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【今月のダラクシー賞】-「GALAC」2020年10月号

東大生ブランドの乱用!?(個人の感想です)
今田耕司★ヒットの世界「東大生が通販してみた!!」
(テレビ朝日 8月8日放送)

桧山珠美

 「ユーチューバー」に「第7世代」に「東大生」。昨今のバラエティ番組における人気ブランドだ。毎日、彼ら、彼女らの顔を見ない日はない。なかでもここ数年、悪目立ちしているのが「東大生」ブランド。そこはそれ“知の最高峰”。正解すれば「さすが東大生」と羨望の的に、間違えれば「イマドキの東大生はこんなことも知らないのか」と罵られる。で、東大生が答えられないことを自分が知っていようものなら「ニヤリ」。優越感に浸れるというおまけつき。家族と一緒に見ていれば「お父さん賢い!」と父親の威厳を取り戻すこともできる。「東大生」ブランドには斯様な効用がある。
 そんな「東大生」ブランドに目をつけたのがTBSテレビ。3年前には「東大王」なるクイズ番組をスタート。ここからは伊沢拓司、水上颯、鈴木光など、そこらへんのタレント以上に知名度も人気もある東大生が生まれた。なかでも、“クイズ王”こと伊沢拓司は「東大生」ブランドの象徴ともいえる存在に。少し遅れて、フジテレビも「今夜はナゾトレ」という謎解きバラエティを放送。ここからは、松丸亮吾という新たな「東大生」スターが誕生した。こちらは「謎解きクリエイター」として出題する立場。それゆえ2倍増しで賢く見える。
 百歩譲って、“お勉強”系番組は許す。が、通販番組となると話は変わってくる。
 「この番組は日本一頭のいい東大生たちが、テレビ通販で大ヒットした人気商品を忖度なしに徹底調査してプレゼンする通販番組。非常に品位とIQの高い通販バラエティとなっております」と、吉本初の東大卒芸人・藤本淳史が番組の趣旨を説明。藤本は「田畑藤本」という漫才コンビだが、彼を見るのはクイズ番組ばかり。味がしなくなってもまだ「東大生」ブランドを噛み続けるOBのひとりだ。
 この番組に登場した東大生はミス東大やらミスター東大やら才色兼備を前面に押し出し、なんだかなあ。ただの通販番組に「東大生」ブランドという付加価値をつけて、視聴者に商品を売りつけようという魂胆か。今回は第2弾でMCの今田耕司が開口一番、「テレビ朝日の上層部の方からお褒めの言葉をいただきまして」と喜んでいたが、テレ朝上層部大丈夫!?
 「東大生」ブランドで一儲け。出るほうも出る方だが出すほうも出すほうだ。東大生が“お勉強系”だけでなく、通販番組にまで進出してきたらクワバタオハラやレッド吉田はどうなるのか。「東大生」ブランドの乱用にご用心、ということで、今月のダラクシー賞を贈る。

~著者のつぶやき~
〈夏痩せ〉という季語はあるのに〈夏太り〉はない。なのに現実は夏太りにコロナ太りが重なってとんでもないことに!今夏も増量中!

★「GALAC」2020年10月号掲載