2023年5月度-月間ノミネート

プレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」 NHK 得票数:130
風間公親−教場0− フジテレビ 得票数:102
金曜ドラマ「ペンディングトレイン−8時23分、明日 君と」 TBS 得票数:97

 
 
プレミアムドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」 NHK

  • いろいろ嫌なことや辛いことがあっても、前向きに生きていこう、と思わせてくれるドラマ。俳優陣も演出もとてもよい。自分の足りないところや目を背けてきたところに気づかせてもらえる。このドラマを見ることができて幸せだと思う。
  • この作品は「『しょうがい』や『かなしみ』をこんなに懸命に、感動的に乗り越えました!」というものではないところに惹かれる。どこにでもある話ではないけれど、それでいて遠い家族の話でもない。主人公ななみちゃんがとても強くて前向きで、自分はこうはなれないけれどこうありたかった、こうあればよかったんだと思う反面、そんなななみちゃんをそっとハグして背中をぽんぽんしてエールを送りたくもなる。笑ってみていたと思ったら、しょうがいのあるなし関係なく胸を抉られるエピソードに涙が流れることもあり、それでもこの家族の歩みを見たいと思う。作中のお父さんのように。
  • 若き原作者、岸田美奈さんのいく人分もあろうかと思う程の濃い半生が描かれる。家族に降りかかる不条理な出来事をもがき立ち止まりながらも、奈々美たちが前を向いて新境地を開いていく逞しさにみなぎる力をもらう。ダウン症の俳優、吉田葵さんの演技が自然で、彼を支える現場の和やかな空気を感じる。そして七実演じる河合優美さんの役の作り込みと没入感に感銘を受けた。
  • 従来のテレビなら感動ポルノに仕上げられてしまいそうな重い境遇を原作の力もさることながら映画のように軽妙にドラマチックに描かれる世界に心奪われた。こんなに楽しくて笑えるなんて。そして同時に心にズシンとくるなんて。身内に障害者と車椅子がいる身としては、見てみぬふりをされがちな障害者や車椅子をここまでフラットに描いて貰える事が嬉しいし、道徳的になり過ぎず軽くなり過ぎず見事にエンタメとして昇華さらたこのドラマこそ真の多様性を描いた作品だし地上波で多くの人に見て欲しいドラマ。

風間公親−教場0− フジテレビ

  • ダークな画面、クールなカット割。倒叙的なミステリというより、それぞれの生徒のバックボーンが興味深い。木村拓哉さんの新境地。乾いた静の演技が良い。
  • 風間教場にやってきた新人刑事が自分の弱さや欠点を克服して、自分で考え事件を解決できる刑事となって卒業していく過程がジーンとします。エンドロールのUruさんの「心得」とともに次週の予告が入るのもドラマチックで良いです。風間の何もかも見透かしている視線、そこにいるだけで威圧感のあるオーラ、木村拓哉さんだからこそだと思います。
  • 警察にも民間企業さながらに現場の実地指導OJTがある、という若干トンデモ設定ながら、硬質な画作りが緊張感を持たせています。風間公親に鍛えられる若手刑事がみな悩みを抱えていて、指導を受けるうちに刑事としても人としても成長していく様子に毎回感動しています。
  • 犯行手口についてはちょっと無理がないかと思うところもあったが、あれもこれも盛り込もう!というあざとさなく、ドラマとして貫かれた一切ブレない「重さ」がよかった。犯罪者の子として残された子どものこれからや、歳の離れた夫の犯行とわかっていながら「ありがとう」と死んでいった妻の気持ちを思うと涙が止まらなかった。予想外の方向から感情を揺さぶれたドラマでした。

金曜ドラマ「ペンディングトレイン−8時23分、明日 君と」 TBS

  • いつもの普通の通勤電車が、突然の衝撃を受け…。着いたところは荒廃しきった未来というSFドラマ。これは、奢り・思い上がった現代人に待っている「原始」への回帰なのかとも思わせる。その中で、偶然乗り合わせた美容師の山田裕貴、消防士の赤楚衛二と高校教師の上白石萌歌が、時に衝突ししつも、道を探ろうとする姿を、力を入れずに演じている。「一筋の光」を負うのか、暗闇に嘆くのか。現実とオーバーラップする。
  • いざというときに「一枚岩になりたい」と思っても、乗っている乗客1人1人に人生がある。ただのサバイバルではなく、自分自身に向き合う心理的な要素もあるドラマ。イマドキの「息苦しさ」をも練り込まれて、ついつい感情的に見てしまう。心に刺さる。
  • 刑事、医療ドラマがやたらに多い今シーズンの中にあってひときわ異色なドラマ。現代人が電気や情報のない時代にタイムスリップした時の思考や行動が面白い。わずかな人数の中でも戦いがあり、愛が生まれることを再認識させられた。
  • 時空を超えるサバイバルストーリー、つくばエクスプレス全面協力でリアルな電車設定と半端ないハードなサバイバル生活を楽しめました。通勤電車で居合わせただけの乗客たちが絆を深めていく過程と、山田裕貴さんと赤楚衛二さんの主人公2人が抱える弱さをバディとして克服していく決意に感動です。

他に推薦された番組

連続テレビ小説「らんまん」 NHK

  • 新たな朝ドラが始まるたびに早いうちから賛否が分かれて評価されてきたが、今作は近年の集大成感がある。ユーモアも過剰でなくバランスがいい。映像と音楽に品がある。実力のある俳優を揃えたうえでその演技を生かす演出にも好感。

日曜ドラマ「だが、情熱はある」 日本テレビ

  • ふとしたきっかけで芸人になり成功する夢を持った若者が現実に打ちのめされ悲嘆にくれながらも前に進むが、認められず苦悩と挫折を繰り返すさまは観ている側は共感をしながらもとても苦しくなる。現在活躍している漫才師がモデルなので演者側はプレッシャーがあると思うが、研究し努力しているのが凄く分る程完成度が高いです。夢を掴むまでの日常を気負う事なく、まるでドキュメントを観ているような錯覚に陥る程、稀に見る傑作ドラマです。
  • メインの二つのコンビを演じる4人の俳優さん達がとにかく素晴らしい。どれほど研究し練習したのか。でも劇中でもがく姿以上の泥臭さは全く見せないところに感心させられる。完成度が高い分、物語がどのように着地するのか、最後まで楽しみにしている。
  • 畳み掛けるようなオープニングの口上から、気持ちのいいテンポ。私達の知っている外見になっていないのに、その人にしか見えない。特に、春日さんはピンクのベストも着ていないがそのもの。流石です。

日曜の夜ぐらいは… テレビ朝日

  • 女性たちの連帯を丁寧に描いていて、同じ女性として勇気をもらえました。先行きの見えない苦しい環境にいても、幸せに生きるため一歩踏み出してみたら、もしかしたらいいことがあるかもしれない。そんな本当は手を伸ばせば届く距離にあるはずの夢を、“日曜の夜ぐらいは”見てもいいんじゃない、とやわらかに描いた作品でした。幸せに手を伸ばす勇気を与えてくれる、現代に必要な物語です。

ドラマプレミア23「かしましめし」 テレビ東京

  • 現代時代の若者はパワハラ、セクハラや生きづらさがあるのだろうか。ただちょっと前向きに生きたい3人の食事風景が楽し過ぎて、ヒーリング効果抜群。互いを攻めることなく補いまくり、食べっぷりも会話も可愛すぎて、がんばる癒しをいただいている。前田敦子さん成海璃子さん塩野瑛久さんのキャストに感謝。

連続ドラマW「フィクサー Season1」 WOWOW

  • ドラマ好きにはぜひ見て欲しい井上由美子脚本、唐沢寿明主演という白い巨塔コンビの政治ドラマ。WOWOW製作ならではの渋い画作りと面白い脚本。CM無しでだいたい55分だが毎回あっという間に感じるくらい体感秒の面白さ。
  • 画面の端々まで拘り尽くした、正に大人エンターテイメントの楽しみが溢れている。ベテランの役者たちの競演に見応えを感じた。また劇伴が素晴らしく、そのシーンの迫力が何倍にも増していた。

日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」 TBS

  • 「全盲で捜査官ができるの?」という当初の疑問は全くの杞憂だった。最新の機器、五感、パートナーとの連携で、出来ることが無限にあると知った。福山雅治と大泉洋をキャスティングした時点で、このドラマの成功は確定していた。
  • 福山雅治のケレン味たっぷりの演技が敏腕FBI捜査官という奇抜な設定とマッチしていた。バディを組む大泉洋のダークな側面を強調したことで笑えるシーンが適度な息抜きになるさじ加減が良かった。

オシドラサタデー「帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし」 テレビ朝日

  • 主人公のコタローと隣人の漫画家狩野殿とのやりとりが、切なさと温かさを感じる。コタロー役の川原瑛都の細かくもあり子供らしくもある、あいくるしい演技が心に響き、また狩野役の横山裕がぶっきらぼうでも深くコタローを想う様子がとてもよく伝わる。週末、長かった仕事の日々が終わり、ゆったりとした休日を迎える前に見るドラマとして楽しみにしている。

大河ドラマ「どうする家康」 NHK

  • エンターテインメント性と伝わる史実のバランスが絶妙。数え切れないほど描かれてきた戦国時代の数々のエピソードを新たな切り口で物語に落とし込んでくれるので新鮮で面白い。

わたしのお嫁くん フジテレビ

  • メイン二人だけでなく、まわりのキャラクターもバランスよく際立っているのが楽しい。ともすればノイズになりがちな大袈裟な動きやセリフがそう感じないのは、しっかりと筋のあるキャラクター設定がされているからなのでしょうか。視聴者に「ほらすごいでしょ、面白いでしょ、見て!」という意図が見えてしまうと興醒めですがそれがなく、どのキャラクターに丁寧に大切に描かれていた。それぞれの役者さんの好演と演出に脱帽です。とくに赤嶺さんは拍手喝采でした!

金曜ナイトドラマ「波よ聞いてくれ」 テレビ朝日

  • 作り手の熱意を感じる勢いのある作品だった。登場人物たちの会話の応酬が秀逸!続編があればまた観てみたい。
  • 主人公の立て板に水のおしゃべりがとにかく楽しいです。破天荒に見えても一本筋が通っている内容が良いです。ラジオ業界を描くお仕事ドラマとしても見応えがあります。

好感度上昇サプリ テレビ東京

  • テレビ東京もほとんど宣伝せず、人知れず深夜3時過ぎ放映された、本作に出会った人は幸運だと思う。好感度上昇サプリで好感度を爆上げした男の絶頂からの転落と再生は、伝説のB級映画、X線の目を持つ男をちょっと思い起こさせた。三浦貴大が好感度に翻弄される男を好演。

水曜ドラマ「それってパクリじゃないですか?」 日本テレビ

  • 今こういうテーマでドラマを撮るのは却々の意欲作だと思う。少し単純化しすぎている部分もあり、時々「おいおい、そう簡単には進まんぞ」と思わないでもないのだが、芳根京子、重岡大毅、常盤貴子らのキャスティングが良くて、ついつい引き込まれて見てしまうハートウォーミングな作品に仕上がっている。

ドラマ10「育休刑事」 NHK

  • 男性の育休取得率アップをねらった国の広報番組?とあまり期待しないで見始めたら、嬉しい誤算。そういう社会的課題もやんわりとベースにありながらも、むしろ、育休中のパパと赤ちゃんが巻き込まれる日常の生活の中の事件の謎ときが小気味よい。観察眼に優れた刑事のパパ金子君、振り切った変人お姉さん前田敦子、警察の課長でもあるママ北乃きい、そして可愛い赤ちゃん息子のれん君のチームワークが絶妙だ。

ドラマ特区「墜落JKと廃人教師」 TVK

  • 自殺願望がある女子高生と以前自殺願望を持っていた教師との恋愛という設定からは想像できないクスっと笑えるシーンが散りばめられた心地よいドラマに仕上がっていた。主演の橋本涼は演技経験はあまりないようだが、不真面目なのか真摯なのかが分からない廃人教師役が特に秀逸だった。

秀吉のスマホ NHK

  • 歴史上の人物が、その当時スマホを持っていたらというIFシリーズ。その当時の事件を、新たな視点で描いていて、面白い。げらげら笑っていたら、意外と泣けるようなシーンもある大好きなシリーズ。別の主人公の続編も期待しています。

ドラマイズム「明日、私は誰かのカノジョ」(シーズン2) TBS

  • こういう社会のフレームを作っている男はろくでもないけど、女性は弱者というだけではなくそれを利用してしなやかに生きているなあと思いました。最終回が良すぎて、30分ドラマとは思えなかったです。

合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~ フジテレビ

  • 月曜夜に,1週間が楽しくなる痛快エンターテイメントです。しかし、最初はただ楽しい扮装にスカッとしていましたが、上水流涼子の犯罪者への愛情や貴山の父との確執と邂逅では心動かされました。さらに涼子と貴山のそれぞれの過去が縦の糸となってつながり、最終へ盛り上がりがますます期待されます。

木曜ドラマ23「僕らの食卓」 BS-TBS

  • テンポの良い飽きさせない展開のドラマとは真逆にある作品。丁寧過ぎるくらいに登場人物たちの心情をじっくりと描き、その進み具合はもどかしいほど。しかしそのゆったりとした空気感が心地良さにつながっている。見ているだけでこれだけ癒されるドラマも珍しい。

火曜ドラマ「王様に捧ぐ薬指」 TBS

  • セレブと庶民の契約結婚と、セレブの家庭事情が絡むなど、物語の設定に共感できる部分が無い点で、韓国ドラマの立て付けのようだと感じたが、韓国ドラマのように16話、30話と時間を長くかけて描くことができないため、より「無理な設定」を通り過ぎてみるしかなくなってしまうので、作品としてもったいないと感じる。当作品によらず日本のテレビドラマが10話前後で終わる事情は何なのか? 日本のドラマがリメイクではなく、そのまま海外でも展開できるコンテンツにする前提にできないものか。

連続ドラマW-30「ドラフトキング」 WOWOW

  • 7~10話「それぞれの選手ファースト」は、表題の良さに心を奪われました。高校生投手、仲真大海(オーシャン)の物語かと思うと、実はキャプテン照屋の話でもあり、若者を見守る大人たちの話でもあり、豊かなドラマでした。

水ドラ25「ソロ活女子のススメ3」 テレビ東京

  • ドラマも3期目突入で安定の面白さです。なかなか自分でソロ活できない分、知らないことや知らないお店を知れるのが楽しいです。江口のりこさんの淡々とした演技が騒がしくなくて、時に温かくて癒されます。

火ドラ★イレブン「ホスト相続しちゃいました」 フジテレビ

  • ストーリーが進むにつれどんどん世界観に引き込まれていき、続きが気になって仕方ない作品です。最初は衝突の多かった久美子さんが徐々にオーナーとして受け入れられ、周りの助けも借りながら数々の問題を解決していく姿と見目麗しいホスト役の方々には毎週勇気とときめきをもらっています。また、毎週ED曲がかかるタイミングが大変素晴らしく、一瞬鳥肌が立つようにゾワッとして、それまでのハラハラしていた緊張の糸が切れるような、ホッとするような感覚があります。

100カメ「“余命”と向き合う人」 NHK

  • シリアスなテーマを100カメらしいゆったりとした雰囲気で包むことで、派手ではないけども人の生を確かに感じさせるような内容で、充実した時間を共有できた。
  • ドキュメンタリー番組としては元々満足度が高い番組。この回は性別も年齢も住む所も違う5人の余命宣告された人たちの人生を追っている。難しい内容であるが、さすがの100カメクオリティでテレビでしかできない放送を成し遂げた。

Dearにっぽん「ドントヤレ!祭り三人衆~滋賀・日野町~」 NHK

  • 地方の過疎化にあって、祭を守ろうとする人々の話でしたが、問題は解決しないことが想像できました。ただ残すべき伝統ではなく、残したい自分たちの祭という動機に応援したくなりました。

THE SECOND~漫才トーナメント~ フジテレビ

  • M-1で夢をかなえられなかった漫才師の文字通りセカンドチャンスとなるべく開催された大会の第1回。審査は会場の観客たちが3段階の採点による。司会が観客に採点の理由を尋ねるシーンもあり、かなり厳密で、明瞭な評価だと感じた。一視聴者である自分の評価が、会場の採点結果と一緒だと安心したり。みんながオモロイと思ったものが優勝する、わかりやすい。
  • 芸歴15年以上の漫才師しか出場できない賞レース。司会は東野幸治で、M-1に対抗しようとするフジテレビの心意気を感じた。コロナも第5類に引き下げられ、観覧客が増え、演者も乗っているような気がした。全組が力を出し切っていて良かった。

ETV特集「市民と核兵器~ウクライナ 危機の中の対話~」 NHK

  • 日本メディアへの現地ウクライナからのリポートで馴染みのボグダン・パルメンコ氏。最近亡くなった彼の祖父が生前に語ったという「ウクライナの核放棄は正しかった」という主張に自らは異論を持っていたが、改めてその言葉の意味を考え直すために国内の様々な人々に聞き込みをしていく。ウクライナの多くの国民が「核兵器を持っていなかったが故にロシアに攻撃された」と考えているという事実には、ただため息・・・。アメリカの元国防長官ペリー氏が「核なき世界はもう望めないのでは」とうなだれる姿を見るのは辛い。

NHKスペシャル「いのちを守る学校に 調査報告“学校事故”」 NHK

  • こんなに「学校事故」が多いという事実にまず驚かされる。また熱中症があんなに重い障害を引き起こすということにもただ息を呑む。この深刻な情況をまだまだ、学校側は勿論、社会全体がしっかり受け止めていない印象であり、その意味でこの報道は極めて意味のある警鐘となっていると思う。

テレメンタリー2023「納骨堂破綻」 テレビ朝日

  • 「遺骨を預かる」という意味では準公共的施設とも言える、納骨堂や霊園墓地。これらの運営資格を持つ「宗教法人権」が今盛んに、また野放図に転売されているという。経営破綻で運営が放り出され、宙に浮いてしまった札幌の納骨施設「御霊堂元町」をめぐる騒動を通じて、北海道テレビがこの問題を取り上げる。実はこれ現在、全国各地で起こりつつある普遍的問題であり、北海道の地域的視点のみに留まらず、更にもっと広く取材を深めていくことを期待したい。

NHKスペシャル「国家主席 習近平」 NHK

  • NHKスペシャルとして久々の正攻法ドキュメンタリー。現在の習近平がどのようにして形成され、どのような経緯で今の地位まで上り詰めたのか。これまでの膨大な資料や映像を駆使して明らかにしてくれた。ウクライナの次は台湾かと言われる今こそ、こうした番組は貴重。

アナテレビ NHK

  • 放送開始70年を記念して、積極的にNHKが民放とコラボしている。その中にあってアナテレビは、NHKと民放の看板アナを一堂に集めて本音を語らせてみせた企画。初々しい水トと、相変わらず愚痴ばかりの安住アナなど、オフ会乗り一辺倒になってしまったのが内輪受けの印象。もう少し局アナの存在意義を深掘りしても良かった。

King&Princeる。2時間SP 日本テレビ

  • 心からメンバー5人が楽しそうで、ラスト打ち上げ花火企画では、花火もそれを見上げるメンバーの姿もしっかりと目に焼き付けたい、いい時間だった。

クローズアップ現代「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」 NHK

  • 「ジャニーズ事務所の性加害問題」を、公共放送でクローズアップしたことに大きな意義があったと思う。取材にNHK独自の視点も感じられた。でも、これで終わりにせず、取材、番組放送を継続していってほしい。また、なぜこの問題が長年NHKでも報じられなかったのか、検証も併せて実施してほしい。
  • 顔を出して告発された方の覚悟の出演を実現した事にNHKの存在感を新たにした。被害当時のあどけない笑顔の写真に痛烈な怒りと痛みを感じた。問題当時に報道出来なかった責任は免れないも、民放に先立ち真摯に事実を伝える姿勢を高く評価したい。

映像の世紀バタフライエフェクト「夢と狂気の映画の都」 NHK

  • 文字通りハリウッドの象徴のような波乱に満ちたジュディ・ガーランドの半生軌跡を主軸に、この番組らしい豊富なアーカイブ映像と冷徹で俯瞰的な解析で、華麗豪奢なアメリカンドリームとグロテスクな狂気の混在する娯楽産業社会の実態を掘り起こす。陰惨で卑劣なセクハラの蔓延、ヒステリックで強圧的な赤狩り、しかしそんな邪悪さまでもするりと呑み込み隆盛を誇る怪物社会。やや総花的な見せ方になったのが勿体なかったが、充分に見応えのある検証であった。

Gメンバーの推薦番組

「News23」 TBS

  • ジャニーズ事務所の性加害問題に、民放地上波で初めて斬り込んだ特集を組んでいた。大きな一歩だったと思うし、今後も追及の手を緩めないでほしい。テレビ局はどこもこの問題に弱腰。有耶無耶にしてはいけないと思う。

有吉クイズ「有吉と蛭子さん2023春」 テレビ朝日

  • 2022年夏から約半年が経ったが、相変わらずな2人の関係性に安心した。2人で合作の絵を描くという素晴らしい企画で、蛭子さんの漫画家としての姿が復活した。最初はマネから入ってもスイッチが入ると唯一無二の絵に様変わりした。

ぶらぶら美術・博物館 BS日本

  • 和物洋物、時代を問わず、画家の成り立ちや作品の背景を学芸員顔負けで講釈する。山田五郎さんの博識は本当にすごいと思います。毎週見ていると頭がよくなるような気がします。ずっとレギュラーのおぎやはぎも、矢作さんはレベルアップして見立てが鋭くなっているのに、小木さんはそうでもないところが対照的でおもしろいです。この春から放送時間が水曜22時に変わったのですが、この時間、見たい番組が重なって困ってます。

ETV特集「自分を知りたい 特別養子縁組と“出自を知る権利”」 NHK

  • 1970年代のコンロッカーベイビー事件頻発から紆余曲折を経て35年前に「特別養子縁組」制度が確立した経緯、そして敢えて出自判明がしにくい仕組みとした事情などを知る。出自情報開示に国の統一ルールがなく自治体や児相の判断に全て委ねられているという、この国の貧しい現状には改めて愕然とする。そもそも「個人情報」の扱いというものを、社会全体が取り違えているような気がしてならないんだが・・・。

「バスケットボール Bリーグファイナル 千葉ジェッツ×琉球ゴールデンキングス」 日本テレビ

  • 1日目の放送をリアルタイムで視聴した。逆転に次ぐ逆転で、放送時間を延長してもなお、地デジでは試合終了まで放送出来なかったのは残念だったが、続きをYouTubeで見届けた。熱い盛り上がりに、8月のバスケワールドカップへの期待が高まった。

「まつもtoなかい」 フジテレビ

  • どの回も見応えあり、ついもう一回見てしまう。もっと話を聞きたいと思うのもしばしばだが、番組開始時からコンスタントに毎週1時間枠の放送があり、視聴習慣上ありがたい。

BAEBAE美術館 NHK

  • とても気楽に観ることが出来るアート番組。切り口が緩くてアートに興味の無い層にも見て欲しいと思う芸大卒業者です。

トゥンク「永遠の昨日 完全版」 毎日放送

  • 再放送とも違い、監督の再編集ドラマを見られるのは初めてで、とても興味深く見た。元々、映像の美しさ、主演2人の演技、音楽、原作の良さを活かしたところなど、心を揺さぶられるドラマであったが、それを上回る内容で、まさに映画を観ているよう。またSNSで監督やプロデューサーの話しを聞ける機会も設けていただいたことでより深く映像への理解も進んだ。またオリジナル版との比較により、自分の中で解釈が変わった部分もあり、色んな取捨選択により、このように一つの作品ができていくんだと興味深く感じられた。完全版という新しい試みに拍手を送りたい。

(掲載は順不同)