2024年5月度-月間ノミネート

日曜劇場「アンチヒーロー」 TBS 得票数:111
ドラマ10「燕は戻ってこない」 NHK 得票数:89
NHKスペシャル「魂のピアニスト、逝く〜フジコ・ヘミング その壮絶な人生〜」 NHK 得票数:56

 
 
日曜劇場「アンチヒーロー」 TBS

  • 「正義の味方(ヒーロー)」と言えば、格好よくて誰もが憧れる…、とは限らない。警察官の正義、検事の正義、弁護士の正義そして、人である判事の正義と、立場によって正義は一つではなくなる。正義の反対が悪ならば、正義=善となるはずだが、事はそう単純ではない。テミス(神)の前で恥じない正義とは何なのか。この命題をめぐって、明墨弁護士(長谷川博己)と伊達原検事正(野村萬斎)が鋭く、巧みに対峙する。多くの役を演じてきた俳優と、卓越した狂言師のペルソナのぶつかり合いは、お見事! 大規模なロケなどなくても、ドラマは壮大になる。
  • NHKの「虎に翼」とリンクする場面や、名作「VIVANT」へのオマージュに出会うと、キュンキュンしてしまいます。役者が素晴らしい!野村萬斎さんのヒールが特に印象的ですし、長谷川さんの闇を抱えた弁護士も凄みさえ感じます。法曹界の裏側を垣間見て、ああやっぱり!と思うと同時に、正義のために身を挺して戦う人達がいることに希望を感じ、思わず拳を握りたくなります。
  • エンディング曲がレギュラードラマにとっていかに大切かを実証したような例である。長谷川氏と野村氏の「歌舞伎」のような演技も癖になる。そういった意味で、「テレビドラマ」の王道のような作りにかえって好感を覚えるようになってきている自分がいる。

ドラマ10「燕は戻ってこない」 NHK

  • 人間という生命の創造。誇張ではなくそれは「神の業」ではないのか?様々な願いを叶えるために、生殖医療は神を超えようとしている。「代理母」選択の動機は金銭的なことからであっても、自分の胎内に生命を宿すことの重さは測り知れない。女性にとっては、生死に関わる。そんな葛藤・逡巡を石橋静河が、抑えて抑えて演じている。脇を固めるキャストも、それぞれの個性を発揮、見応え十分。「燕」は悲しみの象徴か、幸福への予兆か?
  • この題材は本当に難しい。産まれてくる子供の事が一番大切だと言うのは簡単だけれど、子供への思いが強いからこその決断でもあるのだろうし、その強い決断であっても揺れ動くものなのだろうと察する事もできる。答えは結局、でないのではと思われるが興味深く描かれている作品だと思います。
  • 今期いちばんと思えるドラマ。登場人物の誰にも共感はできないが、それぞれの気持ちはわかるという、難しい設定を、脚本、演出、俳優陣の演技力で成し遂げている。登場人物たちのエゴとエゴのぶつかり合いから、視聴者が自分のエゴに思い至るというドラマ。だから観るのにとてもエネルギーを使った。NHKドラマ班の実力を改めて感じた。

NHKスペシャル「魂のピアニスト、逝く〜フジコ・ヘミング その壮絶な人生〜」 NHK

  • 92年間の壮絶な生涯が改めて紹介された。25年前にその半生がNHKの番組となり非常に印象に残っていた。「人は機械じゃないんだから正確に弾くことだけが大切ではない」という意味のことをおっしゃって、ご自身も内なる激しい情熱で表現するその演奏は多くの観客を魅了してきた。改めてピアノ演奏は技術だけではなく音楽も結局は演奏者のほとばしる魂の声が胸を打つのだと感じました。
  • フジコさんが弾いた最後のピアノが切なかった。入院後のかなりプライベートな場面までカメラが入り、フジコさんの取材者への強い信頼を感じた。この信頼関係こそが、人間を追うドキュメンタリーの要だと思った。

他に推薦された番組

金曜ドラマ「9ボーダー」 TBS

  • 19歳、29歳、39歳の3姉妹の物語に近所のカフェのママ59歳を絡めて来たり、その3姉妹の名前にそれぞれ六、七、八の漢字がついているところに実は九の字がつく弟がいたなど、設定が絶妙。微妙なカメラの動きもとても効果的。カメラワークにうっとりさせられるのってTBSのドラマぐらいです。
  • 最初は年齢で生き方を決めてどうするのか?と思ったが三姉妹それぞれの生き方を前向きに描いており観ていて元気をもらう作品になった。三姉妹が魅力的なのは勿論、対する男性キャストも個性的で魅力的な人達で誰もが自分らしく幸せな生き方をしてほしいと願った。

Re:リベンジ 欲望の果てに フジテレビ

  • どこかテイストが似ていると思ったら、やっぱりMBSのドラマ特区の「教祖のムスメ」の制作チームによるオリジナル作品だ。教祖のムスメ同様、本作もいろいろ突っ込みどころはあるものの、そんなことは気にしないで、復讐の連鎖が引き起こす事件の数々に身を委ね楽しむのが正しい鑑賞方法。いつも良い人役の赤楚衛二の悪ぶりが見事。
  • 大病院の理事長の座を争う中で嘘のない真っ直ぐな主人公が病院を、自分を守る為に罪悪感を超えて嘘に嘘を重ね嘘を肯定していく姿に人間の欲望の怖さを感じた。罪の意識を感じながら欲望のままに闇に向かう赤楚衛二の演技や表情が繊細で目が離せない。赤楚は優しい人の役が多かったが悪役も想像以上に悪役で演技の深さを感じた。

君とゆきて咲く〜新選組青春録〜 テレビ朝日

  • 今までにないチャレンジ的作品。若い美しい男性だけでドラマが成立するのか不安だったが、舞台的演出に慣れてくるとそれぞれの動きの格好良さやカメラワークの秀逸さに目を奪われるように。原作を大きく改変してどうなっていくのか今後楽しみ。2クールあるのも良い。
  • ストーリー、脚本とも芯があり素敵な作品だと思います。ただPRの方法がイケメン、新しい時代劇、ブロマンス、エモいなど受けそうな言葉の羅列で薄っぺらい。俳優陣も含めて良い作品なのにもったいない。

約束〜16年目の真実〜 日本テレビ

  • 「冤罪」「真実」「友情」という三つのテーマを、巧みに紡ぎながら、黒尽くめの中村アンと笑わない横山裕が追い求める。現実に、冤罪や再審をめぐる出来事が続く中で、「本当のこと」がどのように覆い隠され、変容されていくのかを検証するような思いになる。同時に、高校時代の何気ない言動が、忘れ去られず、マグマのように溜まっていることもる怖さも知った。

ドラマ25「季節のない街」 テレビ東京

  • テレ東連ドラ版で初視聴。クドカンの「笑って・泣けて・刺さる」ドラマは年を経るごとに極めていっている。このドラマの刺さり方は尋常ではない。また演技巧者揃いなのでそのエネルギーも半端なく、各エピソードを見終わるたびにぐったりする。もう1度見ようという気がなかなか起きないほどヘビーだったが、でも見て損はない。
  • 宮藤さんは原作の時代の影を背負う人々のエピソードを現代に置き換え、個性的な俳優とドラマの虚構をうまく使って、暗さの中にユーモアと温かさを取り入れ、今の現実と繋がるお伽話を作り上げている。さすがというしかないです。

火曜ドラマ9「御社の乱れ正します!」 BS-TBS

  • とても素敵スカッとするドラマでした。現代の水戸黄門みたいな笑 小笠原海さん演じるガンちゃんがセクシーかつ頼もしく、更に面白さもあり素敵でした。

岸辺露伴は動かない 第9話「密漁海岸」 NHK

  • 前作までの年末から時期を移しての新作はファン待望かつ映像化難易度の高いエピソード。俳優陣が身体を張った水中撮影シーンは恐ろしくも幻想的な美しさ。ジョジョ第4部のエピソードを巧みに取り込み、土俗的怪しさも加えた脚本で岸辺露伴シリーズとして高い完成度だった。
  • 年末暮れのお楽しみシリーズがついに映画化と来て、正直またTVドラマとして戻ってきてくれると思ってなかった。しっかりテイスト変わらず、皮肉だが内心アツい露伴先生と、いわゆる無敵の人泉ちゃんのバディ感はますます冴えわたる。映像美もテレビ画面に映える出来栄え。プライベートに触れるのはご法度だが、この作品で演者のお二人は出会って一つの形を得た以上、今後も続くようならある一定の目線を向けてしまう。しかしお二人ならカラッとお芝居し、制作側も気合を入れて没入させてくれる作品に仕上げてくるだろう。

テレビ東京開局60周年特別企画「生きとし生けるもの」 テレビ東京

  • ラブストーリーの名手北川悦吏子さんの、ご自身の人生経験も重ね合わせた深く心に染み渡る、「命」をテーマにした、ある意味朗らかに、ほの明るい光も見えてくる、希望のドラマでした。杉野遥亮さんのファンとして見ていましたが、主役の渡辺謙さん妻夫木聡さんの人間愛溢れる役と演技に引き込まれ、癒され励ましを受けました。杉野遥亮さんの等身大の、弱さや迷いを兼ね備えた現実味のある正直な研修医の姿が真に迫っていて、特に駅でのシーンは強く胸に迫るものがありました。福島の自然の美しさにも慰められた気持ちです。テレ東60周年の記念番組というだけで無く、一生心に残しておきたい素晴らしいドラマでした。

夜ドラ「VRおじさんの初恋」 NHK

  • 姿を見なければ優しくなるが、相手の本当の姿を知った時、それでも同じ思いを持つことが出来るだろうか?少しずつ互いを傷つけないように探り合いながら、現実の「情」や「絆」を結んでいった直樹と穂波は幸せだ。例え本当の家族ではなくとも、互いに必要とする人が集まればいつの間にか「家族」になってゆける世界にひと肌程度かもしれないが、心に残る温かさを頂いた。

ドラマストリーム「からかい上手の高木さん」 TBS

  • まさに今泉力哉監督でしか描けない繊細な世界。同学年でありながら、この年代の男の子がみんなガキなのに対して女の子は少し早熟な感じが本当に見事に描き出されている。見ていて自分の青春時代が甦ってくるのだけれど、ああ、きっと彼らのほうが幸せだなあと思ってしまう。

彼のいる生活 TOKYO MX

  • BLドラマは一つのジャンルとして定着した感があるが、個人的には主人公の間の空気が着目点の一つ。画面から伝わる、二人の熱の高まり、そして、本人たちがそれに気づいてしまう瞬間。本作の加藤綾佳監督は、ヒット作の「オールドファッションカップケーキ」や「体感予報」も手掛けていたが、本作でも期待を裏切らない演出だった。BLドラマ入門ドラマを謳っているが、主人公二人の間のやりとりが生むテンションの高まりを大いに楽しんだ。

ドラマプレミアム 宮部みゆき原作「霊験お初〜震える岩〜」 テレビ朝日

  • 時代劇か…と、思って観始めた。原作は読んでいないが小説の切り取りがしっかりしてる脚本で面白かった。映像も説明部分を漫画チック(?)にしたりして見易かった。ドラマの内容には関係ないが、上白石萌音さんは時代劇の衣装がとても似合っていた。今後の活躍に期待。

ドラマ特区「ゴーストヤンキー」 TVK

  • 学園祭でかかる映画のような、手作り感満載のドラマだった。柏木悠が時々見せる強い感情の発露が魅力的で、なかなかの逸材と感じた。

土曜ドラマ「花咲舞が黙ってない」 日本テレビ

  • 土曜日の夜に観るドラマとして、硬軟のバランスがいいドラマ。今田美桜と山本耕史のバディ感もいい。

火曜ドラマ「くるり〜誰が私と恋をした?」 TBS

  • 予告から感じた印象を良い意味で裏切ってくれた良作でした。主軸に、主人公の「わたしらしく生きる」を探す視点が常にあり、それがとても魅力的で、3人の男性陣がそれぞれに主人公を追いかける心情にも共感できました。

金9ドラマ「イップス」 フジテレビ

  • 現場に出られない刑事と書けない小説家に導かれて、謎解きの瞬間の最後まで見てしまう。犯人の選出が面白い。普段ではとても犯罪を犯すとは思えない俳優やアスリートや文化人が出て来て新鮮。それぞれの個性や職業に合わせた動機や凶器が用意されていて、動機も納得なものから無理無理と笑い飛ばすようなものまであり、だけど事件が起きてしまうコメディな展開もあり面白い。

土曜ドラマ「パーセント」 NHK

  • ESGやらSDGsだの企業にも社会課題解決を求めるのが世の流れ。その裏にあるのが目標数字(KPI)の達成率による管理と外部による企業評価だ。効率の良いKPIの達成が正義となれば、真の社会問題の解決とは矛盾が生じることもままあるのではないか。このドラマは目標数字として障がい者のドラマ出演率(%)を定めた海外の放送局に倣ってドラマ制作を進める放送局のお話。善意はあるが不器用な主人公が現実に打ちのめされ苦悩する姿を伊藤万理華が予想を大きく上回る好演。企業の社会課題の解決と言った耳障りのいい言葉の裏に切り込んだドラマ制作陣にも拍手。障がい者俳優の面々の起用を今後も続けてほしい。

テレビ朝日開局65周年記念「Believe−君にかける橋−」 テレビ朝日

  • 逃亡劇ということで、スタジオ収録だけではなく、ロケを多用していることにスケール感を感じる。登場人物が、誰が味方で、誰が敵なのか、どんどんわからなくなっていく脚本も面白い。

ドラマイズム「滅相も無い」 TBS

  • 舞台演出好きの私にはたまらないドラマ。ストーリーは普通だが役者も上手いし、テレビでこれが楽しめるのはとても良い。チャレンジ的作品。

土ドラ「おいハンサム!!2」 フジテレビ

  • ツッコミを入れたくなるような、癖のあるキャラクターも別の方角から見れば、素敵な人。仕事して食事して帰宅して…平凡な繰り返しだが、「何でもない毎日を生きている」ということが、本当に幸せなことなんだと再認識。取引先が若い女性上司だけど、部下のおじさんを上司と勘違いするなど、多様性のある生き方のはずがそれに慣れていない事や検証など織り込んだスパイスの効いた脚本も面白い。

夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」 NHK

  • 両親がいない寂しさ、それぞれの学校での悩み等に明るくユーモアで支え合う。特に柚木家の末っ子小学1年岳はお向かい霧島家の祖父と親友となったり、とても子供とは言葉使い達観した視野が非常に面白くこのドラマの魅力でもある。

木ドラ24「25時、赤坂で」 テレビ東京

  • 一つずつのセリフや演技の表情・細やかな所作が原作に大変忠実な上、敬意も伝わり、原作ファンも唸る程の完成度。また、同じ物語の中で「白崎目線から羽山目線」に視点を変え、振り返って描く事で、実は大学時代から白崎の演技の才能に誰よりも早く気が付き、ずっと密かに白崎を想い続けていたという、劇的な物語構成にも鳥肌もの。お互いの「好き」が、やっと伝わられた時の、二人の笑顔にも涙。

ミス・ターゲット テレビ朝日

  • 松本まりかさんのGP枠主演というプレッシャーもあったと思いますが、演じている結婚詐欺師という役柄か、すっかりハマってしまいました。彼女の演技力の高さを再確認する作品。

テレビ東京開局60周年連続ドラマ ドラマプレミア23「95」 テレビ東京

  • 60周年に攻めた内容のドラマで驚きです。髙橋海人くんが唯一無二な役者なんだと再認識させられました。メンディーくんが意外と抑えた役柄も似合っていてよかったです。

ブルーモーメント フジテレビ

  • 気象予測にフォーカスを当て、災害による被害をどのように最小限にするかという切り口が新鮮で、昨今の異常気象とリンクしていて興味深く観た。SDMのチーム感を、もう少し前面に出してもよかったと思う。SPドラマを期待しています。

水ドラ25「ソロ活女子のススメ4」 テレビ東京

  • 江口のり子さんの茫洋でいて、ソロ活を生き生きと満喫する感じが良い。情報番組として観ても、発信力があって効果抜群と思います。

ETV特集「汚名 沖縄密約事件 ある家族の50年」 NHK

  • 告発があった時に他の報道機関も後を追って追求すべきだったのに、国の狙い通りに男女の問題として矮小化してしまったところに、いまだ続いている沖縄の米軍基地問題に対してのこの国のあり様が見て取れた。
  • 西山氏をヒーロー扱いせず、言葉を選ばず言えばその零落ぶりを感じさせる空気感。国家の闇と生身の人間の交錯がもたらす悲憤。そこを描き切った作り手を、讃えるしかない。

NHKスペシャル「山口一郎 “うつ”と生きる〜サカナクション 復活への日々〜」 NHK

  • その病名は広く認知されているが深く理解しているかと言えばそうでもない。発病のきっかけやその症状がシーソーのように何度も揺り戻しに襲われながらもツアーを決断しその姿をさらけ出したこの勇気ある告白を今はだれもがなり得るうつ病を理解するために大変意義のあるものになったと思う。
  • 何より取材を受けた山口さんの復活への意思を感じました。ただ、復活と言っても、病気との付き合いは続くわけで、取材を受けることが、病気にとって良い方に向かう手助けになることを祈ります。

川島明の辞書で呑む テレビ東京

  • 古くは「たほいや」など辞書を題材にしたバラエティ番組はいくつか制作されてきたが、その中でもいちばん肩の力がうまく抜けている。なにも考えずに観たい深夜番組とはいえ、本当になんにも考えてないテレビは見ていて疲れてしまう。その点、この番組はちょっとだけアタマを使わせてくれるのがいいところだ。
  • 昔から暇な時は辞書をパラパラとめくり知らない言葉を知るのが好きだったが、同じような趣味の人がいたんだなぁとこの番組を見ていて嬉しくなった。私もこんな風に友達と辞書をつまみに飲んでみたい。

NHKスペシャル「福島モノローグ2011-2024」 NHK

  • あの日以来封印された地で残された動物たちの世話を一人黙々と行う。かわいそうという理由はここまで純度高く至高の行動に結びつくものなのか、描かれているのは気負いのないかの地での日常なのだが、奇跡を見るような思いで画面から目を離せなかった。
  • 継続取材の力。この先も見続けたいが、一方で主人公の苦闘がどこまで続くのかどう思うと胸が詰まる。取材班にも頭が下がるが、幸せな最終回は来ないのだろうか。

ニュー試「韓国エンタメビジネスを学ぶ大学」 NHK

  • 世界中の主な大学のとても鋭くユニークな入試問題を毎回ゲストに解いてもらう非常に興味深い番組。実際に入試担当者も加わって解説していく。今この瞬間世界ではどのような若者達が求められているのかが具体的に伝わってくる。今後もぜひ続けて欲しい。

テレメンタリー2024「行き場のない障害者〜入所施設定員削減の陰で〜」 テレビ朝日

  • 困難な情況にある障害者介護、これを更に苛酷な局面へと追い込んで行く、障害者施設入所定員削減という暴挙。この国の酷薄なありように心が震える。

ハートネットTV「沈黙の理由〜強制不妊手術 埋もれ続ける声〜」 NHK

  • 旧優生保護法による強制不妊手術の、強烈な理不尽に改めて息を呑む。ようやく陽が当てられ始めたとは言え、まだまだ声を挙げることをためらっている被害者も多いのではないだろうか。

EIGHT JAM「忌野清志郎特集」 テレビ朝日

  • 清志郎さんが改めて唯一無二のミュージシャンだということを確信しました。清志郎さんが亡くなってしまったのは残念だけど、残された素晴らしい作品はいつの時代でも心を揺さぶるものだなと感動しました。

映像の世紀バタフライエフェクト「カラシニコフ銃1億丁 史上最悪の殺人兵器」 NHK

  • 機能性、安価性、耐久性によって世界を席巻したカラシニコフ銃の、誕生経緯とその伝播事情をしっかりと辿る。「抑止力」ではなく、直接的暴力装置としての役割を担ったという意味では、「核兵器」よりも悪質なものであるのかも知れない。

はなしちゃお!〜性と生の学問「2024年春SP」 NHK

  • 「性」についてのあれこれもさりながら、とりわけ「ポルノ」に関してのメディア対応の変遷は実に興味深い。戦後GHQによる意識改革、接吻映画の衝撃、昭和の時代の、裸の登場女出演の街頭映画宣伝風景、日活ロマンポルノの登場、リベンジポルノ被害等々、豊富なアーカイブと冷静なトークでの掘り下げに感心した。
  • 日本の性教育は遅れていると言われて長いが、未だ改革の気配すらない。タブーであるような性の話題をエンタメとして明るく話すことで、変化のきっかけにもなるのではないか。

マツコの知らない世界 TBS

  • 毎回テーマごとに深掘りしつつ、マツコ・デラックスさんなりの辛口コメントが冴える番組。

港で気になる コンテナ全部開けちゃいました!〜東京港編〜 NHK

  • 2回目の登場の東京編。頑丈な箱には4年前とは全く違う今の「世界」が詰まっていた。キッチンカーやおにぎり用海苔、ふりかけなど、コロナ禍で生まれた新しい文化や地球温暖化で生産国の認識が替わったり、異国での文化に見合った商品だったり。輸出元の国の工場などにも潜入して、より見応えがある、分かりやすい番組になっていた。

明鏡止水「二足歩行を極める」 NHK

  • 人間の基本「歩く」ということについて深掘りしていて、とても興味深かった。岡田准一さんのマニアックな知識とケンドーコバヤシさんの軽妙なトークが番組を面白くしている。

Gメンバーの推薦番組

あさイチ プレミアムトーク 木梨憲武 NHK

  • かつてラジオ番組が縁で所ジョージさんに作ってもらったMC博多華丸・大吉のための曲を、木梨さんがサプライズで二人に生歌唱「させる」。最近いろんなプロデュースを「本気の遊びで」行う木梨さんの一面が遺憾なく発揮された。華大の二人も目を白黒させながら、知る人ぞ知る名曲「まんざい師」をNHKの朝の全国放送で歌い、内容の見事さと朴訥な歌い方にぐっと来た。

シークレット同盟 読売テレビ

  • コメディエンヌとして独特の魅力のある松井愛莉が主演だが、本作では「あざとかわいい」彼女の魅力を封印し、ある事件を原因に男性不信になり、まったく自分に自信を持てない女性の苦悩を演じている。演技の幅を大きく広げたといえるのではないか。しゅはままゆみ演じる毒母との対決シーンは特筆ものだ。これは、全国でも放映してほしい作品だ。

魔改造の夜 電動マッサージ器 NHK

  • 学生、企業のエンジニアたちがプライドを賭け、限られた条件で知恵を出し合い、勝てるマシーンを作り上げていく姿は、同じエンジニアとして考えさせられることが多い。今回は、電動マッサージ器を走らせるために、2社の企業がブラシを選択したあたりが、学生よりは経験値が上回っていると感じた。

スナック女子にハイボールを 中京テレビ

  • 場末のスナックだけが舞台となるドラマ。山口紗弥加演じるママと客のバカ騒ぎのドラマなのだが、これが楽しい。飲み屋が舞台のドラマといえば米国のCheersが思い起こされるが、日本でも芸達者を集めるとアイデア次第でいいドラマができるのだ。続編を希望したい。

スポーツ×ヒューマン「選 王者たちの語らい 橋本大輝×内村航平」 NHK

  • 体操好きの私にはとても興味深い対談でした。ニュースでは毎日毎日これでもかというくらいアメリカの野球の話ばかり紹介されてうんざりしていますが、世界に誇る日本のアスリートはもっとたくさんいるため、マイナー競技ももっと取り上げてほしいです。

RSK地域スペシャル メッセージ「望まれない性を生きて 臼井崇来人 闘いの十年」 RSK山陽放送

  • 昨年ようやく最高裁で「性同一性障害特例法」の性別変更についての「生殖不能手術」条件の憲法違反が認められた。ここに至るまでに長い闘いの日々を送った、岡山のトランスジェンダー臼井氏の姿を丁寧に辿る。力作と思う。

日曜日の初耳学 毎日放送

  • 草彅剛特集回がとても見応えがあった。前編、後編と2回続けて放送したのも納得。SMAP解散騒動時の、理不尽な状況や、本人達のやりきれない気持ちを、やっと放送できるようになったのかと、感慨深い。また、林修はインタビュアーとしても、フラットで優れていることを実感した。

時をかけるテレビ NHK

  • 12年前の番組「こうして僕らは医師になる」を取り上げた回がとても良かった。ドキュメンタリーだが、研修医と同世代の田中圭さんが「研修医の目線」で語りを務めていたので、研修医たちの奮闘ぶりを身近な人たちの出来事のように感じることができる番組だった。番組の終わりに研修医の現在の頼もしくなって姿も紹介されていたのも嬉しかった。

情熱大陸「今泉力哉」 毎日放送

  • 作品が好きで監督の作品作りに興味を持って観た。今の感情を大切にして言葉に乗せていくシーンに演技と思えない自然体のお芝居はこうしてできるのかとわかり、若い人達と飲み語るところに飽くなき好奇心が監督を動かしているのかと思い次の作品も楽しみになった。

ひらめけ!うんぴょこちゃんねる TBS

  • 小学生(学年問わないので大人も)の視聴者の投稿を、WEST.の7人が形にしていく番組。投稿のアイデアもさることながら、形にするWEST.の7人のユーモアセンスがなければ成立しない。楽しいしユーモアにどんどん磨きがかかっていると思います。

(掲載は順不同)