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【座談会】2026年冬ドラマを語る!

★放懇公式ホームページオリジナルコンテンツ「座談会」第48弾★
ギャラクシー賞マイベストTV賞プロジェクトメンバーが、冬の注目ドラマを語ります!

王道大河の開幕
ラーメン×バレエの異色コラボ

T:2026年もスタートして1か月が経ちました。年始から続々と冬ドラマがスタートしています。注目作品をみていきましょう。新しくスタートした大河ドラマから、いかがでしょうか。
K:大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)は大河ドラマで何度も描かれてきた時代ながら、主役を秀吉の弟にフォーカスした設定が斬新。子役時代なしでスタートしたのも正解で、初めからグッと登場人物に引き寄せられました。 小一郎(仲野太賀)の明るく家族思いの弟キャラは、野心家で大風呂敷を広げる兄・藤吉郎(池松壮亮)との対比が見事。小栗旬の織田信長もハマり役で、エキセントリックで威圧的な信長様から目が離せません。これから一年かけて彼らの天下取りが楽しみです。
T:定番の戦国時代、合戦シーンもありと、大河ドラマファンが喜びそうな内容で、視聴率も上々だとか。主演の仲野太賀の張り切りすぎた演技が少し気になりますが、秀吉役の池松壮亮がこれまでとは違う魅力を発揮していて、今後どのように彼らが変化していくかが大いに楽しみです。
H:急遽配役に変更があったり、イレギュラーなことも多かった今作。小一郎の幼なじみを演じる白石聖の評判も良いので、彼女の出世作になればと思ってます。
Y:同じNHKの夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」は、ラーメン×バレエという、意外な組み合わせが軸となるストーリー。「ばけばけ」のおリヨ様で存在感抜群だった北香那が、自分本位で感情を発散しがちな主人公の、人生のつまずきをコミカルに好演しています。長年の親友から絶交を言い渡され、これまでの自分の振る舞いや周囲との関係性を見直していく内容は、捉え方によっては深刻になりそうなところですが、コメディとして昇華しつつ、30歳前後の女性の生き方を考えさせられる内容で興味深いです。
K:クラシックバレエとラーメン、一見結びつかない二つのジャンルをうまく絡ませて、視聴者層を広げることに成功しています。自意識が強く人の心に鈍感な主人公の、ドン引きするくらいの空回りの突き抜けっぷりに毎晩笑わせてもらっています。 自業自得とはいえ大ピンチに陥り、必死すぎて空回りする姿は滑稽ですがなぜか憎めません。主演・北香那のコメディエンヌとしての存在感に注目が集まりそう。
Y:大人のバレエ教室のメンバー(コウメ太夫や田中真弓など)、占い師役のキンタロー。など、特徴的な出演者が散りばめられているところも楽しんでいます。

“わからなさ”に引き込まれる
中年男性の素敵なノスタルジー

K:水曜ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」(日本テレビ)は主人公(杉咲花)の日常が丁寧に描かれ、シーンごとの解像度の高さに見入ってしまいます。近寄ったり離れたり、繊細で複雑な人間のコミュニケーションをすくい上げるような映像と、杉咲花が醸し出す、内省的でありながら底知れない脆さや危うさにドキドキさせられています。 会話に独特の湿度と質感があるのが、今泉力哉監督の真骨頂。映画を見ているようで、この空気を味わいながらじっくり見たくなるドラマです。
H:会話中のBGMを極力無くして、環境音で演出するあたりも映画的と言えると思います。ドラマでは沈黙を回避しがちですが、俳優陣の演技力がふんだんに活かされていて引き込まれます。一方で、始まったばかりではありますが、ストーリー的にはまだ共感できる部分が少ないかなと。本当の好意を隠して人と接することの後ろめたさだけが、視聴者の心に重く残っているように思います。
Y:杉咲花主演、好きなバンドの曲が流れる、という事前情報を基に、勝手に想像していた内容がいい意味で裏切られた感じです。初回、コインランドリーで初めて会った人の家について行き、ビールを飲むという主人公の不用意な行動が心配で仕方なく、その後の会話からも主人公の心の持ちようがまったくわからない……と感じましたが、その理解できない他者の思考や表現方法、関係構築の距離感などが繊細に伝わる表現が、次第に興味深く思えてきました。巧みな会話劇から、登場人物たちの人間像がより掘り下げられていくのではと期待しています。
N:同じく初回でヒロインが夜中のコインランドリーで出会った男性についていくという展開が怖すぎて、ちょっと無理かなと思ったのですが、2回目の放送で、アセクシャルやアロマンティックの話題が出てきたので、もうちょっと見て行こうと思いました。
H:個人的には2話でかなり「?」が多くなってしまったので、どう展開するのか、少し不安もあります(笑)。
T:「ラムネモンキー」(フジテレビ)は工事現場から出てきた人骨がきっかけで、中学時代の憧れの女性教師失踪の謎を追う、中年男性3人組(反町隆史・大森南朋・津田健次郎)の大冒険。3人ともすっかり中年のオヤジになり、昔のマドンナは普通のおばさんに。けど、誰でもそんな時代があったよねと思わせてくれて、素敵なノスタルジーを味わせてくれます。ミステリー、ファンタジー、そしてコメディの魅力を散りばめた古沢良太の脚本が秀逸です。
N:久々の古沢良太脚本なので、楽しみに見ました。中年男性3人が主演というのもいい。ただ、今はまだ様子見という感じです。憧れの存在のマチルダという先生がカギになっていて、彼女を探すことがこのドラマのテーマになっています。今は、男性たちの同級生の女性たちが出てきて、それなりにその世代の悩みなんかも見えるようになっていて面白かったです。とにかく、マチルダが気になります。
H:ドラマプレミア23「キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~」(テレビ東京)は、国籍の違う2人のラブストーリー。元IZ*ONEのカン・へウォンが初の日本ドラマ出演です。赤楚衛二とのやりとりはピュアで、見ているこちらが気恥ずかしくなるほど(笑)。美男美女の王道ラブストーリーには驚きよりも安心感が必要ですから、このまままっすぐに展開してほしいです。
T:ドラマに登場する家庭料理のように、ほっこりとさせてくれるラブストーリーです。素朴な日本人青年を演じる赤楚衛二がまさにハマり役。2人の恋の行方を、優しい気持ちで見届けたくなります。

予想外のスタートダッシュ
俳優陣の表現力にも注目

T:その他、個別に気になる作品があればお願いします。
K:プレミアムドラマ「京都人の密かな愉しみ Rouge-継承-」(NHK BS)は京都人の独特の佇まいや価値観を描いて人気を博してきたシリーズの最新作。昨年末に前シリーズを一挙再放送し、プロモーションも準備万端。 常盤貴子演じる老舗和菓子屋の九代目がパリへ行ってしまった後、思いもよらぬ展開からのスタートを、ワクワクしながら見ています。 エミー賞を受賞した「SHOGUN 将軍」で話題を呼んだ穂志もえかの透明感と芯の通った人物像が、作品に新たな風を吹かせ期待が高まります。京都を題材にしたドラマに定評のある源孝志監督が描く物語、今回も堪能できそうです。
Y:金曜ナイトドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」(テレビ朝日)は今期最も楽しく見ている作品です。企画から関わる松田龍平が「父とは違う探偵像をイメージした」という、独特の探偵/発明家のキャラクターがまず魅力的。作品全体が単に「ゆるい癒し系」という訳ではないところが良く、温泉街の個性的な人々と依頼内容はじめ、主人公の発明による”悪口を動力とする謎の乗り物”や、一風変わった実験音楽のライブに村人が集う場面など、どこか不穏な空気も交えた世界観に不思議と引き付けられます。
T:ドラマ10「テミスの不確かな法廷」(NHK)は松山ケンイチが発達障害を抱えた裁判官を好演しています。「虎に翼」の判事役同様に、彼の癖のある演技だけでも一見の価値あり。また、独自の視点で裁判を進める様子は興味深く、今後の展開にも期待したいです。
N:ドラマストリーム「終のひと」(TBS)は主演のふたり(柿澤勇人、西山潤)のバディがどうなっていくのかも気になるし、脇役、ゲストも筒井真理子、堀井美香、岩谷健司、鄭亜美、そして主題歌が奇妙礼太郎と、演劇を観たり、ラジオやポッドキャストを聴いている人なら嬉しくなるような人ばかり。「冬のなんかさ…」も、サブカルなドラマですが、実はこちらのほうが、今のサブカルドラマなのではとも思ってしまいました。
H:ドラマ特区「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」(毎日放送)は、全盲の冬月小春(永瀬莉子)と親友を事故で亡くし喪失感を抱える空野かける(藤原大祐)のラブストーリー。がんで視力を失い、そのがんが再発してしまうという展開は見ていて心が痛いです。わずかな希望を探るようなドラマなので、救いがあることを願っています。
Y:日曜劇場「リブート」(TBS)は「顔を変えるなりすましが果たしてうまくいくのか? 身長・体格も違うみたいだけど……」と、どうしても前提が気になってしまうのですが、「リブート(再起動)」後の鈴木亮平の、「中身がパティシエ(松山ケンイチ)の警察官」の表現力は絶妙でした。第1回で、複数の登場人物が絡み合う物語の展開の速さに引き付けられたので、サスペンスとしてどう展開していくかが気になります。
T:最後に「あなたを殺す旅」(フジテレビ)にも触れたい。前回の秋ドラマまとめ編でも推したBLドラマが、ついに地上波でも放送が始まりました。新しい感覚の「ヤクザBL」として、ぜひご注目を。ロードムービー風の軽妙な展開の物語も、とても心地よいです。
H:今期は土曜ドラマ「パンダより恋が苦手な私たち」(日本テレビ)や生方美久脚本の「嘘が嘘で嘘は嘘だ」(フジテレビ)などまだまだ見たい作品があるんですが、全然追い付いていません……。TVerもあるので、チェックしたいです。
T:そうですね。次の総括で、新たな注目作品も出てくると思います。そして今回挙げた作品がどんな評価に変わっていくのか楽しみです。

(2026年1月23日開催)
※関東地区で放送された番組を主に取り上げています