2023年11月度-月間ノミネート
連続テレビ小説「ブギウギ」 NHK | 得票数:111 |
日曜劇場「下剋上球児」 TBS | 得票数:87 |
連続ドラマW「OZU 〜小津安二郎が描いた物語〜」 WOWOW | 得票数:72 |
連続テレビ小説「ブギウギ」 NHK
- この11月はスズ子が上京し、運命の作曲家・羽鳥善一と出会い、初恋がほろ苦くやぶれ、歌に舞台に邁進する姿が描かれた。この朝ドラで最大のインパクトを与えられた楽曲の1つ「ラッパと娘」が初登場。戦前にこれほど完成された和製ジャズの曲があったことを寡聞にして知らなかったが、所狭しとステージ中躍動するスズ子の姿に感動を覚えた。趣里さんの伸びやかなパフォーマンスと、力強さや繊細さを持つボーカルに、きっと笠置シヅ子さんに熱狂した当時のファン達と似た感情を呼び起こされたのだと思う。芸能を扱うドラマでは劇中で俳優達がパフォーマンスをするが、「ブギウギ」の力の入れ方は本気だと改めて感じ入った。
- 圧巻だった「ラッパと娘」の演奏。上京先に出会った羽鳥善一はジャズかぶれの英語で淡白、しかし創作意欲は湧き出す泉の如く。スズ子の歌に触発され曲を変更してしまうスピード感。彼が楽団の指揮をしているのを見ると、紅白のトリでもタクトを振っていただきたい気持ちになる。しかし、時代背景はこの後、暗くなる一方。少しでも明るい展開があるといいなと思う。
- 戦況が深刻になる中、エンターテインメントの世界に生きてきた人たちがどうしていたのか、そんな中で生まれたスズ子の恋はどうなるのか、比較的暗くなり過ぎずにここまで描かれていますが、これからどうなるのか、目が離せない朝ドラです。
日曜劇場「下剋上球児」 TBS
- さすがに奥寺佐渡子さんだと思える脚本。たっぷりと時間をかけるところと一気に端折るところ──その時間のコントロールが絶妙。単なるスポ根ものにはせずに、こういうストーリーを描けるのはすごいと思う。鈴木亮平、井川遥、黒木華、小日向文世ら、巧い役者たちがしっかりと芝居を引き締めている。
- 当初は南雲先生の無免許問題がノイズになってしまって乗り切れないと思っていたけれど、一度失敗した人でも更生しやり直すことへの周囲の優しさを描いていきたいんだなとわかってきてからは楽しく見られるようになり、すっかり野球部のメンバーにも愛着がわきました。史実通りにいくなら勝ち上がることはわかっているのにそれでも毎回ハラハラし応援しながらみていました。
- 毎回家族で号泣。こんなに家族揃ってドラマを見るのは何年振り?というほど、リアタイしている。鈴木亮平が素晴らしいし、生徒たちがまた。この感動は日本の部活ならではの、日本の宝なのでは。jizueの音楽も絶妙。
連続ドラマW「OZU 〜小津安二郎が描いた物語〜」 WOWOW
- かつての白黒映画、無声映画を新たにリメイクということでしたが、無理に時代を合わせたりすることなく新たにその世界観を描いていて、人情がにじみ出る世界観をじっくり魅せていただくことができてとても楽しめました。
- 各話違う監督、脚本、キャストで、それぞれが違った味わい方が出来る佳作揃いでした。リメイクでありながら、どの作品にも新しさを感じるのは小津安二郎の作品のもつ普遍性ゆえなのでしょうか。小津作品の魅力を再発見出来るだけでなく、今が旬のキャスト、監督の魅力も味わえる素晴らしい企画だと思います。
- 誕生120年記念の企画ドラマ。初期のサイレント映画6作のリメイクだが今まで知っていた映画の「小津作品」とは少々異なる大胆でユニークな興味深い監督小津安二郎の一面に魅せられた。見応えのあるドラマだった。タイトルの世界の小津「OZU〜小津安二郎が描いた物語〜」には非常に共感しました。
他に推薦された番組
ドラマ10「大奥Season2」 NHK
- 幕末編がはじまった。いよいよ大奥の終焉である。season1,2と見続けてきた今、男女逆転という突飛な設定が何の違和感もなく、むしろこの大奥こそが史実であったのではないかと思うほどだ。原作の持つ力だけではない、スタッフ、役者一丸となってこの作品に取り組んでいるだろう熱量の高さが、リアリティと説得力、そして毎回の感動につながっている。
- 安達祐実や仲間由紀恵扮する、醜い女性の性的なヒールな部分にやや引いたりはしたが、阿部正弘が登場してからのストーリーには毎回震えた。人として何と素晴らしい人物が多かったかと、感動するばかり。ストーリーも然ることながら、衣装や美術が素晴らしい!絢爛豪華を見事に描いていて、これは海外の皆様にも是非見ていただきたい壮大なドラマだと思った。
ドラマプレミアム「友情〜平尾誠二と山中伸弥 『最後の一年』」 テレビ朝日
- 平尾ファンだったし、原作も読んでいたので、楽しみにしていました。本木さんの、予想を遥かに超える再現度に、本人かと見間違うぐらいで、涙が止まりませんでした。ドラマ全体から平尾さんと山中さんへのリスペクトも感じられ、エンタメだけではない稀有なドラマだと思います。
- 平尾誠二と山中伸弥の二人が写った写真は以前どこかで見た記憶がある。仲が良いことは何となく知っていたが、今回このドラマを見て、二人の友情の軌跡と深さを知り、涙を禁じえなかった。特に平尾誠二を演じる本木雅弘の姿が、在りし日の平尾誠二にそっくりで、目を見張った。姿形ばかりではない。病を得た平尾が、徐々にやつれていく姿や前向きに治療に取り組む姿、死の直前までかすれた声でコーチに指示を出す様子に、鬼気迫るものを感じた。主題歌が松任谷由実の「ノーサイド」なのも、ドラマの世界観にぴったりだったと思う。
ドラマNEXT「推しが上司になりまして」 テレビ東京
- まずは鈴木愛理さん演じる主人公の「推し」女子の体現が100点満点である。挙動不審な目線や一人突っ込みの仕草、脳内再生される文字数多めの爆音つぶやきなど、推しへの想いに溢れていてお見事!と称賛をおくりたい。ヲタ友や、ゆりやんレトリィバァ演じる理解ある職場の同僚など、登場人物のバランスが良く、ストーリー展開のテンポも小気味いい。
火ドラ★イレブン「時をかけるな、恋人たち」 フジテレビ
- ロマンチックすぎて笑ってしまうという初体験。瑛太のあやしすぎる動きさえロマンチック。吉岡里帆のコメディエンヌぶりも見逃せない。脚本も演出も懐かしい感じもしつつ、17歳の娘に言わせると、これが新しいんだよ、とのこと。一周まわったのかも。
木曜ドラマ23「天狗の台所」 BS-TBS
- 山奥に暮らす天狗の末裔の兄弟の話とは、少々懐疑的だった。しかし、丁寧な美しい自然と季節の描写と料理が、見るものを全く飽きさせない。また、ニューヨーク育ちの弟役の越山敬達がすねたり甘えたり、だんだん山奥暮らしに慣れていく様が大変良かった。今年上期の僕らの食卓も素晴らしかったが、地方ロケで、食事をモチーフにした、ドラマ作り(そして子役の選定)にBS-TBSは長けているようだ。今後も期待したい。
水曜ドラマ「コタツがない家」 日本テレビ
- ドラマの「核」は、石川さゆりの主題歌「ダメ男数え唄」が的確に示す。1番が「だめな男よ背中に乗りな アタシが食わせる心配するな」で、2番は「アタシが育てる」、3番「アタシが見送る」とつづく。男女共同参画とか、女性が輝く社会とかスローガンを並べたがるが、男は肩書や地位という虚構にしがみついているだけではないのか。だから、それがなくなった途端にダメになる。女は、底力を持っている。そんなことをつくづく思わせた。何より、小池栄子さんの広さと温かさがいい!
- これまでありそうでなかった婿と舅、そのはざ間で苦闘する嫁と家族のドタバタが面白い。婿で夫の吉岡秀隆のバカさ加減もあきれるほどうまい。石川さゆりの歌う番組テーマ曲もピッタリ!「紅白」で歌ってくれることを期待したい。
土曜ドラマ「商店街のピアニスト 永遠の調べ」 BS松竹東急
- ピアノや音楽を通じ、人々の心の交流が丁寧に描かれた作品で、良い意味でギスギスした雰囲気がない古き良きドラマで、観ていて心が温かくなり、いつも澄んだ気持ちにさせて頂けます。
木曜ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」 テレビ朝日
- ゆりあ先生がただの都合の良い肝っ玉母さんではなく、しっかり自我を持つ人間であり、その上で周囲の人間誰からも愛されていくので毎回気持ちよく楽しめている。三田佳子さんのボケてるのかしっかりしているのかの塩梅が天才的。鈴鹿央士の新しい側面が見れてこの人の今後の飛躍が益々楽しみに。木戸大聖さんの可愛さに毎回旨を掴まれている。
夜ドラ「ミワさんなりすます」 NHK
- 役者推しの人にはたまらない内容。常におどおどしつつ、推しのこととなると思いもよらない大胆な行動に出、推しの心を掴んでいく主役に松本穂香がピッタリ。名俳優役の堤真一も、この役を楽しみつつ、役者の哀愁も醸し出していて適役。なりすまされた側の恒松祐里のキャラの変加減が絶妙で毎回ざわキュンが止まらない。主題歌がまたハマりすぎで。
ドラマチューズ!「くすぶり女とすん止め女」 テレビ東京
- 中年の専業主婦で、息子と娘を育てながらも、モラハラ全開の夫に我慢を強いられてきた西田尚美。「どうせ私なんか」と逡巡していたのが、会社で働くことで世界が開ける。職場で出会った若い同僚・香音は、最後の踏ん切りがつかずに、こちらも逡巡。そんな二人に共通するのは、「家族」へのこだわり。結婚への期待と不安、離婚をしてもなお家族への消えない思いは、多様性の現代にあっても、家族という基本集団のレーゾンデートルが大きいことを考えさせた。
ドラマイズム「マイホームヒーロー」 TBS
- 佐々木蔵之介と木村多江が夫婦役、吉田栄作まで投入して深夜ドラマとは、歓迎すべき反則技。グロすぎて、普通なら目を背けたくなる内容が盛りだくさんだが、どきどきはらはらドラマに引き込まれていったのは、この演技陣があってこそ。
ドラマ特区「君となら恋をしてみても」 TVK
- とても丁寧に原作を実写ドラマとして落とし込んでいて且つドラマオリジナルシーンも上手く差し込んでおり原作ファンの自分にはかなり満足感のあるドラマでした。江ノ島の美しさと日向亘さんの自然な演技が生み出す龍司のかっこよさ、大倉空人さんの表情の演技でみせる天の繊細さにリアリティを感じました。近年の恋愛物においてすれ違いが多く描かれる中、この話は主役2人が真正面から対話するのですれ違いが起きないという所が数多くの恋愛物を見てきた私にはとても新鮮で1番好きなポイントでした。
火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」 TBS
- 青春をやり直すヒロインが恋愛だけでなく勉強面にもしっかり取り組んでいるのが令和のラブストーリーだなと感じます。広瀬アリスさんはラブコメのヒロインが良く似合って魅力満載。
大河ドラマ「どうする家康」 NHK
- 関ケ原の合戦を最後に四天王の3人の退場。特に本多忠勝と榊原康政の2人が主君家康を置いて先に衰えてゆく悔しさと、まだ頑張れると気合を入れる場面には涙した。いつまでもそばにいたい気持ちがよく伝わる。敗れた石田三成も小早川秀秋も新しい解釈での中での演技で、従来の最初から悪者ではない、何かのきっかけで敵対するのだと言う演出。ドラマの見方が変わった。
家政婦のミタゾノ テレビ朝日
- シリーズ初のゴールデン、ミタゾノさんはじめオリジナルキャストの顕在ぶりに加え、過去キャストのゲスト出演によりシリーズの世界観を存分に紹介できている点が、見ていて楽しい。瞬きひとつしない彼女から「痛み入ります」のセリフを聞くたびに、ミタゾノさんの心根を覗き込みたい衝動にかられる。
うちの弁護士は手がかかる フジテレビ
- 今期の作品の中では一番好きです。ムロさん演じるパラリーガルと平手さん演じる弁護士との軽快な会話、弁護士事務所の個性的な面々、一話完結形式の分かりやすいストーリー、ピンチになっても最後にスカッとする終わり方など、本当に楽しい要素満載でした。時たま入る他局や他ドラマの小ネタも面白かったです。
ドラマ8「ハイエナ」 テレビ東京
- テンポ良くタネ明かしまで進んでくれるので、ストレスなく楽しめた。中尾明慶さんや瀧本美織さんなど脇を固める俳優さんたちが良い雰囲気を出していたので、もっと調査シーンや法廷のシーンで仲間との連携を見たかったかも。八木勇征くんのファンなので爽やかなスーツ姿の初々しい弁護士役が見られて嬉しかった。
木曜劇場「いちばんすきな花」 フジテレビ
- やさしさを考えるシーンが沢山あって和んだ。主人公達が発する「少数派の人が共感できるような言葉」や行動に癒された人が多かったのではないだろうか。
- 人との関わりを再認識してしまう令和の物語。仲間になる事、人が交わることの難しさを、隠さず画面で見せて頂いて共感する箇所が多数。色の違うマグカップは、互いの個性を表現した色合い。カップを揃えることで、一緒にお茶を飲みながら話をしたいと言う気持ちがあふれている。「友情」「愛情」のような、名前を付けないで「ただ話を聞いてもらいたい」関係は、時に必要なのかも知れない。最後の展開が一番気になるドラマです。
金曜ドラマ「フェルマーの料理」 TBS
- 主人公の岳が、関心のある方向へただ無垢に楽しもうとする姿が、端からみると天才肌というか威風さえも感じられる。その様子は主演のみならずレストランKのスタッフの目線との相乗効果で生み出されているのではないかと思われる。
ドラマシャワー「ワンルームエンジェル」 TVK
- 30代のやさぐれ男が、臨死体験で出会った落語好きの天使と、安アパートで同居する話。BL枠のドラマシャワーの1作ではあるが、そっち方面に話が進むわけでなし。ところが、天使の過去の壮絶な体験が明らかになると、物語の本筋が明らかになる。魂の結びつきがあれば、どんな人生でも、意義を見つけやり直せるのだ。BLの枠にはとどまらない感動作。上杉柊平のやさぐれ男ぶりがあっぱれだった。
ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ フジテレビ
- クリスマスを迎える時期によく分からない事件が起こる、まさに「から騒ぎ」。しかしどうしたことか毎回欠かさず観てしまう。なんだか不思議な引き付けられたドラマでした。
誰も知らない明石家さんま 日本テレビ
- 「笑いに魂を売った男たち」の特別ドラマが素晴らしかった。ドラマとしてとても見応えがあった。ビートたけしを演じた香取慎吾の演技が素晴らしく、シャイな雰囲気とか笑いにかける情熱とか、途中からビートたけしにしか見えなかった。明石家さんまを演じた岩田剛典との掛け合いもテンポよく、ひょうきん族のエピソードは、そのころのテレビを思い出す懐かしいものだった。
世にも奇妙な物語’23 秋の特別編 フジテレビ
- やっぱり草なぎ剛の開演は見事でした。殆ど他の共演者との絡みはないもののストーリーを破綻させずに展開させる。狂気と哀しみの表裏一体の芝居は流石です。
新土曜ドラマ「ゼイチョー 『払えない』にはワケがある」 日本テレビ
- コミカルに描きながら、税金に対する考え方を改めて考える事が出来る。特に若い人で税金や年金等、改めて考えることが出来たのではないかと思います。
連続ドラマW「ギフテッド Season2」 WOWOW
- 刑事ものの社会派ミステリー、かつ人間ドラマで、ハラハラドキドキしつつ社会や人との交わりなどを考えさせられた良いドラマだった。主役の天草刑事やその上司が刑事としての矜持を持ち人間性も良かったのが気持ちよく見れたのだと思う。天草刑事の父親が亡くなったのが無念だったが、父が捨て身で追った事件を解決した息子には、さらに成長し活躍してほしい。次の事件が起きたところで終わったので、続編があることを期待する。
土ドラ「あたりのキッチン」 フジテレビ
- 穏やかな世界観で穏やかな気持ちで見られるドラマです。主人公の女性が少しずつでも自分の特性に合わせながら成長してきていて母目線で嬉しくなっています。
木曜ドラマ「ブラックファミリア〜新堂家の復讐〜」 日本テレビ
- このご時世にこれをやるのは、とても良い事だと思う。性加害が話題になった頃にちょうどドラマが始まってタイミングがいいなとは思っていたが、内容も生々しく面白かった。このドラマは男性から女性というのが全くの別物だが…。
鶴瓶ちゃんとサワコちゃん〜昭和の大先輩とおかしな2人〜「岡林信康」 BS12
- 「神様」と言われることに苦しんでいた若い時代を経て、今それをギャグで受け入れるようになり、縛りから解き放たれて「神様」なんかじゃない人間くささを思い切り放出している様子。音楽に詳しい鶴瓶ちゃんと同世代のサワコちゃん。堅苦しさのないインタビュー(雑談?)いいもの見せてもらえました。
3分ドキュメンタリー NHK
- タイパタイパとよく言われますが、3分ドキュメンタリーはあらすじをまとめられていたものの、もっと知りたい気持ちにさせてくれるまとめでした。ドキュメンタリーアーカイブのインデックスのような、そんな映像でした。
ETV特集「わたしと先生とピアノ」 NHK
- 戦争中でも生徒たちはあまり緊迫感がなく普通に学校生活を送っており沖縄侵攻されても日本の勝利を信じて疑わず、すぐ家に帰れると思っていた様子に驚いた。生徒や先生たちを戦場へ駆り立てていた校長が終戦後国立大学の教授になっていたという後日談には複雑な思いである。
有吉弘行の脱法TV フジテレビ
- カラーバーの演出が面白すぎる。鋭い正論を放つ吉川美代子のキャスティングも絶妙。6月放送『ケーキのかわり』の延長線上にある企画だが、今回は「放送の基準」=テレビという枠組み自体を使って遊んでいるのが批評性もあって秀逸。
NNNドキュメント’23「『職業 羽生結弦』の矜持」 日本テレビ
- 自分の名前を「職業」とした想いや覚悟が詰まっていた。プロになってもなおジャンプのレベルは落とさず競技者の頃より練習はハードだという。コーチという存在がいない分自分に厳しく更なる高みを目指すその姿は神々しくもあった。
ETV特集「人新世 ある村にて」 NHK
- 先進国がリサイクルを名目に廃棄プラスチックを発展途上国に押し付けている現実である。しかし今やそれがなければ生活が成り立たない人々がいる矛盾。そして結果的には巡り巡ってマイクロプラスチックは地球全体にばらまかれ生態系を脅かしているという。どの段階で解決しなければならないのか、人新世を生きている私たちの責任は重い。
NHKスペシャル シリーズ“宗教2世”「神の子はつぶやく」 NHK
- 森山未來&田中麗奈、萩原聖人&酒井若菜のリアリティ。河合優実&根本真陽というNHKドラマに多数の出演経験のある2人の姉妹キャスティングが見事。宗教2世の問題をドラマとして見せる、公共放送の矜持。重い内容だが暖かみの感じられる脚本に、柴田岳志×清水靖晃の名作タッグによる演出と音楽が素晴らしかった。
- 旦那とその母親を見ているようで胸が締め付けられました。旦那も時々信じられないような発言をしてきますが、それは幼少期の教えが未だに抜けていないだけなんだと思えるようになりました。居間が信じられないくらい気まずい空気でしたが見て良かったドラマです。
NNNドキュメント’23「言葉のないあなたのために さまよう繁殖犬とペットビジネスの闇」 日本テレビ
- 大量のペット用繁殖犬が四国山間の僻地へ秘かに捨て去られ、哀れに痩せ衰えた姿でさまよっているという事態を四国放送がしっかりと伝える。高齢となって繁殖には対応出来なくなったり、病気にかかって手に負えなくなったために用なしになったということで、悪質なブリーダーがこの冷酷な所業を行なっているようなのだが、ここに見える精神劣化は、この案件に留まらず、この国のあらゆるところに浸潤しているように思われて、薄ら寒い気分になってしまう。
NHKスペシャル シリーズ食の“防衛線”第1回「主食コメ・忍び寄る危機」 NHK
- もう何年も前から問題となっている日本の食料自給率やさまざまな食料危機を真正面から検証する番組。1回目のコメは日本人にとってまさに生命線である。その生命線が今大きく揺らぎつつある。こうした問題はいつも解決を次世代に先送りしてきた。そろそろそのツケを誰かが支払わなければならない時が近付いている。
NHKスペシャル 混迷の時代第12回「難民“漂流” 人道主義はどこへ」 NHK
- 中国本土を脱出するしかない困窮難民の激増、不動産バブルの崩壊により建設途中で放棄されるマンション廃墟、若年失業者の大量発生、等々の深刻な社会不安。しかし事態をより悪化させている最大の病根が、国家による、データ秘匿をはじめとした内外への実情隠蔽にあることを明示する。恐らくは相当の厳しい制約環境があったと思われる中、しっかりと良く取材されている。それにしても中国、大変だ。・・・と傍観している余裕などこちらにも無いのだが。
それって!?実際どうなの課 ゴールデン2時間SP 日本テレビ
- 森川葵さんの超人的な飲み込みの速さと器用さと、何よりとことん前向きに明るく、長時間保つ集中力を遺憾なく発揮した特番でした。本当に彼女はこの才能で世界に出て行けると思います。
ドキュメント20min.「ニッポンおもひで探訪〜北信濃 神々が集う里で〜」 NHK
- NHKでしかできない、そしてこの1回でしかできない驚きの内容でありながらドキュメンタリーとして最後はじんわりと落涙させられた20分でした。自分もSNSで興味を持ちNHK +で視聴したのですが「とにかく見て欲しい」と周りの人に沢山触れ回ったし、実際拡散されている声も多く観た人を同じ気持ちにワクワクさせてくれる「テレビってやっぱり面白い」を感じさせてくれた最高にエキサイティングな20分でした。
映像の世紀バタフライエフェクト「パリは燃えているか」 NHK
- 作曲家加古隆氏による「パリは燃えているか」のテーマ音楽で始まる毎回非常に興味深い世界の激動の歴史を映像で紹介する貴重な番組シリーズ。パリ100年間を主にシャネル、ドゴール、ピカソで紹介している。ヒトラーはパリの破壊を命じたがドイツ軍司令官コルティックはそれを拒否、その時に苛立ったヒトラーが言い放った「パリは燃えているか」。ドイツ占領後のヒトラーがパリで「パリを見るのが夢だった」と言った言葉がなんとも矛盾していて芸術を愛したと言われるヒトラーなのか、と感じました。
水曜日のダウンタウン TBS
- 「名探偵津田」第1弾は主旨を飲み込めないまま終わった感があったが、今回はすぐ気付いて受け入れてからは文句を言いながらも世界に入って前のめりで推理する名探偵。理沙を好きになる展開や助手みなみかわとの名バディなど、ストーリーが巧くて見入ってしまう。2人が全力で探偵になってるからこそ、たまに入る鋭いメタツッコミが面白い。
市民X 謎の天才「サトシ・ナカモト」 NHK
- 電子金融という画期的、歴史的転換を巻き起こした「ビットコイン」。これを発明した人物が、匿名で突然登場し金も名誉も得ることなく静かに消えて行った、という事実を初めて知る。ブロックチェ−ン発想の確立の中で生まれたビットコインが、「非中央集権」という極めて民主的な理想を具現化したものだったという指摘に少し驚くが、これが悪意ある者たちの手によって犯罪に利用されていったという話は、かつての「Winny」や今の「生成AI」に通ずることのようにも思われ、興味深い。
NNNドキュメント’23「いろめがね〜部落と差別〜」 日本テレビ
- 部落問題だけでなく世の中にある様々な差別は何故あるのか。答えた人たちから多く発せられた言葉が「弱さ」であった。弱いがために自分より弱い人を作って見つけて優位にたち溜飲を下げる。ネットの時代になって誰もが差別される側にもする側にもなり得るのだと暗澹たる思いがした。
Gメンバーの推薦番組
100カメ「大奥 美術部 美しさを追求するプロたちの情熱」 NHK
- 美術部の方のお仕事、感服いたしました。美術部さん渾身の赤顔疱瘡は確かにシーズン1より2の方が断然リアリティがあるものに仕上がっていましたね。エキストラさんのカツラひとつ決めるのもよりその方に合うものを吟味したり、役者さんの地毛をつかったりと新しく知ることがたくさんあり、大変興味深かったです。こういう裏側を見せていただけると本編ドラマもより楽しく見られます。あっぱれなお仕事ぶりでした。
ザ・ドキュメント「逆転裁判官の真意」 関西テレビ
- 退官直前、大阪高裁での1年半の間に35件の一審判決破棄、うち7件に逆転無罪の判決を下したという裁判官、福崎伸一郎氏。それぞれの案件事情から、必ずしも個別事件を深く掘下げられないという若干の隔靴掻痒感はないでもないが、この判事が異様に目立ってしまう今の日本司法の深刻な劣化情況をしっかりと露わにしてくれた。「当たり前のことをやっていたら、たまたまこうなっただけ」という福崎さんの言葉が耳に残る。
新美の巨人たち「イサム・ノグチ『AKARI』×美村里江」 テレビ東京
- 彫刻家のイサム・ノグチが家庭用インテリア照明を手がけていたことを初めて知りました。芸術とプロダクトデザインの豊かな関係が綴られた回でした
ファミリーヒストリー「町田啓太〜源平合戦まで遡るルーツ 職人だった祖父の思い」 NHK
- 毎回感心するNHKスタッフの調査力。ラストのお祖父さまの手帳に残っていた「濡れ落ち葉 自分で乾いて舞い上がれ」に涙する町田氏の想いにもらい泣きでした。群馬の田舎育ち とご本人が言っているその景色を見られたことも感慨深かったです。
おいしい給食 Season3 TVK
- まさか、シーズン3まで行くとは思わなかった。今回の舞台は函館。給食をめぐるドタバタが続くだけのドラマではあるが、新天地でますます面白くなっている。市原隼人が演じるエキセントリックな甘利田先生もパワーアップ。新たなライバルである粒来くん役の田澤泰粋の純朴ぶりもうれしい。高畑淳子の駄菓子屋は自分でも寄ってみたい。
萩原利久のwkwkはぎわランド フジテレビ
- 月に1度の深夜バラエティ番組。最初の1〜2回は閉口ものだった。若手実力派俳優さんが昭和のバラエティのようなマネしてどうする?と。しかし本人の楽しそうな素の笑顔に引かれて観た11月の回は、とても良かった。ドリフトに挑戦したり、ゲームの対戦したり。予告の12月はNBA公認のバスケチャレンジと芸人のプロデュースだそうだ。若手俳優さんの演技以外の新しい顔を見ても良いんじゃないかと、思い直した番組です。タイトル通り次回もワクワクして待っています。
- 今をときめく俳優の萩原利久さんが、芸能界入りする際に憧れていた小島よしおさんとタッグを組んだ初冠番組。裏表のない性格の萩原さんが、好きなものを全力で楽しむ姿を一視聴者として一緒に楽しませていただいています。
ドラマ24「きのう何食べた? season2」 テレビ東京
- 毎回、ケンジの「美味しい!」の言葉が素敵です。共に暮すにあたって、お互いを思い合う2人にキュンとします。なにか派手なことを起こるわけではないドラマなのですが、見終わったあとにちゃんと生活しよう、自分も誰かへの感謝は素直にしっかり伝えようと思わせてくれるドラマです。
- 性別というハードルはとうにシーズン1で飛び越え、人間同士、家族、一緒に年を重ねる、一緒に老いていくという誰にでも当てはまるテーマを描いてくれる心に沁みるドラマ。今回はシロさんの元カレにミッチーという大正解をキャスティングした方に心からの大拍手を贈りたい。
(掲載は順不同)