2024年9月度-月間ノミネート

新宿野戦病院 フジテレビ 得票数:150
プレミアムドラマ「団地のふたり」 NHK 得票数:107
土曜ドラマ「Shrink —精神科医ヨワイ—」 NHK 得票数:102

 
 
新宿野戦病院 フジテレビ

  • 2度の震災、まだ続いている感染症禍。この厄災とがっつり向き合って物語を紡いだ人は宮藤官九郎さん以外にいないのではないか、というくらい、感染症禍を描いた最後の2話でした。医療関係者への仕打ち、間違った差別、間違った恐怖心、コロナ禍で宮藤さんが感じられていたことが詰め込まれていました。「これが正解」と断罪せず、疑問を投げかけて考えさせてくれる脚本と脚本を活かした撮影スタッフと演じきったみなさんに拍手と感謝です。
  • 適度に汚くて愚かで滑稽で人情深くて美しい、突飛な展開や設定でも不思議に居心地の良いドラマでした。続編が観たいです。
  • 混沌とした新宿の街角にある病院で毎回騒動が起こり、手当てが必要な人々が最後の砦のように頼ってくる。普通に暮らしていると気付かないような様々な状況におかれている人達が、身体の回復以上にその心にも血が通い始めていくような人呼んで「新宿野戦病院」。もの凄くカッコいいドラマでした!

プレミアムドラマ「団地のふたり」 NHK

  • 日曜日の夜に見るのにふさわしい、良作のドラマ。小泉今日子、小林聡美はもちろん、まわりを固める共演者の演技もよかった。高齢化社会が進む地域のつながりを、押し付けがましくなくあたたかく描いたことに共感を覚えた。
  • 北多摩地域は、その昔は水の便が悪く、人の定住は江戸時代中期以降になってからとなった場所も多い。このため戦後になっても開発に向いた土地が残っており大規模団地が幾つも建設された。この物語はそんな大規模団地の一つが舞台だ。高度経済成長期のこれらの団地の独特の熱を帯びた空気は原武史氏の著作に詳しいが、そのなかで生まれ育った主人公二人の令和の物語はどこまでもほのぼのとしたもの。芸達者たちが演じる、人生の酸いも甘いも経験済みの住人たちのすったもんだは、本当に楽しい。
  • マンションとは一味違う団地暮らし。私も18年間を団地で過ごしたが、ちょっぴりおせっかいだけど血の通った関係がそこにはあった。明日から仕事を控えた日曜の夜。主演ふたりの自然な佇まいと住民との緩やかな展開に、残り少ない休日のラスト時間をほっこり楽しませてもらっている。

土曜ドラマ「Shrink —精神科医ヨワイ—」 NHK

  • いわゆる“医療ドラマ”とは一線を画す作品だった。病気とそれを患う患者にフォーカスしており、今まで知らないでいた事も身近な事として捉えられるきっかけになった人が沢山いただろうと思う。精神科医の弱井先生を演じられた中村倫也さんの患者と一定の距離感をしっかり保ちながらも、優しく寄り添う姿はこの作品になくてはならない存在で、原作の弱井先生そのものだった。是非、続編も期待します。
  • 精神疾患と重くなりがちなテーマを主演の中村倫也さんの優しい声の仕草と土屋太鳳さんの天真爛漫な明るさで重くならずに見ることが出来ました。色々な症状の精神病があることも知り、まだまだ精神科に対して知らないことが多いなと実感もしています。
  • 身近に同じような者がおり見るのが辛かったが、こんな先生、というより、こんな人がいてくれたら、世界は救われると本当に思った。2話の松浦さんの演技が本当の症状に見えて、とても切なく、素晴らしい役者さんだと思った。

他に推薦された番組

テレビ朝日開局65周年記念 ドラマプレミアム「終りに見た街」 テレビ朝日

  • 太平洋戦争をモチーフとしながらも激しい空襲につながっていく構成。大衆の強い感情のうねりに吹き飛んでゆく少数の人が主張する「多様性」。ピカソの「ゲルニカ」のように、宮藤官九郎氏が「戦争への怒り」を描くとこうなるのかと唸った。世界では、悲惨な光景が今でも普通に続いている。忘れてはならない。絶対に。
  • ドラマの最後が非常に印象的でまるでこの先の日本の世界の未来を予測しているかのようでとても不気味でした。そして改めて現在の生活を見直しなさい、と喚起されていくような見応えのあるドラマでした。

特集ドラマ「母の待つ里」 NHK

  • ファンタジーなのか?と思いつつ観ていたら、最後に震災という現実を突きつけられガツンと殴られたような気持ちになりました。「里」を訪れる方たちも良かったですが、とにかく宮本信子さんの演じる母がとても暖かく、映像を観ていて私も「里」に帰ったような感覚になりました。

土ドラ「嗤う淑女」 フジテレビ

  • 「あなたの敵は誰ですか」ヒロイン(内田理央)が言うこの決め台詞、依頼人にとって邪魔をするもの全てが「敵」というところに恐ろしさがある。一般常識や倫理観は存在せず、横領や裏切り、時には殺人も「目的」を達成するためには必要。どんな手段もいとわないダークサスペンス。「夢を叶える」為に、目標を達成させるいびつな「ねじれ」に恐怖する。1シーズンで終わらすにはもったいない。中山七里さん原作の数歩先を行くミステリーに仕上がっていて面白かった。

土曜ドラマ「GO HOME~警視庁身元不明人相談室~」 日本テレビ

  • 派手さはありませんが良い視点と演者で創り錬られた作品でした。小芝風花さんと大島優子さんがバディとしての良い関係性を和やかにほっこりとしっかりと描いていて安心しつつ、ドラマの中の良いアクセントとして伝わってきました。この二人の何気ないやり取りが、身元不明人という重苦しくなりそうなドラマに絶妙に丁度良い重さと軽さと魅力を演出していました。さらに二人を優しく、何気なくサポートする役目だった堀口尚史を演じた戸次重幸さんが、ほっこりと主人公の二人を引き立たせつつ、最後の最後に身元不明人になるという展開はしっかりと驚きと共に楽しめました。次のシリーズがあったとしても堀口がいないと思うと残念でなりません。

24時間テレビスペシャルドラマ「欽ちゃんのスミちゃん~萩本欽一を愛した女性~」 日本テレビ

  • スミちゃんの生き方は今の「推し活」という言葉では追いつかないくらいに究極のファンの形。自分の願望を押し付けることなく、欽ちゃんが自由に仕事できるように、誰かを笑顔にできるように、献身的な愛を注がれていたのだなと思いました。欽ちゃんのマネージャーが結婚してもどんな状況でも仕事ができるようにと動かれていて、その役を香取慎吾さんが演じられていたのが印象的でした。
  • 「欽ちゃんのスミちゃん」というドラマタイトルだったが、一生欽ちゃんのファンを貫いた奥様「スミちゃんの欽ちゃん」を描くドラマだった。昭和の芸能史を描くドラマとしても丁寧に作られていた。スミちゃんの最期の言葉「いってらっしゃい」に泣かされた。

ドラマ25「晩酌の流儀3」 テレビ東京

  • 楽園で極上の景色をゆったりと眺めているかのような作品でした。3作目となって魅力が下がらないのかと心配していましたが、余計なお世話でした。伊澤美幸を演じた栗山千明さんが、ドラマと視聴者のちょうど間にいる感じの演出にマッチしてて上手く演じていて心地よい時間が続きました。ドラマ内で出てくる料理もしっかりとちゃんとレシピや創り方を丁寧に見せることで、本当に美味しそうで美味しいお酒を飲むための脇役としてドラマにリアルを与えていました。何シーズンも続いて欲しいドラマです。

連続ドラマW-30「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」 WOWOW

  • この磯兵衛は杉野くんにしか演じる事はできないと言い切れる、杉野くんのコメディの才能が全身から溢れる本当に笑える素晴らしいギャグ時代劇です。原作の面白さを踏まえつつ、実写化された世界がまた更に新しい面白さを加えていて、とても凝った作品だと思います。セットの制作スタッフさんを始め、監督さん、もちろん才能溢れるキャストのみなさんの、面白さを追求する熱意がすごくて、本当に無条件に笑い転げる事ができます。これほどに、最高の褒め言葉として、馬鹿馬鹿しく意味のないギャグ作品はなかなか無いと思います。毎回毎回大笑いして一日の疲れを癒し、心がホッとしました。最高の癒しギャグ時代劇です。

飯を喰らひて華と告ぐ TOKYO MX

  • 1話を観たときになんてフザけたドラマだとびっくりしましたが、あまりにも振り切っていて逆に次々と観たくなる中毒性があるドラマ。新しい発想かもしれない。

金曜ドラマ「笑うマトリョーシカ」 TBS

  • 現実の政局とも重なるようなところもありゾワゾワしながら楽しめた。最終回の清家一郎の真実がわかるシーンはゾクッときた。高岡早紀や櫻井翔のイメージぴったりなキャスティングにこちらもすっかり騙され踊らされていた。
  • 主役のジャーナリスト・道上を演じた水川あさみが光った。現実とオーバーラップさせながら、政治の世界の病巣や世間の偏見を考えられたのも良かった。ロシア(旧ソ連)の入れ子人形・マトリョーシカの、一番小さな奥に真意があっても、それを見出すのは難しい。それが、政治の術策なのだろうか。

ROOM ~史上最悪の一期一会 BS-TBS

  • 初め何も関わりない4人がふとした縁で絡みあい、最終話に「ええーそうだったの?」という仕掛けもあり面白かったです。ベテランの域の主演眞島秀和さんと、キラキラの若手との組み合わせもよかったです。

金曜ナイトドラマ「伝説の頭 翔」 テレビ朝日

  • 高橋文哉くんの1人2役、カルマさんの東城のオーラ、菅生新樹くんの大門の演技もとても良かったし、レギュラー陣もゲスト俳優さんも、役の作り込み等、熱量が本当に高い作品だった。内容も良くて、コメディ要素満載なのに毎回感動して泣かされていた。放送時間が毎回不規則で、深夜どころか未明の放送になった回もあり、ヤンキーという好みがあるジャンルでもあり、序盤、登場人物が多すぎて人物相関が混乱しやすいところもありで、視聴率には恵まれなかったかもしれないが、ヤンキーものにも興味がなく、知らない役者さんが多かったにも関わらず、見始めたらすっかりハマってしまって、毎回心に響くものがあった作品。

夜ドラ「事件は、その周りで起きている」 NHK

  • 警察署内で起こる名もなき半径3メートル事件をコメディタッチで描いていてとても面白かった。「トクサツガガガ」で共演していた小芝風花さんと倉科カナさんの再共演が胸熱です。
  • 観客席の少ない劇場で、コントのような寸劇を見ているようなドラマ。「他愛もない話」だと言ってしまえばそれまでだが、可笑しい中に「ちょっと刺さる」何かがある。

素晴らしき哉、先生! テレビ朝日

  • タイトルの「哉」の、肯定的か否定的かの二面の意味に、関心を持ってみてきた。どうやら、「何で?」「辞めてやる!」と思うことが多々あっても、「やっぱり続けたい仕事」へとシフトしていくことに安堵。りお先生の生田絵梨花と母親の田中美佐子がいい味を出している。学校はデジタル化などが進んでいるが、「教師とは?」になると、聖職観を持ち出して、教師の生き方を阻む守旧派がいる。これをどう打破していくのか?今後の展開に期待。
  • 学園物は苦手でした。また熱い教師に影響受けて熱くなっていく生徒たち…なんだろうなって思いながら見ていたけど、熱過ぎず、そして淡々とした所もあり、淡々とした中でも熱さがあり…良かったと思います。

ビリオン×スクール フジテレビ

  • 初回の新宿駅の工事現場でのロケは、これから大きく変わっていく新宿の「今」の風景を遺す貴重なシーンだった。3年0組の生徒たちと先生の葛藤が、AIを絡めて描かれているところが新鮮な印象の学園ものだった。個人的には「ごくせん」の3年D組と並ぶ学園もののドラマと思う。職員室のアドリブのシーンで出演者たちが思わず笑ってしまうところも見ていて楽しい。
  • 答えのないものを開発しても意味がない、自分を消すのが正解だと結論を出したAI教師ティーチ。最後に笑顔で主人公に言った「加賀美くん、どんどん失敗しなさい」に大泣きした。信頼と親愛と希望が込められたこの言葉が忘れられない。何年も自分に残り続けると思う。

木曜ドラマ「クラスメイトの女子、全員好きでした」 日本テレビ

  • 高校時代のクラスの女子を一人ずつ思い出しながら、現在の彼女たちとの対比を軸に甘酸っぱい青春時代を描いた構成はユニーク。刑事ドラマや病院ドラマにはないさわやかさを感じた。
  • 確かに毎回登場する女子(でない人もいたが)全員に対して好意を抱くことができた。近来稀に見る良い話。微妙にハッピーエンドでないとこがリアルで、でも、あったかくて秀逸な結末。

オシドラサタデー「青島君はいじわる」 テレビ朝日

  • テンポの良い展開で、気軽に楽しめる。深いドラマではないが、こういう娯楽作品は絶対必要。娯楽作品としては質が高い。

マウンテンドクター フジテレビ

  • TV地上波番組であれほどの臨場感のある、美しい北アルプスの映像はなかなか見られないものでした。登山に余り興味のなかった私でも、登山を始めてみたいと思わせる説得力ある映像で、毎話その映像を見るのも番組鑑賞の楽しみのひとつでした。制作スタッフの皆さんの山の映像への力の入れようを感じ、心を熱くする事ができました。また、主演の杉野遥亮くんの自然体の演技が今回更に磨きがかかっていました。喜怒哀楽の表情や、ドクターであり一人の人間である、その人間味や完璧ではない人間の姿、弱さや感情も含めたありのままの宮本歩先生に強い共感と応援したい魅力を感じました。山の美しさと相まって、宮本先生の素朴さが澄んだ輝きを放っていました。
  • しっかりと医療にリスペクトも感じられましたが、山岳医療を題材としているなか、映像としてはどうしても既視感が拭えませんでした。場所は山岳と密接な関係を持っている医療機関で、確かに事故は山で起きますが、現場や院内での処置になると救急医療の場面が多く既視感に繋がったように思います。山岳医療に詳しくないのでどこに焦点を当てるともっと山岳要素が活かされるのかが分かりませんが、医療ドラマが乱立しているのでもっと山岳して欲しかったです。救急医療という中での山岳医療という新しいジャンルをもっと切り込んで開拓して欲しいです!

ドラマL「シュガードッグライフ」 テレビ朝日

  • 何気ない日常の積み重ねですが、その穏やかさをずっと見させてほしいという気持ちになります。人を好きになるってこういうことだったなと淡い気持ちを思い出させてくれるドラマです。

ドラマプレミア23「夫の家庭を壊すまで」 テレビ東京

  • 予告を見て、松本まりかの怪演かーと見始めたのだが、彼女の切実な演技に何度も涙が出た。相手役の野村康太、今のタイミングでこの役を得たことは飛躍への一歩となると感じた。

夜ドラ「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」 NHK

  • 小学生の頃に星新一の「ショートショート」を読んで思い巡らした映像が、そのままテレビで見れた感覚だった。「不眠症」など小説を読み終わった後に感じた「え?…それで…?」という後味まで感じられて良かった。

君とゆきて咲く~新選組青春録~ テレビ朝日

  • TVドラマ史上最も美しい新選組。時代劇とは思って観ずに、2.5次元舞台のドラマ版と思って観たら、無理なく楽しめた。モチーフが新選組なのに死人が少ないのが斬新だった。

木曜劇場「ギークス~警察署の変人たち~」 フジテレビ

  • もっともっと変人感を欲してしまいました。三人の特殊能力というか才能があってそれぞれの部署に適応して活躍している人たちの物語であることは普通に伝わってはきたんですが、それではよくある刑事物と同じになってしまうので、もっと変人を押し出して、普通の日常生活の中に変人を食い込ませることで目立たせて事件解決をして欲しかったです。変人三人の突拍子もない会話や噛み合わないけどわかり合っている会話劇みたいな部分も見たくなりました。

土曜ナイトドラマ「顔に泥を塗る」 テレビ朝日

  • 愛されたいと思うあまり、好きな人の好みに合わせることはよくある事。交際や結婚と引き換えに自然と誘導されていたら…モラハラ彼氏に最初は嫌悪感があったが、事情を知るにつれて、少し気の毒にも思う。途中で失いかけた自分らしさに気づき、新しい世界を選んだ主人公には「がんばれ」と素直に応援したい。

水ドラ25「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」 テレビ東京

  • 普段暴力シーンのある番組は敬遠するのですが、これだけは別。アクションが凄すぎて感動モノです。この番組の暴力シーンは何故か見ていても嫌悪感がわかず、引き込まれてしまいます。そして、主人公二人の普段のゆるさ。二人の可愛さと殺し屋協会員のキャラクターに魅せられ、映画版も全て見てしまいました。

南くんが恋人!? テレビ朝日

  • 内田春菊さんの漫画原作で、何度もドラマ化されている作品です。初回の視聴時は、期待というより、懐かしさと従来の設定とは違う男女逆転のストーリーへの興味で観ました。キラキラした夏の風景を背景に繰り広げられる愛すべき登場人物たちの物語にすっかり魅了され、翌週の放送がとても楽しみなドラマになりました。最終回まで、登場人物の一人一人にもれなく感情移入しながら楽しめるという、久々に脚本の力を実感したドラマでした。

火ドラ★イレブン「あの子の子ども」 フジテレビ

  • 最終前回の、脇役たちにスポットを当てた回が胸に迫ってきて見応えがあった。監督を調べたら、女性監督で、連ドラデビューとあり、今後が楽しみと感じた。一貫して桜田ひよりの透明感と静かな強さが心に残った。

木曜ドラマ「スカイキャッスル」 テレビ朝日

  • 久しぶりのドロドロ劇。韓国ドラマが下敷きなら当然、と、そのドロドロに乗ってやろうと見始めたが、演者の誰もが過剰演技をするので、案外楽しく観られた。ただ、簡単に人を殺すのはいかがなモノか。九条先生のトラウマが意外とチープで最後無理矢理着地させた感がある。

100カメ「大河ドラマ『光る君へ』 平安の雅を生み出す舞台裏」 NHK

  • 「歌会で鳥の作り物が小川を流れる」そのシーンにつめこまれたこだわりが見れてよかったです。その時代それはあったのか、そうだったのか、その演出は伝わるのか。今回、初メインに抜擢された演出さんをサポートされる先輩の方々の厳しさもよかった。いろんな方々のこだわりと尽力でエンタメは支えられているのですね。
  • 一つのシーンを作り出すために、その何倍もの時間もお金も、担当の方の持てる知識を全て使ってらっしゃる姿勢に拍手です。今回は渾身の「鳥」が使われましたが、そうならなかった装置もあったのでしょうか。表に出るのは俳優さんであり、その演技ですが、それを裏でささえるスタッフさんの確かな力があってこその大河ドラマ。演者さんを含め全てのスタッフさんの「想い」が溢れる様を見せてもらえ、ドラマを見る視点が増えてまた楽しめる番組でした。

内村プロデュース テレビ朝日

  • 久々の内Pは感動しつつも令和のコンプラを意識しつつもやっぱり楽しい放送でした。出来ることなら年一で放送して欲しい。冒頭、ウッチャンの「なんだよ、みんな大きくなっちゃって」の言葉通り、今やMCとなり笑いの評価をする側になったベテラン芸人たちの本気と焦りが垣間見え、演者も視聴者もスタッフも番組復活を純粋に楽しんでいたのが良かった。
  • 内村さんの還暦祝いで、一夜限りの復活とはいえ、当時の出演者はほぼ売れっ子になり、錚々たるメンバーを揃えるにはスケジュール調整が大変だったと思う。リアルタイムで観ていた世代で、久しぶりに大笑いさせていただきましたが、今やコンプラを気にしながらの番組構成や編集にせざるを得ないし、テレビの限界すら感じました。

映像の世紀バタフライエフェクト「ゲッべルス 狂気と熱狂の扇動者」 NHK

  • 視聴後の感想は、これは80年前だけの話ではなく現代においても懸念されるものだということ。悪意をもってすればメディアは不確実な情報を発信しその責任も持たない、いわゆる言ったもん勝ちである。デジタル技術によって本物とニセモノの区別も危うくなっており、それに感化された大衆はSNSで拡散させる。けっして過去のことではなく人類は何度もこれらのことを振り返り、今を見つめ続けなければならないと思う。
  • 大学の授業で習ったことのなかでも今でも強烈に覚えているのが、啓蒙相・ゲッベルス。当時の白黒映像をふんだんに使い圧巻の情報量で“狂気と熱狂”が伝わる。映像の世紀バタフライエフェクトの教育的機能の高さにも目を見張った。

報道特集「沖縄と少女暴行」 TBS

  • 隠されていた事件の実相を、キー局が詳細に伝えたのは初めてではないか。 ただ、ファクトを積み重ねる前半に比べ、後半は「論」が中心となる。夏の終戦企画も、そうだった。このスタイルしかないのだろうか。

ETV特集「老人と海獣~北海道 積丹 トドと泳ぐ海~」 NHK

  • ダイビングをする娘が見たがって、家族で見ました。人間のエゴで海を支配しようとしていないか…考えさせられました。

newsオードリー 日本テレビ

  • 私が住む県に春日さんが足を運んでくれたので興味深かった。通勤路に立入禁止の黄色いテープが張られているとか、バスを降りて神社の藪を抜ける時に聞こえる風の音にビビってしまうとか、日常の其処此処にクマに対する警戒心は県内何処でも、市街地でもある。命に別状なしの言葉の裏にある現実を春日さんが拾ってくれたので、普段は聞いてくれない人でも耳を傾けてくれたらいいな、と思った。死や危険と隣り合わせで暮らす人達への無責任な批判が一つでも減ることを祈ります。

NHKスペシャル 調査報道 新世紀 File.5「ミャンマー軍を支える巨大な闇」 NHK

  • ミャンマーの現状は、取材が難しいと想定される中、調査報道の形で課題を掘り下げる関係者の努力にエールを送りたい。

ドローンで見にいく謎の島 テレビ朝日

  • 自分の苗字にも入っている漢字「藪」が気になり、見てみた。40年ほど前に最後の島民が島を離れた後、無人島となり、まさに島全体が「藪」に覆われていた。元島民の方の、島独自の言語辞書を作られて自費出版されたり、伝説で伝わる島の英雄に対する尊敬の気持ち、そして島を離れてしまったことへの責任から来る自責の念など、島の文化に対する大切な思いと大きさ、重さを知って、感銘を受けた。小さい島であっても、独自の文化がある。人は住んでいた所に、愛着と尊敬と歴史があって、それは島に限らず、何処であっても、同じだと思った。

クローズアップ現代『「虎に翼」が描く“生きづらさ”の正体 脚本家・吉田恵里香」 NHK

  • 半年間、ぶれることのないテーマで描ききった脚本家の力に感心しました。生きづらいということを正面から訴えても伝わらないことが多く、このようなドラマでの提起は新しい挑戦として、おもしろいと思いました。

ドキュメント20min.「お国自慢バラエティ 被告人 名古屋」 NHK

  • 地元だとわかりきっているはずの「名古屋」というくくりの広さ、曖昧さから目を逸らしてきたことを突きつけられて、名古屋に暮らすものとしては少し胸が痛いながらも笑ってしまう、あたたかみのあるドキュメントでした。他の地域でも同じようなことがあるのかな。他地域の事情も少し知ってみたいと思いました。

しくじり先生 俺みたいになるな!!「芸能生活70年!黒柳徹子の人生3大しくじり」 テレビ朝日

  • 「しくじり」と言いながらも、ご本人はそれも含めて悔いのない選択をしてらしたのではないか。あの時代に己を貫くことは決して容易なことではなかったとおもいます。「黒柳徹子」という人柄に、歩んできた人生に感銘しました。これからの歩みもまた楽しく見せていただきたいです。

ドキュメント72時間「東京・赤羽 街角の駄菓子屋で」 NHK

  • 子どもの頃の駄菓子屋に行った思い出が蘇り懐かしく観た。大人になってもワクワクする場所はそうない。選んだり迷ったりして決めたお菓子を今でも思い出す。クジは無欲な子ともが当たりを引くのかなと思ったり。大人も童心に帰れ、子どもと対等にいられる居場所が駄菓子屋なのかと感じた。

わたしを生きる~認知症とともに歩む社会~ NHK

  • 井浦新さんの優しい語り口で、フランスの療養時やの取り組みが紹介されていて、興味深く拝見しました。お年寄りが自分の家のように暮らせる未来が日本でも実現できると良いと思います。

ETV特集「多国籍アパートで暮らせば」 NHK

  • 東海地区で一度放送したものの、再編集版。ユニークなスタイルのドキュメンタリーで応援したいが、 カメラを向けることの暴力性みたいなことや、 取材者と取材対象のいつか終わる関係を、作り手がどう整理していたのか気になった。

今夜復活!8時だよ!全員集合 不適切だけど笑っちゃう!ドイツ伝説コントBEST20! TBS

  • 懐かしコントを観られて良かったです。しっかりと作られたお笑いだと感じ、当時携わったスタッフの方には敬意を表します。

虎に翼×米津玄師 スペシャル NHK

  • 米津さんの曲作りの深さは言わずもがなだが、伊藤さんとの対談での紐解きがよかった。また、女子部のみなさんが笹竹で語っていた印象的だったシーンは、どれもパッと浮かんでくるものばかりだったので、出演者と視聴者の想いが合致したようで嬉しかった。女子部メンバーが入った、フルバージョンの新タイトルバック映像も最高でした。

ザ・ノンフィクション「いつまで夢を追いますか~路上役者 令和の路上物語~」 フジテレビ

  • ノンフィクションは大好きで泥臭いところも含めて、頑張って欲しいと思う気持ちと共に身が引き締まる思いがします。知らないところで知らない人の真っ直ぐな人生、きっと知る事もなかったストーリー。ただ少し見ただけなのに応援したくなる番組です。

NHKスペシャル「封じられた“第四の被爆”―なぜ夫は死んだのか―」 NHK

  • 事故の報告書を読み解き生存者を訪ね残された歯を調べて事実へとたどり着く過程はまるでミステリー小説のようであった。それはまさに米国のために自国民を切り捨てた日本の姿でありこれがその後の日米安保の在り方や核抑止力原発政策へと繋がっていくのかと思わされた。

NHKスペシャル「藤井聡太 VS. 伊藤匠 AI時代 将棋の新たな地平」 NHK

  • 「後世の人が見たとき、少しでも面白いと思ってもらえる棋譜を残したい」「少しでも見どころがあると思ってもらえるような駒を残したい」 藤井聡太名人の言葉。自分が死んだ後の未来に思いを馳せる22歳に感嘆。子供時代から戦ってきた伊藤匠叡王との純な絆がとても尊いものと感じた。

Gメンバーの推薦番組

私のバカせまい史「新幹線 実は時間短縮しまくってた史」 フジテレビ

  • 時代の変遷や技術の進化など、東海道新幹線の歴史を真っ芯でとらえつつ、バラエティとして楽しく見せてもらえました。芸人の力(この回はさらば青春の光・森田さん)を頼みにバラエティのフォーマットで引きつける、魅力的な番組だと思います。

ひらめけ!うんぴょこちゃんねる TBS

  • 子ども向け番組のフォーマット(短尺の複数コーナー、登場人物は少数)で、内容は「ゆるく」気構えずに見ることができる。視聴者が小学校の休み時間に戻ったような気持ちになれる。なぜ深夜帯で子ども向け番組を制作しようと思ったのかの意図を聞いてみたい。

東海 ドまんなか!「“頂き女子”事件の深層」 NHK

  • 二審判決に合わせての放送。 この事件の闇は相当深い。 加害者側、被害者側それぞれが 同情を呼ぶ一方で、誹謗中傷も集まる。さらに、SNSを介した犯罪の拡散。 すそ野はものすごく広い分、焦点を絞りにくい中、健闘した。ただ、 この番組も含め、各社接見取材を重ねるが、被告の人物像は絞りきれない。 長編が見たい。

with MUSIC 2時間SP 日本テレビ

  • 稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの3人が揃って音楽番組に登場したことがすごく嬉しかったです。彼らのトークのセンスはさすがでとても楽しかったし、テレビでは初披露となった3人で歌う「雨あがりのステップ」が爽やかで素敵でした。彼らにもっとテレビに出演して欲しいと思いました。
  • 稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さん出演シーンが良かった。MCの有働由美子さんが涙ぐまれていたのが印象的だった。3人それぞれの個人活動の過去映像が流れたが、この番組に限らず、SMAPとしての出演シーン(視聴者には窺い知れない理由で長年封印されている。理不尽だと感じる)も放送すべきだと感じた。視聴者のための放送、ということを、業界全体でもっと考えてほしい。

スポーツ×ヒューマン「“横綱”と向き合い続けて 横綱・照ノ富士」 NHK

  • 満身創痍の中で一人横綱として相撲と向き合い「横綱」であり続ける覚悟がここまで壮絶なものだったとは知りませんでした。真摯に相撲と向き合い自らのやるべきことを考え受け止めている姿勢に深い感銘を受け、自分の中で「相撲」や「横綱」の見方が変わりました。林遣都さんの静かでおだやかで寄り添うような語りもスッと耳に入ってきてとてもよかった。この方は本当に「語り」がお上手だと思いました。
  • ちょうど照ノ富士が休場するというときに、この番組が放送された。番組では満身創痍で「横綱」らしくいようとする姿が痛々しかった。こんな状態になっても、「横綱」として生きている姿を見て、自分ももっと仕事や人生にしっかり取り組みたいと感じた

上田と女がDEEPに吠える夜「ルッキズムの呪い回」 日本テレビ

  • 美しくなければ価値がない、と思い込まされているのが問題。刷り込み。ルッキズム(美しくなければ価値が無い)はコンプレックス商法と言われて、目から鱗が落ちる思いだった。自分の価値を見出す、美しさ以外にもいっぱいある、それを探して自分に自信をつける事が重要と言うメッセージが素敵だった。

火曜ドラマ「西園寺さんは家事をしない」 TBS

  • これほどドラマと主演の西園寺一妃を演じた松本若菜さんがフィットして上手く循環したドラマは久し振りなのではないでしょうか!? いろいろな「あり得ないこと」的な出会いや設定が折り重なりますが、全く違和感なくドラマの中に誘ってくれました。それは他ならぬ松本若菜さんの演技と存在感だと思います。そして実は作品の中に良い感じのアクセントとオアシスになっていたのは幼馴染みの小西洋介を演じた塚本高史さんと宮島陽毬を演じた野呂佳代さんです。実は上手くストーリーを前へ進ませる重要な場面を担っていたように感じました。「偽家族」という言葉の響きに少し違和感を覚えましたが、それでも付き合うということとは?同居・同棲するとは?結婚するとは?親子とは?などパートナーを創るという形状、形態を改めて考えさせながらも、コミカルに進む作品はしっかりとした良作でした。テレビの中のドラマだけど、もしかしたらどこかの町でこの人たちが実際に存在するんじゃないかとひっそりと思わせてくれる作品でした。

正解は現地で 読売テレビ

  • クイズの「正解」を求めるために、現地まで行って調べてくるという切り口が面白かった。なんでもネットで調べて、知った気になっている自分には、とても刺激的だった。そしていつのまにか、現地で悪戦苦闘する芸人たちの冒険を応援していた。香取慎吾、ニューヨーク屋敷、青山テルマのMCトリオの息もぴったり。関西ローカル単発ではもったいない、とても面白い番組だった。全国ネットでの第2弾を期待したい。

第44回全国高等学校クイズ選手権 日本テレビ

  • スタジオゲストに好きな俳優さんがいるから…という不純な動機で観始めたのですが、高校生たちの熱い戦いぶりにすっかり心を奪われました。中でも小田原城での2回戦。二択問題とジャンケンで、あんなドラマが生まれるなんて…思わず貰い泣きしてしまいました。チーム戦ならではの駆け引きや仲間との絆は、個人戦のクイズ番組にはない魅力で、この番組が長年続いている人気の理由がわかった気がする。

スメルズ ライク グリーン スピリット 毎日放送

  • 舞台は90年代。主人公は女性的であるために壮絶ないじめを受ける少年。彼に浴びせられる残酷な仕打ちと言葉の数々は、現代では到底受け入れられないものであり(小さいながらもお断りの字幕がついている)、自らの経験を思い起こしてしまう当事者もいると思う。さらに彼の在り様に男性同性愛者に対する昔のステレオタイプを感じる人もいるかもしれない。しかし、これらの危惧があるにしても、私はこのドラマを強く支持したい。なにより主人公の三島くんの、まわりにどんな扱いを受けても、綺麗で可愛いくなりたい自分を抑えず、ごつい体育教師に抱く欲望を全く恥じることなく、自分のすべてをポジティブに受け入れる姿が、実に清々しいからだ。これは新しいヒーローの鮮烈な誕生である。三島くんを演じる荒木飛羽は「少年のアビス」に続き、閉鎖的で抑圧的な地方に住む少年が実に良く似合う。三島くんを心地よい距離感で扱ってくれる酒井若菜演じる元ヤンキーの母親がこれまた素晴らしい。

バラカンが見た奄美大島 NHK

  • 単なる紀行番組ではなく、田中一村にスポットを当てた内容で、一気に引き込まれてしまった。タイトルに「田中一村」をもってこずに「奄美大島」にしたのは正解だったと思う。

連続テレビ小説「虎に翼」 NHK

  • 身近な「見合い話」を山頂の湧き水として、法曹界に多くの人材を増やす大海へ。「すべての国民は平等」という憲法14条の条文の「平等」の範囲がどんどん広がり、やがて大切な意味を持つワードになったことに胸を打たれた。一人の女性の生きざまを追いながらも、国籍問題やLGBTQや夫婦別姓、嫁姑問題や結婚後の仕事と育児との両立や介護問題など、社会制度に埋もれがちな精神的負担とのバランスや、とかく「弱いものが我慢すればよい」と言った、100年経っても軽視されそうな問題を浮き立たせた意義は大きいと思う。

萩原利久のwkwkはぎわランド フジテレビ

  • 番組開始1周年をお台場冒険王で公開収録!!収録に参加した夏の思い出がよみがえりました。猛暑の中、大汗を光らせながらファンサービスしてくれる出演者、ファン心理を理解したスタッフ、ニッコニコのファン、テレビを見ていてこんなに平和で笑顔になれる番組は他にはないです。

海のはじまり フジテレビ

  • 9月に最終回を迎えた本作は全12話の構成でした。全体的に暗く重く切ない内容で、見る側がどこか、誰かに己を投影させて共感できたりできなかったりが散りばめられた作品だと思いましたが、それでも連ドラとして見続けることができたのは、演者の技量や努力によるものではないかと思いました。苦しく切ない道であっても、それでも命あるものは生きていくのだと、物語に登場する人々が少しでも健やかに過ごしてほしいと願わずにはいられませんでした。
  • 賛否両論の多い脚本ではありましたが、原作モノではないオリジナルであればこそ。難しいテーマに人気アイドルをあてることは、さぞかし冒険であったろうと思いますが、見事に演じきったと思います。「脚本家の意図が伝わりづらい未成熟な脚本」であったことは否めませんが、主役をはじめ子役や脇の大物俳優陣がよく意図を理解して演じていたと思います。原作モノのコメディや犯罪ドラマが多い中、美しい映像と没入感はやはり群を抜いていたと言えます。

ハッピー・オブ・ジ・エンド フジテレビ

  • 今期多く放映されているBLドラマの中でも一際異彩を放っていた。舞台は新宿だが台湾・香港っぽい雰囲気に仕上げ、場末感、未来の無い閉塞感を醸し出す。そんな背景の中出会う、過去にトラウマを持つ2人の若者の悲しみ、絶望、愛、再生の物語。ベテラン俳優・浅利陽介さんの起用がまた効いていた!!浅利さん演じる心の無い人間の言動の真の恐ろしさが主演たちの立場の過酷さをより色濃く視聴者に伝えてくれた。全制作陣、全キャスト一丸となって作られた魂の籠もった作品に久々に出会えた気がする。2話ずつの放映のため全8話が4週で終わったのは勿体ないなかったが、ドラマの性質上早く進むのはかえって良かったように思う。この作品があまり世に知られずに埋もれてしまうのは惜しい。FODではまだ観れるが、地上波で浅い時間の再放送を望む。

(掲載は順不同)