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【今月のダラクシー賞】-「GALAC」2021年1月号

これは…「○○大陸」なのか!?
「プロフェッショナル 仕事の流儀~求められて、私は輝く 田中みな実」
(NHK総合 10月27日)

桧山珠美

 田中みな実、2020年の“今年の顔”(by『日経トレンディ』)なんだそうで……。
 ファースト写真集『Sincerely yours…』(宝島社)は異例の発行部数60万部大ヒット、愛用するコスメや洋服はバカ売れ(みな実売れというそうな)、ドラマ「M 愛すべき人がいて」(テレビ朝日)の怪演(“博多通りもん”の眼帯でおなじみ)が話題を集め、評価されたとのこと。ちなみに同時に選ばれたもうひとりの“今年の顔”は伊藤健太郎……。
 気を取り直して、田中みな実だ。TBSアナウンサー時代は、好きよりも嫌いと言われることのほうが圧倒的だったが、気がつけば同性の憧れの存在に。あれよあれよと“今年の顔”にまでなった。
 そんな田中を取り上げたのが、この日の「プロフェッショナル」。「それは意外な告白だった――」と橋本さとしの重厚なナレーションが誘う。画面にはスッピンの田中。第一声が「求められることってすっごい怖くないですかぁ? 求められなくなったときに私の何がいけなかったんだろうって。見飽きたらもうそこで終了なんですよ、もう消耗品だから――」。
 いかにも、なオープニングで、この先の展開は見ずとも予想がつく。「みな実、お仕事頑張っていますの巻」「みな実のプライベート見せちゃうぞの巻」「ホントのみな実をわかってわかっての巻」「明日も頑張りますの巻」ってな感じなんだろうと。
 自分の肩書きを訊かれると、「フリーアナウンサーは甘えている気がする。何屋さんなんですかね~」。「なんのプロフェッショナルでもない」「やっぱ違うなと思ったらそれはそれで」「旬が過ぎちゃうかもしれないですけど、大丈夫ですか」などなど、冒頭の発言も含めて田中の口から出てくるのは悲観的なことばかり。ペシミストの大安売りだ。
 番組の感想を一言で言うなら「めんどくせ~女だなあ」。以前の本木雅弘の回もだが、この番組、いつからこじらせ芸能人を愛でるドキュメンタリーになったのか!? 視聴者が見たいのは、「餅ばあちゃん」や「羊飼い」なのに……。おまけに芸能人の場合、必ず宣伝を放り込んでくるから始末が悪い。今回も、田中出演の12月の土曜ドラマ「ノースライト」をちゃっかり入れていた。結局、それかよ、だ。
 「情熱大陸」との違いがますますわからなくなってきた。「求められるものが提供できなくなったら、そこで終わり」という田中の言葉を添えて、今月のダラクシー賞を贈る。

~著者のつぶやき~
とは言いつつも、モックンの回は想像を超える変人ぶりに抱腹絶倒。どうせやるならここまで振り切ってほしい。

★「GALAC」2021年1月号掲載