2023年6月度-月間ノミネート
日曜劇場「ラストマン−全盲の捜査官−」 TBS | 得票数:127 |
連続テレビ小説「らんまん」 NHK | 得票数:113 |
日曜ドラマ「だが、情熱はある」 日本テレビ | 得票数:94 |
日曜劇場「ラストマン−全盲の捜査官−」 TBS
- 1話1話でのストーリーもリズム感良く小気味よく完結されていましたし、ドラマに流れる大きな軸となるストーリーもしっかりと組まれていました。広見と心太朗が兄弟なのではと少し想像が付いてしまいましたが、それでもそれを上回る仕掛けがあり説得力があり、その実の兄弟という関係性が最終回の空港でのラストシーンに集約されていきました。久し振りに最終回の一連の最終場面で大泣きしました。日曜劇場の、ドラマの底力を見せつけられた秀作でした。
- 脚本が秀逸。ドラマがどんどん広がると思いきや、最後2回で怒濤の伏線回収。ああそうくるのか、と、最後まで楽しませてもらいました。全盲の捜査官が存在できるかどうかはさておき、福山氏の作り上げた広美は、女好きだったり案外抜けてたり全能じゃないところが愛されるキャラクターなのかもしれません。大泉洋とのバディ感はさすがです。
- とにかく福山雅治が素晴らしい。身近に目の悪い者がいるが、仕草も目線もよく研究されていると感じる。大泉洋もここまでシリアスな役は珍しいのでは…脚本も演出も安定感があり毎回情緒的な解決があるのも日曜の夜にピッタリ。
連続テレビ小説「らんまん」 NHK
- 相変わらず、物語が破綻なく紡がれていて、朝から和やかに、ときに涙しながら見ています。万太郎の相棒として物語の前半を引っ張ってきた竹雄の退場が残念でなりません。今後は、健気に夫を励まし見守る新妻・寿恵子の活躍に期待します。
- 主人公とヒロインの関係が付かず・離れずで視聴者は連日ジリジリしただろう。雑誌は見事完成、そして寿恵子は高藤を振って、万太郎の元へ。長屋に白いドレス姿で現れた寿恵子が彼の胸に飛び込み、ゴールを果たす。ドラマはいよいよ後半、まだまだ波乱を予感させるなか夫婦でどう乗り越えていくか。主人公をはじめキャスト全員が好演する中、特にヒロインである浜辺美波が美しく、可愛く、凛と場面により表情が変わりすばらしい。
- 脇役で出て来る人物にもその人の人生がある。それを描いているから、多面的で良いところもあり欠点もある愛すべき「人間」を感じることが出来る。年齢や貧富の差を越えてそれぞれの場所で生きる者たちの群像劇となっているのが素晴らしい。描くべきところの丁寧さ、省いたところもその前後で視聴者が想像できるようになっているのも上手い脚本、演出だと思う。
日曜ドラマ「だが、情熱はある」 日本テレビ
- こういう恋愛も冒険もない、むしろ地味な話をドラマ化しようという発想がすごい。髙橋海人、森本慎太郎、戸塚純貴、富田望生の4人のメインキャストがそれぞれ本物にしか見えないほどよく似せていて、でも、ポイントはそこではなくて青春の痛々しさみたいなものを見事に描き出した彼らの演技だと思う。薬師丸ひろ子、白石加代子、藤井隆、坂井真紀ら共演者も皆はまり役で、回が進むに連れてどんどん面白く目が離せなくなった。今井太郎の脚本は秀逸だった。
- 若い世代に観て欲しいドラマです。自分が何者かも分からないし、何者になれるかも分からない。辛いししんどいし惨めで苦しくて恥ずかしい、自分がどこに向かってるのかも分からない。挫折と苦悩を繰り返しながらも少しずつ前に進んで行く姿にエールを送りたくなる。実体験だからこそヒリヒリする感情が痛い程伝わって来る。周りに理解してくれる人や大袈裟な言葉を掛けなくても応援してくれる人はいる。このドラマを観て若者達が大変な時期を上手く乗り越えられればいいなと願わずにはいられない秀逸なドラマです。
- 今までのドラマにない情熱が感じられるドラマだと思いました。主演の高橋さんと森本さんのなりきりっぷりも良かったですし、ところどころでご本人が出てくるのも痺れました。家族の描き方もさらっとしているようでリアル感があって好きでした。スタッフ、キャスト陣のいいものをつくりたいという情熱が伝わってきて心地よかったです。
他に推薦された番組
土曜ドラマ「やさしい猫」 NHK
- 日本人であれ、外国人であれ、良い人もいれば悪い人もいる。外国人や弱者だと言うだけで、ちゃんとした事情を確認しないで捕まえてしまう警察や入国管理局の行為に対して怖さを感じた。実際に体調が悪くても放置されて亡くなった事件を思い出した。
- 福祉関係の仕事をしていますが、こんなケースに出会ったことはまだなく、とてもいい勉強になりました。知らないところで、こんな思いをしている人達が身近にいるなんて。少し日本の制度に苛立ちも覚え、でもそうしてきた事で守られてきたものもある訳で…複雑な気持ちになりましたが、最後に幸せな姿を見れて救われました。
金曜ナイトドラマ「波よ聞いてくれ」 テレビ朝日
- 主演の小芝風花さん他キャストの皆さんの演技力の素晴らしさと、荒唐無稽な設定に見えて根底にあるラジオ業界に対するリスペクトという徹底したテーマに感動を覚えました。
- 小芝風花のセリフが膨大な量にも関わらず聞きとりやすくて毎回感心していた。ラジオ局の話をテレビでやるという新鮮さ、漫画原作ならではのストーリーの予測のつかなさも毎話楽しみだった。
合理的にあり得ない 〜探偵・上水流涼子の解明〜 フジテレビ
- 超王道にしてやっぱり面白いドラマでした。王道の探偵ストーリーが軽快に1話毎に読み切りで進んで行きますが、そこに本当に絶妙に天海祐希さんが演じた上水流涼子と松下洸平さんが演じた貴山伸彦の過去を絡めた全話を通したストーリーが違和感なく絡んできます。そしてその絡みが、1話1話進む毎に少しずつほどけていく様はとっても気持ちの良いものでした。そして何より上水流涼子と貴山の絶妙な掛け合いと間合い、息の合い具合がこのドラマをしっかりと立たせていました。
- 天海祐希さんと松下洸平さんのバディが想像以上に良かった。笑いありスリルあり老若男女が楽しめる番組だったと思う。コメディタッチでありながらも演者さんが達者な方ばかりなので、馬鹿馬鹿しくなり過ぎない所もさすがだなと思った点でした。シリーズ化して欲しいと思う数少ない作品です。
木ドラ24「量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-」 テレビ東京
- 続編を別設定で再構築するという新しい試みが面白い。前シリーズの良い部分が抽出されてより洗練されれば、今後もこうしたフォーマットもありになるかもしれない。
日曜の夜ぐらいは… テレビ朝日
- 宝くじで3千万円当選!ということも稀だが、3億円ではないところに、このドラマの核心が窺える。清野菜名・岸井ゆきの・生見愛瑠の、それぞれに「荷物」を背負い、友だちもなく、仕事と家の往復に明け暮れる3人が、ラジオ番組のバスツアーで、偶然に出会う。ユーチューバーだ、インフルエンサーだと、承認欲求と露出の異常な高さが溢れる現代、ラジオというメディアが介在するのもいい。人の暮らしは、日々、そんなに劇的でも魅力的というわけでもない。せめて、日曜日にちょっと高いアイスを食べるぐらいが「普通」なのだ。公園のパンダの置物だって、笑っても泣いても見えるじゃないか。
- 主人公である三人はそれぞれに上手くいっていない人生を背負っていますが、ちゃんと三人三様で、上手くいっていないこと、不安、悩みの共通する部分としない部分の棲み分けが絶妙な塩梅でいい味付けになっていました。やや不幸にベクトルが向いている三人を主人公にした時に、清野菜名さんの根底にある「華」が、このドラマを重くし過ぎず、暗くし過ぎずに絶妙なバランサーになっていました。最終話での「日曜日の夜ぐらいは…」の着地点が、清野菜名さんの心地よい声質とも合わさり、秀逸な作品に仕上げていました。面白い、魅力的なドラマだったぁ〜〜!
水ドラ25「ソロ活女子のススメ3」 テレビ東京
- 単独行動が基本の私ですが、だからといって人と交流するのがイヤなわけでもなく、このドラマの江口のりこさんの、あるがままゆっくり楽しむキャラクターのおかげで、人との距離感に共感したり、新しい楽しみをいろいろと知ることができて、できればずっとシリーズを続けてほしいです。
大河ドラマ「どうする家康」 NHK
- 今までは未熟な部分が強かった家康が、知識を得て進み始めた。6月から水野氏を始め、どんどん親しい人が亡くなってゆく。7月はしんどい展開が続くゆえに、最後の癒しの時期になった。
連続ドラマW-30「ああ、ラブホテル 〜秘密〜」 WOWOW
- 15分ワンシチュエーションで登場人物も最小限で、各話バラエティに富んだストーリー。とてもパーソナルな話なのに一つとして平凡な話はなく、ワンダーランドな15分でした。楽しい!特に最終回のダイバーシティ・ラブホテルは笑いました!
木曜ドラマ「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」 テレビ朝日
- 軽快でリズミカルな良作でした。ドラマの中で刑事、検事、判事という構成は新鮮味を感じましたし、刑事の桐谷健太さんが演じた仲井戸豪太を中心にその三職種へのウェートの置き方の絶妙なバランスを保てていたことが、このドラマの大きな魅力へと繋がっていました。ストーリーもとてつもない大事件だけを扱うわけではなく、その事件を中心に被疑者はもちろんですが、そこに絡んでいく三職種の思惑が交差する展開に、さらに軽妙にリズミカルに進む展開に楽しい一喜一憂をしていました。このバランスを保つことはかなりの体力を要しますが、シリーズで観たくなるドラマでした。
木曜ドラマ23「僕らの食卓」 BS-TBS
- 喪失感を抱えた登場人物たちが偶然出会い食卓と言うありふれた日常の場面を積み重ねて新たな絆が出来て、大切な人と出会えたことで主人公は今まで愛されていないと思い込んでいた家族の愛情に気づく。派手さはないけれど愛情の尊さを改めて感じさせてくれるストーリーに地方ロケの落ち着いた佇まいも相俟って、ほっこりしみじみさせてもらえた良作だった。
火ドラ★イレブン「ホスト相続しちゃいました」 フジテレビ
- 最後まで丁寧に作られていて良かった。最後みんながそれぞれホストとしてつくところが良かった。ルイちゃんの男装ホストも新鮮でした。ただ闇雲にイケメンを集めて、見せるのではなく、それぞれの過去や考え方、表情をしっかり見せた作りで個々のキャラを好きになれました。
土曜ドラマ「正義の天秤 season2」 NHK
- 派手さは無いが、それぞれのキャストのキャラクターが面白く、話の展開も重くなり過ぎずとても楽しく見られました。亀梨さんは近年とても堅実に実力をつけている感じで、今回もとても難しい役柄を、コミカルさも適度に混ぜながらも心の機微を丁寧に演じられていたと思います。これからの作品もとても楽しみな俳優さんです。
ドラマイズム「明日、私は誰かのカノジョ」(シーズン2) TBS
- 色々な年代の女性が抱える問題を描いていて心がチクチクと痛んだり、問題を乗り越えるシーンでは心揺さぶられました。特に後半のテーマで主演した女優さんの表情の豊かさで物語に深みが増したと思います。
夜ドラ「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」 NHK
- 短編でスピーディーに面白く見れるが、社会や人間についての風刺を感じてドキッとしたり考えさせられたりと、内容が濃く後味が良かった。BSのほうも併せて地上波で何度か再放送してほしい。「定年退食」「イヤなイヤなイヤな奴」が原作キャラクターの演技も含めて特に良かった。
木曜劇場「あなたがしてくれなくても」 フジテレビ
- 最終回のミチの選択にはモヤモヤしましたが、実際男女には他人には知り得ない謎の情や魅力があるものなのでリアルな選択だったのかもと思いました。
- 吉野みちを演じた奈緒さんは、ある意味怪演に近い、怖い部分を抱えている普通の人をサラッと演じていてその演技ワザに存在感を感じました。演者と美術、風景、音声、シチュエーションに台詞と、いろんなピースが合わさっていくことで完成されていくジグソーパズルの様なドラマでしたが、最後の結末という着地点のピースが合わなかったというか、シックリ来なかった感じでした。どういう着地点を期待していたかと言うより、何も解決されないままに元サヤ、しかも片方だけが元サヤという形だけは変な意味で全話を上書きしてしまう事であり、中途半端感を感じてしまいました。着地点までは本当に楽しめて、良く練り込まれたドラマだと思います。
ドラマシャワー「4月の東京は…」 TVK
- BLドラマ。主人公ふたりは中学生初恋同士。不幸な出来ごとでフランスとアメリカに離れ離れ。東京の職場で再開し肉体だけの関係に。と、書くとトンデモドラマと思うかもしれないが、これが二人の心の傷のヒリヒリが生々しく伝わる秀逸な一品。二人の性愛を逃げずに描いた事が素晴らしい。中学生時代を同年代の竹野世梛と光延ジヨウが演じたのも成功している。櫻井佑樹と髙松アロハの主演二人もフレッシュ。制作陣の本気が伝わる作品。
連続ドラマW「0.5の男」 WOWOW
- 沖田修一監督と松田龍平さん、と聞いただけで期待値も高かったですが、監督の、ささやかだったりさりげない出来事への優しい眼差しが伝わってきて、心地よい時間を人物たちとシェアしました。
オシドラサタデー「帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし」 テレビ朝日
- 小学生一年生の一人暮らしという現実にはあり得ない設定ながら、もしかしたらあるかもと思わせるファンタジーさとリアル感が絶妙なバランスだった。結末も、現実を思わせるほろ苦く、かつ希望があったのも良かった。
水曜ドラマ「それってパクリじゃないですか?」 日本テレビ
- 少し難しいテーマに挑戦したドラマとしては面白い作品だと思いますが…ドラマとして狭いテーマの設定なので1話ごとの解決へのプロセスが似た感じになってしまう点が少し残念でした。それでも「特許」や「知的財産」に少しでも触れたことのある人にとっては一緒にハラハラ出来る展開ではありました。ただ一つ希望を言えば、「特許」や「知的財産権」をもっとしっかりと説得力を持って視聴者に伝えられるとドラマの輪郭がもっと作られたと思います。
わたしのお嫁くん フジテレビ
- メインカップルはもちろんのこと脇役の各キャラが立っていてどのキャラにも愛着がわいてとても楽しかった。ありえなそうな展開もキャストの振り切ったコメディのお芝居がハマっていて笑ってしまう上手さと勢いがあった。
FUN!FUN!FANTASTICS SEASON3 日本テレビ
- 80年代をモチーフにした番組構成でチラッと映る小物にも共感しその時代が青春ど真ん中だった者にとって楽しめる要素が盛り沢山です。80年代のスターをゲストに迎えて話を聞くコーナーではメンバーの楽しそうな表情につられて笑顔になってしまいます。
火曜ACTION!「もう一度パパと呼ばれる日」 フジテレビ
- 事故にあう前の記憶に毎朝戻る辛さの中で、育児に奮闘するシングルファーザー。EXILENAOTOさんの主演作は、悲しい設定の中で、ちょっとだけ光指すドラマでした。八嶋智人さん木村慧人さんのサポートも胸が熱くなりました。全国放送お願いしたいです。
金曜ドラマDEEP「夫婦が壊れるとき」 日本テレビ
- 配信重視の深夜ドラマ界への日本テレビの殴り込み。BBCの世界的ヒットドラマの翻案に稲森いずみ主演とは恐れ入る。家族一緒には視聴しにくいドロドロも配信なら問題なし。吉沢悠のクズ亭主ぶりが秀逸。配信大ヒットもうなずける。
報道特集「検証・ジャニー氏性加害問題 2度の裁判とメディアの責任」 TBS
- これは社会問題、人権問題であります。決してエンタメのゴシップで片付けてはなりません。何十年にもわたって、大勢の児童が性被害を受けていたのです。そして、それは、ジャニー喜多川一人だけの問題ではありませんでした。ジャニーズ事務所は、この犯罪を隠蔽し、または、重大な犯罪だと認識せずに過小評価し、必要な対策を打たずに現在に至ってしまいました。そして、多くの放送局や広告代理店はその隠蔽に加担してしまいました。広告に使っていた企業も同罪だと思います。また、的確に報道がなされなかったことによって、問題が広く世間に知られるのを遅らせてしまい、結果的に被害者を増やし続けてしまいました。マスメディアが役割を果たしてくれていたら、と思わずにはいられません。残念です。しかし、この期に及んで、まだ十分に検証され報道がなされているとは到底思えない状況です。しっかり取材をしたうえで報道して欲しいです。子供を守れなかった大人達は(私を含めて)みな反省しなければならないと思います。未来の子供達を守る意味でも、今ここでこの問題にしっかり向き合わなければならないと考えます。
- 海外メディアが伝え、国内の週刊誌やネットが報じる中で、それでも沈黙を守るテレビの異様さ。口火を切ったのは、やはり「報道特集」だった。ジャニーズ事務所が誕生する以前、1960年初頭からジャニー氏の性加害らしき動きがあったことを伝えたのは衝撃だった。日本の芸能業界に残る前近代性を明らかにする動きにもつながってほしい。
Dearにっぽん「清里に来た男〜山梨・ブームが去った街で〜」 NHK
- 清里を生き返らせようとする人、あきらめながら清里から出ようとしない人たちに、朝から目を離せなくなりました。清里は一時期の狂乱的な盛り上がりから、あっという間に忘れ去られた町になった、というイメージで、今の姿は驚きでした。新しい挑戦がうまくいって、再び人が集まる町になることを祈りました。
SIX HACK テレビ東京
- 大変刺激的で挑戦的な内容に、引き込まれました。突然の放送中止に、これも演出のひとつなのか?と胸がざわざわし、ひさしぶりに、とんでもないものを観た気がします。最後となった放送の、モキュメンタリー映像は、映画のようなクオリティで感嘆しました。さらなる検証というか、本当は何が起こっていたのか知りたいです。
ETV特集「ミッドウェー海戦 3418人の命を悼む」第一部「命の重さ」 NHK
- ミッドウェーの戦いで正確な死者数を調べるため一人一人掘り起こしていくという気が遠くなるような作業を続けついに突き止めたという。肉親の最期を知ることによって救われる人もいる。大きな括りで見ればただの数字でもそこには尊い一人の命があるのだと共に戦争の意義を私たちに問うているようだった。
ETV特集「ミッドウェー海戦 3418人の命を悼む」第二部「残された者たちの戦後」 NHK
- 澤地久枝さん個人の手による執念の探査で、初めてこの海戦の戦死者が3400人を越えるものであったことが確認されたこと、更にそこで詳らかにされた死者たち個々の事情背景の凄絶さに、ただ粛然とするばかり。単に、戦場の悲劇や不条理を語るだけでなく、これを我々がどう受け止め未来への拠り所とすべきか、ということも含めた重い提示ともなっている。米軍人アーノルド・トゥルー氏の「本当に重要な戦いは、敵を友人とする戦いだ」という、示唆的な言葉が響いてくる。
テレメンタリー2023「原爆資料館 閉ざされた40分〜検証G7広島サミット〜」 テレビ朝日
- おためごかしのG7首脳・原爆資料館訪問をしっかりと眺め直す。その訪問の際にだけ、資料館の外壁のガラス面全部にべったりと貼り付けられた目隠し白紙のおぞましさ、醜悪さ。これを恥ずかしいと思うことさえ出来ない人間たちが、今の世界の動向を左右しているという現実に、腹立たしさのみならず恐怖感さえ湧いてくる。日本政府は一体、彼らの何を、どんな姿を私たちに、世界に見せまいとしたのか・・・。
NHKスペシャル ヒューマンエイジ人間の時代 第2集「戦争 なぜ殺し合うのか」 NHK
- 人間に固有のものらしいホルモン「オキシトシン」。同志的協力を促す「絆」のホルモンながら、これが仲間を防衛する方向に進む中で、敵を明確に線引きしそれに対する強烈な攻撃へと転じていく、というメカニズムは実に興味深いが、一方で大変に恐ろしい。17世紀の「30年戦争」を残酷に拡大したのが、「活版印刷」の出現、つまり「メディア」の登場であった、という指摘は耳に残る。「プロパガンダ」が本来、「教えの種まき」の意味であったというハナシにもちょっとドキッとさせられた。
NHKスペシャル「“戦い、そして、死んでいく”〜沖縄戦発掘された米軍録音記録〜」 NHK
- 沖縄戦での米兵の音声記録は未編集だったからこその生々しさがあった。日本側の悲惨さが知られた戦いであったがアメリカ側にも多大な被害があり思わぬ苦戦が続くにつれ狂気を帯びていく様は戦争の残酷さを伝えていた。
報道特集「カネミ油症 引き継がれる被害」 TBS
- カネミ油症事件は1968年に、食用油の製造過程で毒性の強いダイオキシンが混入し、それを食べた人たちに深刻な健康被害が及んだ事件である。50年も前の出来事だが、被害を受けた親から生まれた子には鼻血倦怠感をはじめ様々な症状が出ているが、被害認定が受けられず、親子共に苦しむ姿が映し出される。番組は事件を起こした会社にも取材するが、事件当時は子供だった現在の社長からは賠償する体力が無かったり、PCBを納入した会社は既に過去の出来事として取り合わないという側面も見せる。全ては国の被害認定基準が曖昧なことだったが、ようやく子世代の被害について調査が行われることとなったが、結果が変わらないまま。苦しんでいる被害者がいる限り事件を風化させてはならないという作り手のやり切れない気持ちが伝わってくる。
NHKスペシャル「ウクライナ 引き裂かれた子どもたち」 NHK
- 戦場だけが戦争ではない現実がある。キャンプという名目で子供たちがロシアに連れ去られているとは戦争とはこんなことまでするのか。そして驚いたのは連れ戻す活動をしているのが国ではなく民間団体とその母親たちであるということ。この戦争が一刻も早く終わることを祈るばかりだ。
水曜日のダウンタウン「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」 TBS
- 満員の国鉄に乗り切れない人が電車の屋根に乗っているウソ映像のえげつなさに引きました。ただ、ウソを即興で取り繕おうとする伊集院光さんの話術はさすがでした。
NHKスペシャル「失われた時をこえて〜“認知症家族”の3年〜」 NHK
- コロナの3年間面会を制限されたことによって認知症に影響があったというのは昨年亡くなった父を見て思っていた。未知のウイルスに対して当時はあの方法しかなかったのだとは思うが再びあのような事態になった時また同様なことをするのだろうか。そのためにも今回のことはしっかりと検証しなければならないと思う。
おげんさんのサブスク堂 NHK
- 最新の話題もあり、NHKならではの貴重なアーカイブ映像もある。星野源さん、松重豊さんの交友や好みからセレクトされる、独特な世界観の音楽番組として、何十年か後にも見返される番組になると思う。
沢田研二 華麗なる世界 永久保存必至!ヒット曲大全集 BS-TBS
- 令和になって、昭和の輝きに満ちたジュリーの特集を、当時を知らない若者に観てもらえてたら嬉しい。そして当時のスーパースター沢田研二を知る者としては、もっと嬉しかった!
映像の世紀バタフライエフェクト「ビートルズの革命」 NHK
- 私がビートルズを認識した時はもうすでに伝説のようなバンドだったので活動はたったの8年間で歌以外に革命を起こしたのだと初めて知った。しかし果たしてそれは彼らが望んだものだったのか。60年代という時代が彼らに寄りかかり群がり潰してしまったのだろうか。それでも影響を受けた多くのアーティストたちを見るとやはりビートルズの登場は必然だったのだろう。
がっちりマンデー TBS
- それぞれの企業の商品・プロジェクトがどのようにして成功したか等の経済問題を、硬すぎず、柔らかすぎず、扱っていて、日曜の朝に見るのにちょうどよい番組。
Gメンバーの推薦番組
映像’23「家さえあれば〜貧困と居住支援〜」 毎日放送
- 不動産業に働く中で、今の社会の弱者救済システムの余りにも貧しい劣悪さに義憤を覚え、独力でNPO法人「生活支援機構ALL」を立ち上げて、大阪あいりん地区を中心に活動いている坂本慎治氏に密着。社会の底が抜けたようなこの国の状況下で、極めて厳しい境遇に追い込まれている「社会弱者」の姿は重いものがあり、坂本氏の献身的で粘り強い活動振りには素直にアタマが下がる思い。
「ゴッドハンド 復元師と天翔る白馬」 NHK
- 過去にどんな修復をされどこが問題で、修復前の姿はどんなものだったのかをどんどん見抜いていく職人としての力に冒頭から圧倒されました。「まるで傷などなかったように、作られた当初のように復元する」だけではなく「今に至るまでの時間と歴史をなかったことにしない、ある程度の使用感を残した復元」というお皿の復元にも「そんな復元もあるのか」と感動いたしました。また違う復元を番組で紹介していただきたいです。
「全力!脱力タイムズ」(6/9放送回) フジテレビ
- この回は上川隆也さんがゲスト。収録中に起きた盗難事件を、他局のドラマ「遺留捜査」の糸川ばりの洞察力で解決する展開に、笑ってしまいました。ツッコミの鋭さがウリの共演者、見取り図の守山晋太郎さんがかすんでしまうほどでした。毎回、アリタキャスターが巻き起こす予測不能の展開に芸人が翻弄されていますが、まれに俳優もバラエティにあるまじきハイカロリーを消費させられる回があり、かといって俳優側もやらされている感なく全力で番組を構築しようとしているところがいいなあ、と思います。・・・上川さん、合格です。
「トークィーンズ」 フジテレビ
- 2週に渡って木村拓哉さんがゲストだった回が面白かった。登場からお茶目で女性たちに質問責めにされるも自然体で気さくで優しくて。なぜずっと人気があるのかわかる気がする。事前取材の時にファーストサマーウイカさんにプレゼントしていたサングラスを結局出演者全員にプレゼントしたり、本当に気配りができて優しい方。顔がカッコいいだけではなく、そういう内面が素敵。今までの主演ドラマをVTRとともに振り返るコーナーもよかった。約束通りまた近いうちにゲストに来てほしい。
「7.2新しい別の窓」 Abema
- 今月で、月1回の7.2時間生配信は終了、10月からは毎週放送の72分番組になるとのこと。長時間の生配信が無くなるのはやはり残念。ゲストの切り込んだ質問に答える、彼らの頭の回転の速さ、ウィットに富んだ答え等を味わえたのは、やはり生配信ならでは。また、人狼ゲームを全部流せたり、町ブラロケをそのまま流せたのも長時間番組ならでは。リニューアル後も、その良さを残した番組になることを希望します。
(掲載は順不同)