2023年7月度-月間ノミネート

日曜劇場「VIVANT」 TBS 得票数:198
木曜ドラマ「ハヤブサ消防団」 テレビ朝日 得票数:117
水曜ドラマ「こっち向いてよ向井くん」 日本テレビ 得票数:94

 
 
日曜劇場「VIVANT」 TBS

  • ロケ地モンゴル、演出家福澤克雄氏が創り上げた非常に大胆な、しかし現実にあるのかもしれないとも思わせる程の展開。世界経済と法外自衛隊超エリート組織「別班」との毎回二転三転する敵も味方も疑心暗鬼になるような人間の本質が試されるようなスリリングで大変興味深いドラマです。
  • 自衛隊とか、別班とか、イデオロギーがからんで敬遠されそうな話題を扱っているのに、モンゴルの自然の壮大さと、映像の力、アクション映画のようなスピード感で押し切ってしまう作りに圧倒されている。この勢いのまま続けてほしい。
  • 「もうこりゃ、和製インディージョーンズじゃないか」が初回の感想。キャストも豪華、異国のロケやラクダ、エキストラも大掛かりで、毎回、映画を見ている気分になる。贅沢だ、でも、うち広げた数々の伏線や謎の大風呂敷をきちんと回収されてから、ブラボーと叫ぶことにしたい。最終回までしっかり見よう。
  • 果てしなく続く砂漠に取り残された絶望感や逃避行で羊の大群にまぎれて追っ手をやり過ごすシーンなど迫力ある映像美に圧倒された。加えてストーリーも日本の連続ドラマではあまり見かけない壮大さでどう進んでどのゴールを目指しているのかわからないワクワク感がある。毎回すぐ次週が見たくなるドラマである。

木曜ドラマ「ハヤブサ消防団」 テレビ朝日

  • まず映像に魅せられた。靄がかかった山々のグレー、森の深すぎない緑など色調が柔らかくおとぎの世界のようだが、展開はなかなかハードでそのギャップもいい。個人的には中村倫也の家のしつらえに目を凝らしてしまった。素晴らしい。
  • タイトルからほのぼのとしたドラマを想像していたらミステリーだった!というのが面白さを増し増しにしています。和気藹々としている人達の隣で悪が蠢めいているような展開に、「こういうの身近にありそうで怖いな」と思わされ面白いです。
  • 生瀬勝久、橋本じゅん、梶原善、岡部たかし、満島真之介。ひなびた集落の消防団を演じる俳優陣がバイプレイヤー界のアベンジャーズといっても過言ではないくらい豪華。のどかな地区に漂う不穏な空気の描き方がうまく、引き込まれます。
  • 静かな田舎町に、じわじわと忍び寄る得体の知れない恐怖…夏にふさわしいサスペンスドラマである。まず、主人公の三馬太郎を演じる中村倫也が良い。スランプ気味のミステリー作家で、少々頼りなく繊細な青年でありながら、消防団に参加し、ここぞという時は毅然と犯罪に立ち向かう。中村の魅力を存分に味わえる演出にうならされる。また、消防団の面々が個性派ぞろいで視聴者を飽きさせない。住職や移住者の立木、ルミナスソーラーの真鍋、編集者の中山田、誰が味方なのか敵なのか分からない。最後まで翻弄されながら視聴を楽しむこととしよう。

水曜ドラマ「こっち向いてよ向井くん」 日本テレビ

  • 恋愛、結婚、仕事、それぞれに対する価値観、バランスは本当に人それぞれだし、お互いに決めつけず尊重すればよいことだと常々思ってきたので、コメディ要素を入れつつその様々な価値観を体現する登場人物たちの言動にリアリティがあり、繰り返し見るほどに楽しみ、己を顧みたり思考をめぐらせているうちにもう次の水曜日が来る、という感じです。エピソードの転がり方が繊細かつ鮮やか!
  • 30代女性の恋愛のモヤモヤを描いたラブコメディはよくありますが、30代男性が恋愛に四苦八苦する様子が切り口も面白く描かれています。当初は「女性はこう考える」「男性はこう考える」を見せるドラマかと思いましたが、登場人物に共感できてもできなくても考えさせてくれ、毎回内容について人と話したくなります。
  • 原作を読んでいてこれをGP帯のドラマとして放送するのは難しいのでは?と思っていたら予想を覆してとても面白いエンタメ作品になっていた。特に赤楚くん演じる向井くんの絶妙な残念感は赤楚衛二にしか演じられないと思うし波瑠演じる洸稀のキツすぎない指摘が気持ちいい。恋愛観や結婚観が令和にアップデートされていて親世代の自分も考えさせられるドラマになっている。
  • 恋愛や結婚を軸にしていますが、どう生きるか、自分はどう在りたいかを考えさせてくれるドラマです。主人公の向井くんだけでなく、妹夫婦の生き方、家族や周りの人との関わりに共感したり、胸が熱くなったりしながら見ています。赤楚さんのお芝居が素晴らしいのはもちろんのこと、岡山天音さんが演じる元気くんがとても良いです。ポップな感じが良い、照明が綺麗、カメラワークが素晴らしい!

他に推薦された番組

シッコウ!!〜犬と私と執行官〜 テレビ朝日

  • 債権者と債務者、立場が違えば「執行」のとらえ方も変わる。どちらが善で悪なのかという単純なことではなくその複雑な人間模様を明るく、時にはしんみりと見せてくれている。
  • 裁判所執行官の仕事を、正確に知らしめる役割は、決して「お仕事案内」には留まらない。誰もが犯罪者になることはないが、誰でも債務者になってしまうことはあると、気付かせることも、現代には必要。裁判にも執行にも無縁の、ワンちゃん大好きの伊藤沙莉が、世の中を知り、大人を分かっていく姿は、新鮮で爽やか。織田裕二、渡辺いっけい、宮崎美子など支える人たちも好演。

金曜ドラマ「トリリオンゲーム」 TBS

  • 夏の週末に爽快痛快なドラマ!破天荒な内容に見えてキチンとした取材を重ねられている原作、その原作の世界観を保ちつつ生身の人が演じる温度感・湿度感。原作のマンガより、より人間ドラマに重きを置いている感じ。キャスト陣の再現度も高く、主演目黒蓮のハル、佐野勇斗のガクをはじめとして、桜役の原嘉孝、蛇島役の鈴木浩介などが秀逸。再現というより当てがき?と思うほど。トリリオンダラー稼ぐ話で、身近ではないもののドラマだからこそ楽しめる世界観と思う。

土曜ドラマ「やさしい猫」 NHK

  • シングルマザーで保育士のミユキ(優香)がオーバーステイで入管施設に収容され強制送還を命じられたたスリランカ人の夫クマラ(オミラ・シャクティ)を助けるために裁判を起こす。入管の問題に切り込んだ、最近のNHKとしてはよいドラマ。最後に裁判で勝訴して視聴者は胸をなでおろすが、勝訴する例はきわめて稀であると聞くので、敗訴という結末のほうがより深刻さを視聴者に突き付けたのではないか。
  • 私の住んでいる地域にはあまりこういう事例は無い気がしますが、日本で働いている外国人の方々が直面している問題や現実はこんなにも悲しいのかととても苦しくなりました。現状を知ることが出来て、今後何か支援出来ることがあればして是非したいと思いました。

ドラマ24「初恋、ざらり」 テレビ東京

  • 軽度知的障害のある女性・有紗(小野花梨)と岡村(風間俊介)の恋愛を描く。デリケートな領域に踏み込もうとする意欲作。小野と風間の演技は安定感があり、微妙な心の揺れが繊細に表現されている。今後どのように二人が障害を受け入れ、心を通わせていくのか、見届けたい。
  • 障害を持った彼女の健気な想いに毎回胸が締め付けられる。健常者との恋愛では普通になりたい彼女の言葉に多様性とはなんだろうかと考えさせられる。特性に対する周囲の理解も必要だが、真っ直ぐな彼女の事を応援したいし幸せを願う。夜中にはもったいないくらい楽しみなドラマ。

転職の魔王様 フジテレビ

  • 転職を考えて、斡旋する会社にやってくる様々な人たちの人間模様を通して、そこで働く人たちの背景も見えてくる。色々な想いを抱えてくる人をただ単に会社の斡旋をするだけでなく、抱えている問題に向き合う事で気持ちを新たに転職する人も、今の会社に留まることを決める人も、一様に晴れやかな顔で新しく人生を踏み出す人たちの姿が清々しくて良い。
  • 毎回、転職の依頼者が、自らを見つめなおし、人生を再生していくのが見どころ。人が働くとはどういうことかを考えさせる秀作。そして、小芝風花。前作のマシンガントークの金髪ラジオパーソナリティから、一転本作では、自分に自信が持てない社畜へ。本当にうまい。

土曜ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」 日本テレビ

  • タイムスリップや回想は、ドラマ技法の一つだろう。結果は予め分かっているのだが、その「なぜ?」「どうして?」を探っていくのが、観る者の楽しみ。しかし、映像では「1年後の死」が明らかながら、「殺された」ではなく、「■された」というタイトルなのは、もう一つ裏があるのかの興味を唆る。学校がブラックというステレオタイプの世情を強化するような面もあるが、現象よりも背景を見ていたい。教師の松岡茉優と生徒の芦田愛菜が、本当に「寄り添う」関係は見どころ。
  • 松岡茉優の抑えた演技もよいが、圧巻は生徒たち。1話の芦田愛菜、2話の山時聡真(宮崎駿新作の主演)の独白に心掴まれた。加藤清志郎はじめ他の生徒たちもセリフのない時も役を生きようとする意気込みが感じられ熱量が素晴らしい。最終回まで楽しみでならない。

ドラマ10「しずかちゃんとパパ」 NHK

  • 耳の聞こえない人と聞こえる家族、その周囲の人々、という立場だからということに関わらず、人が分かり合おうとすることの難しさと温かさが、無理なくまっすぐに伝わってくる、気持ちの良いドラマでした。初放送時はBSのみだったので、地上波でより広く視聴する機会となりとても良かったと思います。

連続ドラマW「フィクサー Season2」 WOWOW

  • 重厚感のあるドラマが減った中で、久々の重厚なドラマ。シーズン2は1よりも面白い。政治の闇が日常化した中で、与党内の駆け引きに視聴者がどれほど関心を持てるかは難しいところだが、さすがの井上由美子脚本は安定して見応えがある。

木曜劇場「この素晴らしき世界」 フジテレビ

  • スーパーのパート勤務と失踪女優の代役。ありえない二重生活に地続きのリアリティを持たせているのは、演技巧者の出演者によるものだとお見受けしました。若村麻由美はちょっとした間のはずし方が絶妙で、コメディエンヌとしての才が際立っています。
  • 若村真由美は本当に芸達者。ピンチヒッターとして打席に立った本作でも見事に3役、平凡な主婦、大女優の代役、そして女優本人を演じている。見事。これからの展開しだいだと思うが、出来うるなら、彼女ならではの魂の底からの演技が本作でも見てみたい。

水ドラ25「週末旅の極意〜夫婦ってそんな簡単じゃないもの〜」 テレビ東京

  • 実はこのドラマに出てきた旅館を父母にお勧めしたところ、秋に行くことになり、助かりました。夕食だけでなく、朝のビュッフェなども細かく映してくれて一時停止して見てしまう。子供を持たない選択をしたミドル世代の夫婦の機微もよく描かれている。特に渋さを増してきた吉沢悠の演技に感心している。

火曜ドラマ「18/40〜ふたりなら夢も恋も〜」 TBS

  • ものすごくしっかりと構成され演出されたドラマ。TBSの伝統を感じさせるしっとりとした仕上がり。深田恭子と福原遥の魅力を相応に引き出しているし、八木勇征、出口夏希、長澤樹、嵐莉菜らフレッシュな共演者も好感が持てる。

夜ドラ「褒めるひと褒められるひと」 NHK

  • 褒めることも褒められることも、的確で愛のあるもので無ければ、相手にちゃんと伝わらない。そんな大事なことを楽しく伝えてくれた温かいドラマでした。

木曜ドラマ「彼女たちの犯罪」 日本テレビ

  • 登場人物それぞれが仄暗い気持ちを抱えているようなダークな気配が漂い、ナレーションがさらに仄暗さを醸し出す女性の低い声での語り口調で行き詰まる展開にゾクゾクさせられます。

大河ドラマ「どうする家康」 NHK

  • 賛否が分かれる大河ドラマだが、私は面白いと思う。特に、築山殿の事件、本能寺の変の解釈は唸った。史実上の出来事は変えられないが、その原因、その時の人間模様をどう描くかは、歴史ドラマの醍醐味だと思う。

ドラマNEXT「みなと商事コインランドリー2」 テレビ東京

  • 昨年の夏沢山の感動をいただいた大好きな作品で、その続編の今作は更にパワーアップした胸きゅんあり、ユーモアあり、感動ありの優しい世界で心が洗われます。演者の高い演技力はもちろん音楽や小道具、細かいこだわりのあるシーン等丁寧に作られた作品でここまでハマるドラマは人生で初めてです。毎週ドラマを楽しみに頑張れます。

ばらかもん フジテレビ

  • 五島列島の自然や仲間に囲まれて、心が自由になってゆく書道家の物語。東京の時は型にはまった書だったが、徐々にそれが自由な形に変化してゆくのも楽しみの1つ。
  • 名実ともにますます実力をつけている若手俳優、杉野遥亮さんが主演として起用されている水10ドラマばらかもんは、杉野さんの持つ癒しや純朴さがドラマの本質に非常にマッチして、毎回見る人に、田舎に帰ったような安らぎと癒し、懐かしさを与えてくれます。五島列島の自然の美しさも、ドラマのイメージを更に引き上げてくれます。現代の、先端を常に求められる日常を送る視聴者に、癒しと、シンプルな温かい笑いを与える稀有なドラマです。今必要なドラマだと確信しています。

ノンレムの窓 2023・夏 日本テレビ

  • とにかく面白いです。特に第一話のレジの並び方から始まるストーリーは多くの方が経験したであろうことから始まるのですが、誰も経験したことないであろうとんでもないことになっていくその過程が傑作で、腹がよじれるくらい大笑いの連続でした。バカリズムさんの頭の中がどうなってるのか、一度見てみたいです(笑)。

真夏のシンデレラ フジテレビ

  • これぞ夏の月9ドラマ、王道の恋愛ものにキュンとします。キャストの皆さんもそれぞれ魅力的で毎週楽しみです。設定に少し違和感を感じるところがあるので、今後の修正を期待しています。

火ドラ★イレブン「ウソ婚」 フジテレビ

  • 漫画原作のありがちな展開かと思いきや、登場人物ひとりひとりの心情が丁寧に描かれている佳作。役者みなさんのシリアスなシーンとくすっと笑えるシーンのバランスもとても上手。見るのが楽しみで、見終わった後に気持ちが柔らかくなるドラマです。

FUN!FUN!FANTASTICS SEASON3 日本テレビ

  • もうシーズン3なのかという感動もあります。80年代が青春だった者にとっては画面に映る小物までもが感慨あり、あの頃スターだったゲストの裏話も楽しくそれを目を輝かせて聞き入るメンバーを観るのも楽しい番組です。4がある事を期待してます。

私と夫と夫の彼氏 テレビ東京

  • なかなか理解できない登場人物が多い物語で、結末も私には納得行くものではなく不思議な物語だった。だが、主人公も分からないといいながらもうまくいくように受け入れて同居したり、離婚したりとしていた。どういう話だったのだろう?理解できないことを拒否するのではなく受け入れることが必要なのか?などずっと気になり続けているドラマです。

ETV特集「塀の中で手にした“鏡”」 NHK

  • 山口県の美祢社会復帰促進センターという女子刑務所内施設で展開されている、受刑者の精神回復への支援活動をじっくりと伝える。わが子のための絵本朗読CDを作る、という課題展開の有効性。「朗読」というものが、自分を見つめ直し、新たな自分を見つけ出す作業である、ということを認識させられる。大変に意義のある素晴らしい試みと思うが、ただこれは受刑者が「母」でなければ成り立たないものなのかも知れない、とも思った。

音楽の日2023 TBS

  • 事務所の枠を超え、ボーイズグループが共演したダンスコーナーは、圧巻だった。これが見たかった!というエンターテイメントのワクワクを感じた。これからもこういう企画をどんどん実行してほしい。
  • 長時間番組ながら全体を通じて非常に質の高い内容だった。特にディズニー関連のパートでは、原曲とコラボするグループの良さを引き立て合っており、とても良いコラボだった。また、同局のCDTVで一度披露した際の経験を踏まえ、さらにブラッシュアップしたカメラワークをみせるような場面もあり、レギュラーで音楽番組を持っている局の強みも感じた。

NHKスペシャル 混迷の世紀 第10回「台頭する“第3極”インドの衝撃を追う」 NHK

  • 国家挙げてのデジタル化・「個人ID」徹底管理により国力増大を効果的に成立させながら、一方でしたたかに全方位外交を展開するこの国の姿は間違いなく世界的脅威。しかしそれは、貧困層を放置したままでの重大な人権抑圧の危険を抱えたものであることにもきちんと言及していて、この番組の取材姿勢の確かさを思う。出来れば、「カースト制度」の現状がどうなっているかについても教えて欲しかった感あるが。

NHKスペシャル「ヒマラヤ“悪魔の谷”〜人跡未踏の秘境に挑む〜」 NHK

  • 前人未到の地に日本人2人の探検家が挑む。その準備なんと4年。標高4000mに近いところで敢えて冬に挑む。なぜなら谷に流れる川の水量が少ないから。そして彼らを白濁した水、高さ300mの崖降り、降りるためのロープは使うため回収し、もう戻ることはできない。日没までに戻らなければ凍死。そんな状況をカメラは次々を映し出す。大自然の神秘とそれに挑む人間の姿を見せてくれた。

カンブリア宮殿 テレビ東京

  • 「地球の歩き方」の挑戦を描いた回など、出版業界はじめメディアを取り巻く状況が厳しい中でも、何が大切なのかを考えさせてくれる内容となっていた。

ハートネットTV「特集 旧優生保護法を考える」 NHK

  • 欧米各国では第二次大戦前、ほぼ1930年代あたりに相次いで制定され、醜悪で悲惨な事態を社会に巻き起こしていた悪名高い「優生思想」法制度。これが日本では、何と1948年、新憲法下の解放感の中で「優生保護法」として法制化されたという史実に愕然とする。この悪法成立に大きく力を及ぼした谷口彌三郎氏が当時放った「低脳者が中絶しないことで、国民の質の低下、民俗の劣化を招く」という言葉のおぞましさ。しかも年を経る毎に、その悪法の施行対象がより拡大していったという現実には、正直震えを禁じ得ない。

NNNドキュメント’23 3・11大震災シリーズ104「それでも、海はある〜未来へつなぐ 大好きな景色〜」 日本テレビ

  • 3・11大震災をテーマとした回。震災後も漁師として、海と共に生きる家族を追ったドキュメント。大きな防潮堤が建設され、海が見えなくなってしまったが「新しくなった景色を、また好きになれれば」と言う言葉が印象だった。宮城出身の千葉雄大の、優しく語りかけるようなナレーションも良かった。

映像の世紀バタフライエフェクト「チャーチルVSヒトラー」 NHK

  • 戦争によって何度も息を吹き返してきたチャーチルを視聴中ウクライナのゼレンスキー大統領が思い浮かんでいたらラストに彼が登場し、「チャーチルリーダーシップ賞」を受賞していて合点がいった。今の戦争が終わったあともチャーチルと同じ道を歩むことになるのだろうか。

NNNドキュメント’23「まやかしの子〜特殊詐欺事件の孤独〜」 日本テレビ

  • 特殊詐欺事件の「受け子」「出し子」犯行で捕まる、未熟な若者たちのあまりに軽々しいその動機にはため息が出てしまうが、詐欺被害に遭った老人たちが、その迂闊さを周囲に激しく責められ、後悔と罪悪感めいたものにさいなまれた挙句、自殺者まで出してしまっているという現実には、ため息どころか言葉を失う。この時代に蔓延する、救いようのない精神の貧しさ、底の抜け方に暗然とする思い。テレビ新潟の力作。

最後の講義「ジャズピアニスト 山下洋輔」 NHK

  • 母校、国立音楽大学を訪れたピアニスト山下洋輔が、後輩の若者たちに自在な即興演奏も交えながら、実に機嫌好さそうに自分の音楽の感覚、考え方を、柔らかくゆったりと伝えていく。「今まで学んだことを忘れよ」「本当に新しいものなんてない」といった警句めいた言葉も耳に響いてくるが、何よりも、共に演奏する中での、若者との「音楽的会話」「問答」の愉しさに素直にわくわくしてしまう。

Gメンバーの推薦番組

魔改造の夜「第4回 パンダちゃん大玉転がし」 NHK

  • 高専学生さんたちの果敢な挑戦、H置電機さんの過度の練習で本番で力尽きてしまった配線、N社さんのまさかのメインスイッチオフというヒューマンエラー。どんなに素晴らしい機械を作ってもそれを動かすのはあくまで「人の力」なのだと突きつけられました。エンジニアさんとこれからを担う学生さんたちの輝きを見せてくれる、月一回の夜が楽しみで仕方ありません。大切に長く続いて欲しい番組です。
  • どのチームも「パンダちゃん」が活かされていない設計には少々ガッカリしました。また、構造はこうしたらいいのでは?という考えがいくつも湧き出てきたことに、やっぱり自分もエンジニアの端くれなのだと、改めて気付かされました。

水曜日のダウンタウン「津軽地方の不正選挙えげつない説』 TBS

  • 実際にあった贈収賄や買収といった不正を現地で取材して証言をサラッとしかも顔出しで引き出し、放送する。 今の報道の制作陣にこれができるのか?報道畑の方々は悔しくもあったのでは?というあらゆる面で衝撃の内容でした。

うまナビイレブン BS11

  • 中央競馬のレースの結果を伝え、今週の振り返りと翌週のレースの展望を探る番組。ガチガチに固まった番組フォーマットの中、日曜日のアシスタントを務める宮島咲良さんの明るくボケる感じがとても好ましいです。週替わりで解説を務める競馬専門誌の記者の皆さんも個性的で、競馬をたしなまなくとも、毎週見ているとクセになります。

究極ガイド 2時間でまわるアンコールワット NHK

  • 林遣都さんと大塚寧々さんのやりとりが臨場感があって、2時間一緒に旅をしているかのように、学びながら楽しくみれた。アンコールワットに行くことがあったらこの番組をガイドにしながら同じコースをたどってみたいです。
  • 林遣都さんの落ち着いた中に少しワクワク感のあるガイドがいい感じでした。林さんのガイドにより、大塚さんと一緒に自分も遺跡観光をしているかのような気分になれました。

言葉にできない、そんな夜。 NHK

  • 小説家が感情を表現するために綴った様々な言葉たち。解釈は人それぞれだが、一小節の言葉から世界が広がっていくのを楽しめる番組。シーズン3も楽しみにしている。
  • レギュラーもゲストも皆さん言葉や感性が豊かな方が来られていて、現代や過去の有名な作家やアーティストが表現した言葉がたくさん紹介され、番組内の出演者の回答やエピソードも楽しんでいます。ジャニーズWEST桐山照史さんが時々メンバーとの関わりやアイドルの気持ちを話してくれるのが貴重で楽しみです。

世界サンライズツアー NHK

  • 世界各地の日の出を追って、現地の人の文化や日の出の映像を巡っていく番組。色々な国の文化や景色を身近に感じることができます。インタビューする中間淳太さん、藤井サチさんの英語表現も勉強になりますし、お二人の人柄が清々しいこの番組のカラーになっていると思います。

家族だから愛したんじゃなくて、愛したら家族だった NHK

  • 次々と家族に降りかかる困難を笑い、小説に書くことで乗り越えていくヒロインを演じる河合優実、ダウン症の弟を演じる吉田葵、早くに亡くなった父を演じる錦戸亮はじめ、キャストがみなナチュラルで素晴らしく、岸田奈美さんの自伝的エッセーをここまでのドラマに練り上げた大九明子の細やかな脚本と演出に敬意を表したい。
  • 全編通じてとても面白かったです!次々に起こる困難に打ちのめされながらも、大切な家族の為にもがく七実、岸田家の人々、周囲の人たち、皆が個性的で、たくさん泣いてたくさん笑いました。正直大九監督ならではの擬音の演出などは苦手なのですが、それでもとても良かったです。

漫画家イエナガの複雑社会を超定義 NHK

  • 7月テーマは、手話、ChatGPT、ハイパーカジュアル。最新情報が、漫画家イエナガ・町田啓太の超速解説でサクッとわかる神番組。おなじみの編集者・橋本マナミ、喫茶店店員・紺野彩夏らに加えて、今年度からイエナガの周辺に新設定が見られ、いっそう楽しめる。イエナガの弟・関口メンディーが兄を連れ戻しに来たり、同じアパートの住人漫画家・ふせえりが強烈なインパクトを残し、友人のぬっくん・温水洋一が1年ぶりに登場するなどした。今後の拡がりに期待する。

バスケ&ラグビーWワールド杯凄さを伝えるから推しを決めて!SP 日本テレビ

  • バスケとラグビー、それぞれ代理選手たちに密着取材していてすごく分かりやすかったです。バスケ代表がオリンピックの切符を勝ち取ったので、もっと盛り上げていって欲しいです。

連続テレビ小説「らんまん」 NHK

  • 7月は主人公にとって最大の喜び(新種発見、発表)と苦しみ(研究室への出禁、長女の夭折)が次々襲ってくる激動のひと月だった。また、在野の彼を評価して重用し、しかし様々な理由によって遠ざけてしまう植物学教授の多面的な存在感は凄まじく、朝ドラ史に残るキャラクターとなった。普通ならヒール役の教授にいじめられる悲劇の主人公と一括りになりそうだが、視聴者はどちらの心情にも寄り添いたくなる。らんまんには何度も唸らされてきたが、緻密な脚本と俳優の演技力と濃やかな演出を改めて感じ入ったエピソードだった。

(掲載は順不同)