それぞれが求める幸せにたどり着いて欲しい。優しい気持ちになるドラマだと思います。
たとえあなたを忘れても テレビ朝日
- 記憶障害という難しいテーマに向き合うにはどうしたら良いのか、毎週考えさせられています。日常のちょっとした幸せに目を感じられようになりたいと意識するようになりました。
- 本作で萩原利久が演じる空は、目の前に存在し続けているのに、すべてを、何度でも忘れてしまう。彼と恋に落ちる主人公の美璃は、何度も恋に落ちるよろこびは味わえても、すべてがいずれリセットされてしまう。その恐怖と悲しみを堀田真由が、せつなくそして見事に描いている。愛は共通した記憶の積み上げなのだ。萩原利久は相変わらず芸達者。愛した人たちをすべて忘れてしまうだけでなく、嫌悪や恐怖まで覚えてしまう、その一瞬の表情の変化は見事というしかない。落ち着いた画調の神戸ロケの映像も特筆もの。
- 主役以外の人たちもすごく自然で上手です。薬剤師の平井亜門くんの関西弁がかわいくて、このドラマの切なさをほんのり和らげてくれます。ピアニストの夢をあきらめて携帯ショップで働く女の子の姿に、リアルに共感しちゃうし、好きな人にも忘れられちゃうなんて、泣きそうになります。この子、どうやって幸せになるのかなと見逃せないドラマです。
他に推薦された番組
ドラマ10「大奥Season2」 NHK
- Season2も志高きものたちの戦いが描かれ、どこか現代のコロナ禍を思わせるような光景が繰り広げられていました。母の傀儡であった家斉の目に意思の光がともったのも束の間、治済の悪魔のような所業でどんどんと周りの人間が怒り悲しみ絶望する有様がリアルに描かれていました。人の悪意とは恐ろしいものだと思い知らされました。今回のシリーズも希望と絶望が入り交じり、志の尊さと人の業の深さを思い知らされるドラマです。
- 吉宗以後の「医療編」。見た目もさながら、なおかつ演技で魅せる俳優の表現力に圧倒される。多くの人の努力があって病魔が去り健康になったのに、人の思惑や嫉妬に振り回されて、青沼や源内、黒木たち医療関係者が、決して報われない姿に涙。それでも戦い続けて、やっと人口の男女比が改善されて価値観が変わってきた幕末、男女関係なく活躍する姿が楽しみになっている。
日曜劇場「下剋上球児」 TBS
- 初回からミステリー的要素の引っ張り方がすごい。やはり奥寺佐渡子脚本は違う。普通、鈴木亮平が演じる主人公が野球部監督を渋って却々受けないのをここまでは引っ張らない。やっぱりそこには何かのっぴきならない事情があるんだろうなと思う。そして、まさにその引っ張りが後の展開に明らかに活きている。すごいと思う。
- 無名だが、野球部員が全員野球経験者が集まったと聞いてフォームや動きを楽しめるのがいい。三重県の海辺の町というのものどかでいい。やる気のない学生達、誠実で熱血な優しい先生、下克上、と聞けばよくある成長ドラマかと思いきや、とんでもなく重いテーマがのしかかって来た。応援したいのにできないもどかしさが観る目こちら側にもなんとかしてあげられないかと重くなる。この窮地をどう乗り越えて子どもらを3年後檜舞台に立たせるのか。これまでの流行った推理ドラマとはまた別の形の推理をしながら上手くいって欲しいと願いながら観たいドラマです。
水曜ドラマ「コタツがない家」 日本テレビ
- ウェディングプランナー会社社長の万里江(小池栄子)が、夫・息子・父親の男3人を「まとめて面倒見ます!」と奮闘する。まさしく令和版の「肝っ玉母さん」。描かない・描けない漫画家の夫・悠作(吉岡秀隆)だが、時折見せる眼差しには、苦悩とともに愛も垣間見られる。めげない小池栄子の存在が一家とドラマそのものも支えている。
- 「俺の話は長い」以来、日テレの連ドラに、またもや問題家族が降臨。働く母と対峙するは、どことなく頼りがいのない3世代の男衆。なかなか不穏な空気のスタートでしたが、芝居巧者ぞろいなので、きっとおもしろくなるはず、と期待しています。
木曜劇場「いちばんすきな花」 フジテレビ
- 人間の内面に焦点を当てて描いた物語は共感できて面白い。自分はどこの立ち位置で見るかによって感想が変わってくる。胸にチクりとする台詞もあるがふわりと花の香りがするようなリラクゼーション効果もある不思議なドラマ。
- 如何にもドラマのために考えましたという感じの話で、人物設定はあまりに類型的で、展開はあまりに図式的。だから共感できないという人も少なからずいるだろうとは思うのだけれど、しかし、ここで描かれている人間関係の重苦しさには私はしっかり共鳴してしまう。キャストにも華があって、素敵なドラマになっていると思う。
連続テレビ小説「ブギウギ」 NHK
- 10月25日放送で流れたラインダンスを見て心から勇気付けられました。ドラマを見て考えさせられることは多くても元気をもらうということはしばらくありませんでしたが、テレビには元気を与えてもらいたいという気持ちを思い出しました。
- 明るいだけの福子かがかえって重く感じたが、人の人生には他から見えない様々な事があるとわかってからは、かえって見続ける気になった。母親役の水川あさみさんがとても明るくそして温かい。横でふざけ好きな父親の柳葉さんの存在も大きい。大事な場面でポロリと余計な事を喋ってしまう弟も可愛くて仕方がない。薪を炊く名無しさんもいい。温かい家族はいいなぁと思わせてくれた。東京編はいよいよスターへの道が始まる。光が当たるスターにも陰はある。それをどう生きたか、楽しみである。
木ドラ24「ポケットに冒険をつめこんで」 テレビ東京
- 現在ポケモンは1,000体を超えるらしい。社会では個性的な人も多く、ポケモンキャラになぞらえてそれぞれの戦いに見合ったビジネス戦略、人間関係を築いていくストーリーは単純だが面白い。主役赤城まどかが地元を出て旅に出るエンドロールの姿も、少しずつ景色が変わり本編とは目線を変えて楽しんでいる。
相棒 season22 テレビ朝日
- 21世紀とともに歩んできた二人の刑事。原点に戻った右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)の「相棒」のチーム力は、一層強化されている。時にコミカルに、時には過激に動く特命。捜査一課の出雲、小粋な女将のこてまり、薫の妻の美和子の「支え」も大きい。
木曜ドラマ23「天狗の台所」 BS-TBS
- まさか民放BSのドラマでこんなに贅沢な映像を見れるとは思いませんでした。美しい田舎の映像、ゆったりと流れる時間、丁寧に作られた美味しそうな料理。極上品です。
開局70年特別番組「THE MYSTERY DAY〜有名人連続失踪事件の謎を追え」 日本テレビ
- 日テレ開局70年特別番組ということでお手盛り感があり、予告の段階から黒幕は小栗旬だと予測がついたし、綻びは多々感じられたが、それにもかかわらず楽しめたのは、豪華出演陣によるサービス精神旺盛な展開とその演技力が、エンタメ的に魅せてくれたからだろうか。後味は悪くなかった。ネット上の匿名による誹謗中傷をテーマとしたメッセージは伝わった。
- 考察ドラマとリアルタイムでの視聴者予測参加という、テレビならでは意欲的な試み。最後の小栗旬さん演じる夏目議員の演説には、昨今のSNSをはじめとしたマスコミを含めてのメディア全般への問題提起として心に響くものがあった。
ドラマイズム「マイホームヒーロー」 TBS
- 深夜としてはかなり豪華なキャストで、ストーリー自体が非常に面白い。佐々木蔵之介が演じる主人公が娘のために殺人を犯すのだけれど、その彼の趣味がミステリー執筆だという設定がうまく活かされている。木村多江が扮する彼の妻の、危機的な状況でもその天然さが消えないところがまた面白い。
うちの弁護士は手がかかる フジテレビ
- ゴールデンの新しいドラマ枠! フジテレビの蛮勇か?と思いきや、ムロツヨシの新人パラリーガルぶりが見事。どの組織にも縁の下で組織をうまく回す、日の当たらない人間は必要なのだ。そこに光を当てたのが、うれしい。ムロツヨシの入院のアクシデントもトラブル上等でドラマに取り入れる、この猥雑さがテレビだ!
土曜ドラマ9「たそがれ優作」 BSテレ東
- 不条理なこともありながら、精一杯生きて、飲んで、たそがれる優作さんの日常が癒し。劇中劇も面白い。普段厳しい役が多い北村有起哉さんの可愛らしい一面が最高。
新土曜ドラマ「ゼイチョー 『払えない』にはワケがある」 日本テレビ
- 「払えないにはワケがある」のサブタイトル通り、様々な理由で支払えない人と向き合うドラマ。菊池風磨さん扮する饗庭を明るいキャラクターにしたことで、男性社会の中で頑張る女性の百目鬼や、ほかの真面目な男性職員との対比になっていて、面白い。1話完結の本編とは別に、饗庭が財務省を辞めた理由も同時に進む展開は、ラストまで見ようと思う動機にもなる。最終回の饗庭は明るい顔か暗いそれか。そこも気になる所ではある。
土曜ドラマ「商店街のピアニスト 永遠の調べ」 BS松竹東急
- ピアノの調べと映像が良く合って久しぶりに美しいと形容したくなるドラマ。出演者の方々の声、演技も心地よい。
ドラマチューズ!「くすぶり女とすん止め女」 テレビ東京
- 24時30分という深夜に、ピリッと刺さる、徹底したモラハラ夫(勝村正信)。家を出て実家に戻ったりしながらも息子と娘を放さない母で妻の西田尚美が、主婦の勘と潜めていた才能を発揮させていくのが愉快。ハラスメントへの抵抗・反発の一つの在り様を見せてくれているのかも知れない。
ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ フジテレビ
- 昨今の傾向としてある程度視聴率が約束された(視聴率の価値もどうかと思うが)小説や漫画の原作ドラマが多い中で完全オリジナル脚本であり、その作りはとても挑戦していると思う。別場所の話に切り替わる時セリフや映像が意味を持って繋がる作りも新鮮だ。この先それぞれがどう絡み合っていくのか楽しみである。
大河ドラマ「どうする家康」 NHK
- 主人公家康と家臣団との関係の変化、秀吉の死去と、家康を取り巻く状況が大きく変わる時期を描いた月だった。それぞれの俳優が青年期だけではなく、中年期、老年期とみごとに演じていることに感心した。
ドラマ25「すべて忘れてしまうから」 テレビ東京
- ミステリー作家のM(阿部寛)と行方不明の彼女F(尾野真千子)を巡る、男(M)と女(F)の物語。舞台もバー「灯台」と喫茶店「マーメイド」が殆どで、舞台劇を見ているような距離感で見ている。宮藤官九郎、酒井美紀、大島優子、CHARA、草笛光子と豊かなキャストだが、主張し過ぎずに個性的でいい。
火ドラ★イレブン「時をかけるな、恋人たち」 フジテレビ
- 7日放送の第5話がとても良かったです!!過去へ戻っても未来を変えることは出来ない。同じ未来になってしまうとわかっていても心残りなことを相手に伝えることはできる。送信取り消しと削除の伏線回収が本当に見事でした!本当に面白かった!
- まず、「奥様は魔女」のような洒落たオープニングアニメにおっ!と思わされ、ちょっとチープな未来人たちの造形にSFオタク心をくすぐられ、ほろりとさせられそうな展開にニヤニヤさせられ、エンディングでついにほろりとさせられ、主人公のこれからに興味をもたされ、まんまとドラマにハマってしまいました。
火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」 TBS
- ラブコメくくりではあるが、社会人を経て大学生になるまでの経緯がしっかり描かれているし、主人公のキャラクターにも共感持てる。そして何より会話のテンポや台詞のセンスが素晴らしいと思う。
ドラマ特区「君となら恋をしてみても」 TVK
- 江ノ島の綺麗なロケーションの中で紡がれる男子高校生2人が惹かれ合う過程が凄く丁寧な恋愛ドラマ、フィクションだけどリアリティ感があった作品でした。原作者の窪田マル先生が「開示して対話していく物語」と仰っていた通り、お互いの意志を確かめ合いながら進む2人が素敵でした。更にマイノリティの人間である天の気持ちを繊細に描くことで「異性愛からの離脱」にもしっかり向き合っていて、悪意のない言葉でも人を傷つけるということを教えてくれるそんな作品でした。
金曜ドラマ「フェルマーの料理」 TBS
- ミステリーの要素があって、まだまだストーリーが読めないけれど、数学と料理の関係性で描くのは面白い。でも数学不得手の自分としては、もう一つピンときませんが。現在はダークサイドに落ちる岳と明るくて素直な岳の対比、何があった!美形で主役ばかりだった志尊淳のこういう役、もっと観たい。
ドラマNEXT「推しが上司になりまして」 テレビ東京
- 原作と違う点も多いですが、鈴木愛理さんのくるくる変わる表情や、片寄涼太さんの王子ぶりが素敵すぎて毎週楽しみにしています。夢のある世界線に、自分だったらどうするかな?と妄想するのも楽しいです。
夜ドラ「ミワさんなりすます」 NHK
- 今話題の一つ「推活」がテーマ。ドキドキワクワク本当に面白い。堤真一さん演じる「映画界の大スター八海さま」をまるで神であるかのように崇め慕う八海邸の松本穂香さん演じる、なりすまし家政婦ミワさん。毎回目の前の「推し」と接する想像を絶する喜び、推しを悟られないように必死で礼儀正しく振る舞うミワさんが愛おしくさえなります。
ドラマストリーム「君には届かない。」 TBS
- TBS初のBLドラマという事でしたが、脚本・演出・お芝居全て良かったです。ノスタルジックで高校時代を追体験している気分になります。前田拳太郎さん・柏木悠さんのコンビが爽やかでかわいらしく、2人の心情の動きを丁寧に描いて見応えがありました。
土ドラ「あたりのキッチン」 フジテレビ
- 食を通しての人とのつながりが丁寧に描かれていて、毎回涙します。桜田さんがいいですね。話す事が苦手だけど、一生懸命な姿が可愛らしくて応援したくなります。
鶴瓶ちゃんとサワコちゃん〜昭和の大先輩とおかしな2人〜 BS12
- それぞれ長く対談番組をされてきていて、一人でもできるMCを二人でするのが最強です。ゲストも味があって司会よりも上のお歳なのも面白すぎます。長く続いてほしい番組が始まって嬉しい限りです。
松本人志と世界LOVEジャーナル NHK
- 放送前は色々批判が多かった番組。しかしとても興味深い内容の番組だった。日本では特に決まりがなくモザイクがあるのも初耳だったし、海外ではモザイクがないというのも驚きであった。ワイドショーという感じの力の抜け具合がこの番組の良さになった。月に1度はやってほしい番組。
私のばかせまい史 フジテレビ
- 特に「2時間サスペンス史」は2時間ドラマ研究のトップランナーと自認している私からみても、実に手際よくまとめられていた。2ドラのDNAは多くのドラマの「犯人探し」「お約束」「外連味」の面白さにつながっている。それを少しでも大衆に理解してもらえたのは良い機会だった。スタッフに敬意を表したい。
ETV特集「年金探偵が行く」 NHK
- 既に故人となっている人のものまでも含めて、依頼に応えて粘り強く調査を重ね、戦前や戦時中の不明年金をしっかり受給へと持ち込む75歳の社会保険労務士、柴田友都さん。その淡々としながらも強い使命感に貫かれた姿に敬服すると共に、この国の年金監理体制の圧倒的不備と担当役所の不作為、制度の欠陥といった福祉貧困情況にため息。いやこれはひとり年金に限ったものではないのだろう。「この国には民主主義がない」との柴田さんの言葉が重く響く。
伊集院光&佐久間宣行の勝手に「テレ東批評」 テレビ東京
- 土曜日の午前中に家にいると必ず見ています。テレビ東京ファンのMCと局のOB、番組出演者のゲスト、進行役の局アナ。全員が出る側の立場にいながら、立ち位置は微妙に違っているところがミソなのかな、と思います。正面突破の批評と裏話が共存する、見る側にとっても楽しい番組です。
NHKスペシャル 老いる日本の“住まい”「第1回 空き家1000万戸の衝撃」 NHK
- 荒廃のままに手もなく放置されながら、その数を加速度的に激増させている沢山の「空き家」群。ここに象徴されるこの国の「住環境」の深刻な崩壊情況に対し、個々の当事者も、法制度面を含めた行政も、何ひとつ対応することの出来ていない、出来そうにもない、強烈な現実に改めて脅えてしまう。小さな打開成功事例を多少見せられたところで、それらが皆、焼け石に水であることは丸わかり。どうするんだろうね、我がニッポンは。
NHKスペシャル 老いる日本の“住まい”「第2回 マンションに迫る2つの“老い”」 NHK
- いま団地に住んでいるが、管理組合の役員も経験するなかで、考えなければいけない課題について、気付かせてくれた。解決はなかなか難しいが、今後も迫ってほしいと思う。
- 住居の老朽化、ということのみならず、そこに住まう人間たちの高齢化こそが大きな問題であることを明瞭に指し示す重い問題提起。これは住まいだけの問題ではなく、日本社会そのものの未来、ありよう全てに関わってくる、根本的な国家的危機についてのことであることを痛感させられる。しかし、今の政治がそのことをきちんと見据えてくれているようには全く思えないのだが・・・。
報道特集「検証ジャニーズ事務所とTBSの関係 性加害問題 報じなかった背景」 TBS
- 内容的にまだまだ不足感はあるが、自らのメディア責任をしっかり問わなければならないという、それなりに誠実な姿勢は一応感じられた。制作現場アンケート中の「忖度などない」「プロダクションの都合を聞いて調整することは普通のこと」といった言葉には、改めてため息が出てしまうが・・・。まさにその「調整」こそが「忖度」に基づいているものであったことをもっと正直に語って欲しいし、その空気を強固に、また巧緻に作っていた同事務所の白波瀬元副社長が渡辺プロ出自であったことを思うと、隠蔽や報復が横行するこの業界の闇がひとりジャニーズのみにあったものでないことは明らかであり、その辺のところの更なる深掘り取材を今後期待したい。
NHKスペシャル「OSO18“怪物ヒグマ”最期の謎」 NHK
- 恐ろしい人喰い熊だと思っていたら、縄張り争いに負け、食料を求めてひたすら保護区を目指す熊であったことを教えてくれた番組でした。ディレクターの執念の捜索で駆除されたのがOSO18であったとわかり、その行動や熊自体の状況が解明されていく様がすごかったです。番組の演出ではあるのですが、一番恐ろしいのは人間かもしれないというラスト。人と熊との共存とは、自然と人とはどう折り合いをつければいいのか、考えさせられた番組でした。
週刊フジテレビ批評特別版「旧ジャニーズ事務所の性加害問題と“メディアの沈黙”」 フジテレビ
- 自局を検証したのは評価する。局員が顔出しで説明したのもよい。しかし、まだまだ検証不足で、特にジャニーズ事務所とフジテレビの歪な関係を露呈した「SMAP×SMAPにおけるSMAP公開謝罪」を検証しなかったのは、大きな問題だと思う。検証番組第二弾の放送を期待する。
NHKスペシャル「ハマスとイスラエル 対立激化どこまで」 NHK
- 宗教が絡んでいるので日本人にはなかなか理解できない問題である。多くの命を失ってまで守らなければいけないものなのか。互いとそのほかの国の思惑が混じりあいそれに翻弄されるのはいつの世も普通の市民である現実に絶望しかない。
オールスター後夜祭’23秋 TBS
- 感謝祭後の恒例の番組。今年は視聴者参加型ではなかったものの非常に面白い企画があった。特に酢わんこそばチャレンジは最近のテレビでは見られない面白さもあった。永田裕志白目剥いちゃう?剥いちゃわない?も斬新で面白かった。
アナザーストーリーズ 運命の分岐点「金閣炎上 若き僧はなぜ火をつけたのか」 NHK
- 金閣寺はなぜ放火されなければならなかったのか。三島由紀夫と水上勉がそれぞれの作品の中で描いたまったく異なる修行僧の心理を分かりやすく提示してくれた。美を追い求め続けた三島と自ら修行僧の経験を持つ水上の視点は似て非なるもの。あらためて『金閣寺』を読みたくなった。
ニッポン人の頭の中 日本テレビ
- 土曜日の午前中、情報番組が多い中でこういった形の番組は新鮮に感じました。また、この時間帯にくりぃむしちゅーの有田さんが出演しているのも意外性がありいいです。
笑わない数学 第2シリーズ NHK
- この番組で、ちょっとどうかと思っていたパンサー・尾形貴弘さんのイメージが変わりました。数学を理解しているかどうかは謎ですが、膨大な量のカンペを見ながら熱量込めて伝えていくひたむきさがいいと思います。取り上げるテーマは相変わらず難解ですが。
Gメンバーの推薦番組
NHKスペシャル 「ドキュメント“宗教2世”を生きる」 NHK
- 宗教団体エホバの証人の信者を母に持つ宗教2世の女性の人生を振り返り、戒律を破った兄が家庭から排除され、自殺してしまったり、母が病気にかかった際に本人の意向を尊重して輸血を拒否する選択するなど、苦悩してきた様子が描かれる。番組終盤では、亡き母と同世代の女性信者を訪ね、母と重ね合わせながら対話をすることで、親子の接点が無かったのかを尋ねていく。NHKが特定の宗教団体を実名で取り上げるまでには、局内で相当に議論があったことと思う。この番組で救われる人がいることを願いたい。
映像’23「流言飛語百年」 毎日放送
- 100年前の関東大震災における理不尽な朝鮮人中国人虐殺。これを引き起こした悪質なデマゴーグの発生背景や、それが拡大していった社会構造を丁寧に掘り起こし、また、この無惨な史実を認めることなく卑劣に背を向け続ける、現今の日本政治の低劣さにも言及する。見応えあり。情報通信技術の進化が、この「流言」事態を今後更に悪化させていくのだろうことを怖れるばかり。
スーパーのカゴの中身が気になる私 中京テレビ
- 30分ドラマで、その30分の中に1人の人生をカゴの中身を見て考えるというドラマ。オリジナルだからこそ好き放題している感じが垣間見えて面白かった。
週刊ビジネス新書〜明日から使えるビジネスのヒント テレビ東京
- 「勝手に『テレ東批評』」の前に放送している番組で、毎回、時代に先駆けた取り組みを行う企業を紹介しています。伊集院光さんと竹内香苗さんのおだやかな進行が、堅苦しくなりがちな経済番組をソフトにわかりやすくしています。ビジネス本の朗読サービスや、建設業界の人出不足をDXで解消する企業など、取り上げるテーマも興味深いです。
KinKi Kidsのブンブブーン「林遣都&稲葉友とご飯のおとも海の幸編、山の幸編」 フジテレビ
- とにかくみなさんたくさん食べていらっしゃいましたが、無理やりお腹に入れているのではなく、「美味しくてつい箸が止まらない」のが伝わってきて、かつ、とても綺麗に食べられていたのがよかったです。自由にノリを要求したり、進行が促す前に食べてしまったり、自分の一押しのおともだけを追加してしまったりと楽しんで食べていらっしゃる様子に、たくさん食べる番組でしたが気持ちよく最後まで拝見することができました。
オリジナルドラマ「MALICE」 U-NEXT
- 刑事、容疑者、記者という3者の視点から一つの事件を追っていく話が面白かった。視点が変わると同じ事件でも感じ方が変わるということがよく分かった。出演している俳優さんたちが、皆さん演技が上手だったので引きこまれました。
(掲載は順不同)