2024年3月度-月間ノミネート

プレミアムドラマ「舟を編む〜私、辞書つくります〜」 NHK 得票数:129
NHKスペシャル 未解決事件 FILE.10「下山事件」 NHK 得票数:95
春になったら 関西テレビ 得票数:78

 
 
プレミアムドラマ「舟を編む〜私、辞書つくります〜」 NHK

  • 辞書は「船」、言葉に触れあう「入り口」。岸辺さんの「愛ってなんだろう」と言う目線から始まり、長い航海となった。時間をかけて言葉を辞書に載せる人々の葛藤と苦労を参加者目線で見られて面白いし、岸辺さん自身の人生が再生され輝き出し、穏やかになり、さらに心が豊かになってゆくところも素晴らしい。「大渡海」完成のお祝いには温かい拍手しかないと思う。
  • 上質な作品でデリケートな問題も真摯に扱っている。そして毎回じんわり温かな気持ちになり気づきをもたらしてくれます。キャストも脚本も演出も素晴らしい。特に文字が空に浮かんでいく演出がとてもわかりやすく、すとんと心に染み込んでくる。
  • 朝ドラで水木しげるを演じたことのある向井理に水木しげるを語らせ、ドラマの主人公(野田洋次郎)と映画版の主人公(松田龍平)を対面させるなど、原作ファンにとって心憎い演出が随所に散りばめられている。渡辺真起子や前田旺志郎らの脇役の存在感も格別で、キャスティングの妙にも感心させられた。

NHKスペシャル 未解決事件 FILE.10「下山事件」 NHK

  • 1949(昭和24)年は、7月に下山事件、三鷹事件、8月には松川事件と、当時の国鉄に関わる重大事件が相次いだ。中でも、占領下の日本で、国鉄総裁下山定則が轢死体で発見されたのは衝撃的だった。それから75年。現在の科学捜査を駆使したところで、「未解決」を解決に導くことはできまい。しかし、教科書には「下山事件があった」で済まされていることを、出来得る限り事実に辿り、確実性高い仮説を探ることは、NHKの使命でもある。闇は光を当てられることを待っている。
  • 「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」という映画を見たのは中学生の頃だった。なぜ中学生が誘い合わせてそんな社会派の映画を観たのか記憶は定かではないのだが、モノクロームの映像とともに今もなお強い印象を残した映画の一本である。国鉄総裁が謎の死を遂げたという昭和の大事件に、再考察を含む思い切ったアプローチから切り込んだ今作も、夜中の視聴にも関わらず一気に引き込まれてしまう出来栄えであった。脚本、構成、そして主演の森山未來氏の演技力も素晴らしい。このテーマを民間放送で取り扱うことはおそらく難しく、NHKでなければ制作できないドラマだったともいえるだろうか。
  • まずはドラマをぐいぐいと見せきった上で、次にその基盤となる事実検証を、という番組構造が非常に効果的。またその検証部分での米内部文書や独自インタビューなど、新しい事実発掘は実に貴重で見応えあり。ドラマの中での森山未來演ずる検事布施健氏の言葉、「権力を監視して下さい、そして少しでも強い力を感じたら迷わず書け!」が、重く鋭く迫ってくる。果たして今のメディアはこの言葉にきちんと向き合えているだろうか。労作にして力作。

春になったら 関西テレビ

  • 椎名瞳を演じた奈緒さんは、結婚(売れない子連れの芸人と…)、仕事、父親との二人暮らし、そして父親の死とかなり様々なこと、環境に置かれていますが、ごくごく自然に全ての変化を受け入れていく普通然とした自然な演技と繊細な表現に感服しました。父の雅彦を演じた木梨憲武さんは、上手いとか下手とかを超越して「演じる」人なんだと思いますし、この雅彦は木梨さんへの充て書きなんじゃないかと思うほど、雅彦その人でした。余命を扱う中で決して暗く、重くならない展開は創り手の思い通りだと思いますし、ちゃんと泣かされてもいました。ハッピーエンドと言ったら語弊があるのかもしれませんが、それでも「ハッピーエンド」という言葉を使いたくなる最終回からのエンディングでした。月曜日の夜に暖かくなる秀逸なドラマでした。
  • 1月期の全ドラマの中でも頭一つ抜きん出たベストだと思っています。主人公の家の前に鳥居があって、そこの階段をトントンと数段下って少し歩いたら家につきます。面白いロケーションを選んだな、と思っていたのですが、最終回まで見るとこのロケーションには意味があって、ここでしか撮れないストーリーになっていたのが秀逸。とても心にしみるドラマでした。
  • 家族や大切な人との関わり方を考えさせられた。笑って泣いて、最後はやっぱり悲しかったけど、それでも前を向いて、大切な人の想いも一緒に生きていく姿が感動的だった。とても暖かい気持ちになった。

他に推薦された番組

日本テレビ開局70年スペシャルドラマ「テレビ報道記者 ニュースをつないだ女たち」 日本テレビ

  • 「女性が輝く社会」などと、無責任に叫ぶ政治家や評論家、研究者などは多いが、現実は諸外国と比較しても格段に低いこの国。マスコミや大学など、理想を主張する建前の場程遅れている。それでも、何とか上向きになってきたのは、政策でも経営でもなく、働く女性たちが、不条理に抗い、耐えて道を拓いてきたからだと、開局70年を機に日テレが自戒を込めて世に問うたドラマとして評価する。フリーアナウンサーが装飾品の如く持て囃される今日、局員として奮闘する女性報道記者に焦点を当てたのは好判断。
  • 現実の重大事件における日本テレビの実事情、裏事情等を、自局の社員やOBに綿密に取材を重ねた上でしっかりとカタチにした。こういうハナシ、ともすれば自局自慢話ご披露ばかりになりかねないところを、女性記者たちへの理不尽で不当な扱いの過去などを含め、それなりに正直に描こうと努めていてまずまずきちんとした史実劇に仕上げられたのではなかろうか。70〜80年代の女性への無体な仕打ちの描き方は決してオーバーなデフォルメなどではなく、それどころかまだ今もかたちを変えて組織内に厳然として存在していることを認識せねばなるまい。

第47回創作テレビドラマ大賞「ケの日のケケケ」 NHK

  • これは快作。感覚過敏の女子高生の生きづらさを描くだけでなく、彼女が周りを巻き込んで戦う姿がすがすがしい。一方邪魔をする大人たちのなんと醜悪なことか。嫌なことつらいことにNOと言えるのが当たり前になる世の中が早く来ると良いと思わせてくれる。

火曜ドラマ「Eye Love You」 TBS

  • ある意味振りきったラブストーリーに好感度マックスです。最初は二階堂ふみさんが演じた本宮侑里にテレパスの能力があるという設定だと知ってちょっと疑念がありましたが、そのテレパスがむしろ邪魔な余計な存在へと転嫁していきます。その妙が切なさを増幅し、共感することが出来るようになりました。相手の本心が分からないから恋愛はある意味楽しいのかもしれませんね。最後の最後まで視聴者を裏切ることなく純の、真の、芯のラブストーリを魅せてもらえて、気恥ずかしくも魅力的なドラマに仕上がっていました。主人公の二人とバイプレーヤーが揃った楽しめる秀逸な作品でした。
  • 地上波では心の声が字幕でも韓国語で視聴者もわからない。終わってすぐTVerで日本語訳を確認せずにはいられなかったです。さまざまな仕掛けが楽しく毎週楽しみにしていました。

#居酒屋新幹線2 チャンネル銀河

  • 居酒屋新幹線がシリーズになって、面白くなった。新幹線の車内では駅弁を食べる事しかアタマになかったのが、この番組で『飲んでもいい』のだ、と気付かされた。主人公が訪れる街の名物を知れるし、お取り寄せもできる。なにより、北陸新幹線開業に合わせて、番組でツアーを組んだ事が驚きではあったが、企画力に唸った。多くの旅番組は紹介するだけで終わってしまうが、番組がいわば公式としてツアーを組むのは、番組ファンには堪らないと思った。

テレビ朝日ドラマプレミアム「黄金の刻〜服部金太郎物語〜」 テレビ朝日

  • 日本を代表する時計メーカー「SEIKO」の波乱にとんだ実際の創始者の丁寧な物語。先見の明がある金太郎の卓越した精神と国内の競合し合う同業他社からの誹謗中傷、苦楽を共にした仲間の裏切り屈せず最良の時計を創り続けた。やがて改心した仲間の言葉に救われ長年の夢であった銀座に大きな時計塔を完成させた。とても見応えのあるドラマでした。
  • 服部セイコーの創始者の半生物語。成功者の半生なので華々しい話かと思っていたら、そんな事は無く不運を乗り越えて、前へと進んだ力強い人の物語だった。若い人に観て欲しいドラマ。ただ1つ残念なのは、丁稚時代はもっと子役の15歳位の俳優さんが演じた方が良かったと思う。大人〜晩年の西島秀俊さんとあまり変わらない俳優さんだったので少し違和感。

ドラマ25「これから配信はじめます」 テレビ東京

  • とても心温まる作品でした。現代(いま)を映し出した画期的な作品だったと思いますし、テーマも素晴らしく、最後に物語がすべて繋がるところもとても素敵でした。タイトルからは想像もできない良質ドラマで、大変勇気づけられました。

君が心をくれたから フジテレビ

  • ずっとなんて悲しいドラマなのだろうと思って観ていたけれど、思いやる気持ちが命と引き換えにと言う衝撃的な分、深く伝わって来たのは事実。私は健康と引き換えに、或いは生命と引き換えに誰かを守れるのだろうか…。
  • タイトルの「君が心をくれたから」の意味が最終回に向けて解読出来て、愛情の深さ素晴らしさに涙しながら見させて頂き、主人公の二人の演技も息ぴったりで繊細で丁寧ですごく良かったです。

日曜劇場「さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜」 TBS

  • 夏目俊平を演じた西島秀俊さんが最後の最後まで少し気の弱い、人の良い天才マエストロ(天才のドラマは好きですが、天才という言葉を使うのは嫌いです…)を正にそのものとして演じきっていたのが、先ずはこのドラマのしっかりとした骨格でした。さらにそれぞれ脇を固める配役一人一人に思い入れが出来るように、しっかりとしたバックグラウンドを全10話を通して絶妙なスピードで魅せてくれました。ただ…逆に思い入れができるように創られていただけに、結末の分からないエピソードが残ったのが少し残念でしたが、タイトル回収のエンディングも含めてしっかりとした骨太で綺麗なドラマでした。

ドラマ10「正直不動産2」 NHK

  • 続編を見ても、さらに続編が見たくなる作品。「正直さ」はビジネスにおいて長所か短所かという問題を抱えながら、営業マン一人単位でがんばるのではなく、たくさんの人の「繋がり」がさらに次の繋がりを広げ、お客様が安心して「家」という大きな買い物が出来る手助けをしてゆくところが良かった。
  • 不動産の知らなかった知識を知ることができる一方、ドラマとしても楽しく見ることができた。主人公と相棒の女性社員の関係も、恋愛を絡めず、好感が高かった。

テレビ朝日開局65周年記念ドラマプレミアム「万博の太陽」 テレビ朝日

  • 大阪万博が近いこともあり、団塊の世代は衣装の懐かしさに目を細めたのではないか。「エキスポシスター」というスタッフの存在を初めて知り、当時の女性たちの結婚観を混ぜながらも生きてゆく明るく前向きな姿に、元気をもらった。

ドラマイズム「恋をするなら二度目が上等」 TBS

  • オープニングから高校生時代と今の2人がリンクしていて、映像が綺麗、劇伴も良い、2人の声のトーンがすごく好きです。感覚的に見ていて心地よく、とても好きなドラマでした。

ドラマチューズ!「夫を社会的に抹殺する5つの方法 season2」 テレビ東京

  • 「復讐からは何も生まれない。恨みの連鎖だけだ。」とは、サスペンスドラマでよく耳にする科白。このドラマは、それを言葉ではなく、「フォトフレーム」の中に眠る息子が流した一筋の涙が、雄弁に語った。高梨臨の最後の表情も、「余白」として何かを言ったように思う。

アイのない恋人たち テレビ朝日

  • 爆発的に面白い!となって毎週絶対に見逃したくなくなるドラマというわけではないですが、1話を見終わると前の1話の面白さが思い出され伝わってくるような感覚に陥る、ジワジワ系でした。表立った大きな動き、展開があるわけではありませんが、感情面で大きな跳躍や展開、変換があって実は感情の瞬発力のあるドラマだったと思います。
  • どうしてこんなに不器用なんだ君たちは!と言いたくなるような主人公たち。スマートに振る舞う人間がこの世にどんどん多くなる気もするけれど、本当は彼らのようにいろいろ藻掻いている人間が多数派なのだろう。彼らなりの道筋を見つけてドラマが終わった後も、あいつらどうしているかな?とちょっと考えている自分がいる。

大奥 フジテレビ

  • 正直初回は今までのものには及ばないかと思ったが、回を追うごとに今作の面白さに惹きつけられ、若い将軍と御台を気付いたら応援していたし、それを取り巻く人々の悲劇に涙しました。また、浅野ゆう子さんの語りが「瀧山」を知っている人にはたまらなかった。憎まれ役だった田沼を、田沼なりの思いや正義があったのだと納得させた演技と演出は圧巻でした。

相棒 season22 テレビ朝日

  • 最終回、以前から問題となっているフェイク動画など現代の問題点を取り上げてミステリーにしているのが面白かったです。最終回の最後のシーンで右京さんが「みんなすぐに忘れますよ」と言ったのが心に残りました。話題になったことにすぐに飛びつくけどすぐに忘れる、そんな世情をたんたんとした目線で描くのが『相棒』の面白みの一つだと思います。

日曜ドラマ「厨房のありす」 日本テレビ

  • サスペンスの要素を含みながらも、自閉スペクトラム症の八重森ありすが悩み、もがきながら奮闘する心が温かくなるドラマ。「料理は化学」だというありすが、化学の知識に長け、化学式も諳んじていて、それぞれの客に合った料理を提供する姿には、「障害者」と一括りにして、気の毒がったり、低く見たりすることの愚かさを、激しく突かれる。ゲイを公言する育ての父を初め、登場人物たちの支え合いは多様性社会の生き方を示唆してもいる。何よりも、主役を演じた門脇麦の「なり切った」演技力を称賛。

木曜ドラマ「グレイトギフト」 テレビ朝日

  • 体内では痕跡も残さない、抑制や治療の薬品もない。そんな危険な菌を、特殊な能力の持ち主ではなくても作れてしまう…。そこが、このドラマの最も恐ろしいところ。医療の場にありながら、それを自分の権力拡大のために、「神からの贈り物」=ギフトと妄言する医師も恐ろしい。神の手を持って人の命を救いながら、裏の顔は殺人者。佐々木蔵之介が憎々しいほどに“好演”した。波瑠のクールさも際立った。
  • 毎回毎話、「実はこの人が!…実は違いました〜!」的な突然の手品の種明かし的な展開があまり好きではないのもありますが、乗り切れませんでした。このドラマが「医療ドラマ」ではないと信じたいですが、自分の担当患者、手術を担当する患者さんの家族を、医療行為を盾に脅す、従わせるという行為はいくらドラマとは言え医師として絶対にしてはイケない設定だと思います!

ドラマ24「闇バイト家族」 テレビ東京

  • 金で苦労した人達が集まり、ヤバい人の手先になり、いわゆる「闇バイト」と呼ばれるミッションに挑む。タイトルに怖さを感じて視聴を敬遠していたが、仲間を愛する、正義感を持ち合わせた優しい疑似家族には、やはりこのタイトルしか思いつかなかった。鈴鹿央士さんが残り共演者の魅力を引き出す演技にも脱帽。

マルス−ゼロの革命− テレビ朝日

  • 久しぶりに若さと熱量のある作品を見た気がする。ながら見でなんとなく理解するような簡単なものではなく、見る側もエネルギーを消耗するような、そんな作品をテレビで見られて良かった。

ドラマプレミア23「ブラックガールズトーク」 テレビ東京

  • 日常の中にある、「こんな人いるいる」に共感することだらけな内容で、女友達と集まると話してたなあと思いながら見ていました。主演の方々のバランス具合がとても良かったです。

ETV特集「膨張と忘却〜理の人が見た原子力政策〜」 NHK

  • 「嘘は承知で出来るって言っていればいい」「薄く広く電気料金に乗っければ19兆円なんてすぐ生み出せる」と言った政治家。結論は初めから決まっていた会議の内部文書を見せられてしどろもどろになった座長。原発事故を忘却の彼方に押しやって再稼働を容認し始めた国民。ただただ怒りと絶望であった。私たちは茹でガエルなのかもしれない。それにしても何故この番組をより多くの人の視聴が期待できるNスぺでやらなかったのか不思議だ。
  • 国の原子力政策検討の重要な会議で、科学者として論理的な批判反証を毅然として示され続けながら、2018年に残念ながら亡くなられた吉岡斉氏。彼の遺した日記や文書を軸に、理不尽で不当なこの国の原子力を巡る政策と、それを抑圧的に遂行する政治家・官僚・御用学者たちの行状を掘り下げる。吉岡氏の書き残した「利権」「利益政治」という言葉が重く、また悲しい。貴重な内部文書入手を含め、しっかりと力の籠もった一編。

NHKスペシャル 廃炉への道2024「瀬戸際の計画 未来はどこに」 NHK

  • 廃炉へのロードマップの40年計画はスリーマイル島の事故を参考にしたものだという。福島の事故の方が格段に深刻なのにとりあえず言っておこう感だ。デブリを取り出す方法も確立されていないのに期間を定めるなんて土台無理な話で核燃料再処理工場の完成目標が何度も延期され未だに達成されてない状況を見れば日本の原子力政策のいい加減さを痛感した。

報道1930「『オッペンハイマー』“核を生んだ科学者”からの警告 AI時代の“科学の軍事利用”そのあるべき姿とは?」 BS-TBS

  • 映画をキッカケにあまり興味は無かった世界を覗きたくなりました。日本は立場が違うので思いは尚更、複雑。一生、分かり合えない部分もあるのかもしれない。

NHKスペシャル「語れなかったあの日 自治体職員たちの3.11」 NHK

  • 震災から13年がたってようやくあの頃語れなかった職員たちの想い。自分も被災者である中で住民たちの為に奔走しながら苦悩や後悔を抱えていた。昨今の災害の多さを思えばこの記憶と記録は残さなければいけないし生かさなければならない。

アナザーストーリーズ「バンクシーとは何者か〜覆面アーティストの心のうち」 NHK

  • 世界中でグラフィック的アートを表現続けている謎の「バンクシー」の初期の頃に見出した人物の話を中心にその心に近づこうとしている興味深い番組。「火炎瓶の代わりに花束を」という強烈で胸を打つ強いメッセージ性がバンクシーの心情のように感じた。オークションで高額落札直後にその作品をシュレッダーで裁断した無言のメッセージ。美術館で自身の作品を展示した前代未聞の試み。今後のバンクシーにますます関心を持ちました。

プロフェッショナル「能登のプロフェッショナルたち」 NHK

  • 能登のそれぞれのプロフェッショナルの魂が感じられ、それぞれの再起を心から祈る想いがした。

NHKスペシャル「戦火の放送局〜ウクライナ 移りゆく“正義”」 NHK

  • 2022年に取材したウクライナの報道機関ススピーリネの姿を、戦乱2年が経過した今、改めて再び追う。…厳しく先の見えない状況が延々と続く閉塞感漂う時間の中で、疲弊の度はいや増しに増し希望の光は薄れだし、2年前には確かに見えた国家への忠誠心や国民の間の団結心にも揺らぎが起こっている。この苦悩に満ちた現実の中で、メディアの限界、矛盾も露わになっている様子に、ウクライナの、そして世界の先行きにも暗いものを思ってしまう…。

アナザーストーリーズ「木枯し紋次郎vs 必殺仕事人〜時代が求めたアウトローたち〜」 NHK

  • 民放のドラマについて、NHK でここまで放送できることに驚きがあったが、うっすらとドラマについての記憶にあるものの、ネットのない当時に2番組の製作者による裏のドラマを当時の視聴者たちは知る機会はなかったので、とても興味深く見た。

NNNドキュメント’24「半透明のわたし 生きる権利と生活保護」 日本テレビ

  • 貧困や生活保護の問題は今や限られた番組でしか伝えられない。「みんな貧困への当事者意識が低い」「見たくないから見ていない」という当事者たちの声は重い。もっと多くの報道番組が伝えてほしい。

完全なる問題作「キャッチャー・イン・ザ・ライ」 NHK

  • 「問題」とされたしまった作品、殺人を犯した犯人の「理由」にされてしまったことを、作者はどんなふうにとらえて、その後の人生を過ごしたのか、想像すると胸が締め付けられるようでした。

事件の涙「声を上げたその先に ジャニーズ性被害問題」 NHK

  • ジャニーズ事務所の性被害問題を扱うテレビ番組が明らかに減っている。業界の正常化を図るためにも、定期的に報道を続けてほしい。

世界の春日プロジェクト NHK

  • 春日さんが1年かけて、誰にも知られないように、忙しい仕事の合間に、内緒で英語を勉強していたこと。毎日自撮りで日記のように英語で記録を残していくこと。簡単なようで難しいことですが、チャンクという手法でマスターしていく姿は素晴らしかったです。出川さんの出川イングリッシュと同じで、英語は学ぶというより、繰り返し使い慣れていくものだということを、視聴者側も感じることができました。

Gメンバーの推薦番組

初恋ハラスメント 〜私の恋がこんなに地獄なワケがない 中京テレビ

  • 放送前のCMがSNSに上がっていて「軽いノリのよくある恋物語ではないのか?どういうこと?」と思いながら視聴してみたら、もう序盤の「あれ?」と思うシーンからそちらが気になってしまって、恋バナどころではなく、すっかり制作の手のひらで翻弄されました。怖いのに画面から目が離せず「やられた!」の一言です。最後の最後に実はを視聴者も加担者の一人では?と気付いた時は身震いしました。

ハートフルワールド 錦3丁目編 CBCテレビ

  • 性産業や歓楽街、貧困の現場などディープな場所をルポする番組。正直言って、毎回のレベルは差があるが、テレビのタブーを越えようとする意志は評価したい。

with MUSIC 日本テレビ

  • 有働由美子さんと松下洸平さんの優しく温かいMCに土曜の夜、家族で見られる良い歌番組でした。松下洸平さんは俳優さんのイメージが強いですがラジオもやられていることからお話しのリズムもとても心地よい素晴らしいMCでした。松下さんはシンガーソングライターでもあることから歌手の気持ちも分かりますし、是非とも番組内で歌唱してくださるのを期待しております。

ブラタモリ「奈良・正倉院」 NHK

  • よく知っている場所のつもりでしたが、ブラタモリ恒例の特例だったり、目の付け所だったり、発見や驚きの連続でとても興味深く観ました。ブラタモリはよくある旅番組とはまったく異なる視点で、いろんなところを一緒に歩いている気分が味わえて大好きな番組です。レギュラー終了はとても残念ですが、このクオリティを毎週続けるのは大変なことだと思いますので、定期的にスペシャル番組として帰ってきてくれることを期待しています。

映像’24「記者たち〜多数になびく社会のなかで〜」 毎日放送

  • 琉球新報・明真南斗、元毎日新聞・小山美砂、神奈川新聞・石橋学、3人の記者たちの、対権力への抵抗を強い信念を持って発信している姿に密着して、この国のメディアの置かれている厳しい情況を改めて問い直す。深い考察も持たないまま単純に「公平中立」を念仏のように謳うことの罪深さ。無力感の中に沈み込んで坐り込む石橋記者の姿で番組をぶった切ってしまう苦い幕締めは、どっしりと重くこちらに迫ってくる…。

(掲載は順不同)